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7-6. 天下の遺利ここにあり。

阪急グループ創始者 小林一三

 ターミナル駅に併設した百貨店、上階に設けた食堂、郊外に宝塚歌劇団・・・などなど鉄道会社の経営戦略として小林一三は斬新なアイデアで次々と新しい事業を展開してきたが、その神髄はこの言葉に凝縮されている。
 その意味は、経営方針や見方を変えれば、他人が気づかない利益が見えてくる、ということである。
事業としてのタネや魅力が見えないのは、そういう見方をしていないからで、見方を変えてみれば、事業として利益を上げられるテーマはたくさんあると言うのである。
 たとえば、その一つの事例が呉服の売り方であり、また、事業としての娯楽産業である。
 小林一三はすでに昭和初期に次のように言っている。

「事業本位に経営さるべき性質のものであって、いまだ事業本位になり得ないものが我が国に3つある。第1は芝居、第2は宿屋、第3は料理屋である。これらは無知の人々によって営利として取り扱われているにすぎぬ。宿屋はお妾さんの内職が目的で、世辞と愛嬌を資本とするというふうに、……堅実に数字を基礎として計画されておらない。
天下の遺利がここにある。」

「事業本位に経営さるべき性質のものであって、いまだ事業本位になり得ないものが我が国に3つある。第1は芝居、第2は宿屋、第3は料理屋である。これらは無知の人々によって営利として取り扱われているにすぎぬ。宿屋はお妾さんの内職が目的で、世辞と愛嬌を資本とするというふうに、……堅実に数字を基礎として計画されておらない。
天下の遺利がここにある。」

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