【本からも学ぶ】失敗文化の構築

シーン: 師匠のオフィス

師匠: よく来たね、今日はどんな相談かな?

弟子: 師匠、最近のプロジェクトで失敗してしまったんです。どうしても失敗を恐れてしまって、挑戦するのが怖いんです。

師匠: それは大変だったね。でも、失敗を恐れる気持ちは誰にでもあるものだ。大切なのは、その失敗から何を学ぶかだよ。「恐れのない組織」のエイミー・C・エドモンドソンは、「有能なチームほど、そうではないチームに比べてミスを多くしているように思われる。あまつさえ、その相関関係は統計的に有意なのだ。」とも言っている。失敗やミスをすることが大事なんだ。そして「優秀なチームは、ミスの数が多いのではなく、報告する数が多いのだ。」とも書いている。失敗を報告し共有することが、成長につながるんだよ。

弟子: なるほど、失敗そのものよりも、それをどう報告し共有するかが重要なんですね。そう考えると、失敗することに対する恐れが少し軽減される気がします。

師匠: そうだよ。失敗を恐れずに報告し、それを次の成功につなげる姿勢が大切だ。挑戦を続けることで、成長し続けることができるんだ。

弟子: でも、失敗したら周りの人たちがどう思うか気になってしまって…。

師匠: 確かに、失敗に対する周囲の目は気になることが多いね。でも、失敗を許容する文化を作ることが大事なんだ。失敗は学びの機会であり、成長のチャンスなんだよ。

弟子: 失敗を許容する文化…具体的にはどうすればいいんでしょうか?

師匠: まず、失敗を共有し、そこから学ぶことが大切だ。失敗を隠さずにオープンに話し合い、次にどうすれば成功するかを考えるんだ。そして、リーダーや上司が自分の失敗を率先して共有することで、チーム全体が失敗を恐れずに挑戦できる環境を作るんだよ。こちら側からの取組も必要だ。

弟子: でも、失敗をヘラヘラ笑っているように見える人もいて、それが正しい態度なのか疑問に思うことがあります。

師匠: そうだね。ヘラヘラ笑っているように見える人にも、実は複雑な感情が隠されていることが多い。防衛機制として笑っていることもあれば、ストレスを軽減しようとしている場合もある。それに、周囲への配慮から明るく振る舞っていることもあるんだ。

弟子: なるほど、表面的な態度だけで判断するのは難しいんですね。

師匠: そうだね。大事なのは、オープンなコミュニケーションを通じて、その人の本当の気持ちを理解することだ。失敗について話し合い、建設的なフィードバックを提供することで、次に繋がる改善策を考えられるんだよ。

弟子: どうすれば心理的安全性を確保できますか?

師匠: 心理的安全性を確保するためには、失敗を報告することに対して安心できる環境を作ることが必要だ。失敗を批判するのではなく、そこから学ぶ姿勢を持ち、サポートとフォローアップを行うことが大切だよ。
キングスレイウォードの「ビジネスマンの父より息子への30通への手紙」では、「責任を受け入れる人は、最も実り多い人生を過ごす人である。多くの人は、責任を受け入れるときに、失敗の不安に似たものを感じるらしい。そのような人は、努力したうえで失敗するのは恥ではないことを思い出してもらいたい。試みなかったことが悲劇なのである。責任を受け入れることは、挑戦を受け入れることである。挑戦を受け入れることは、素晴らしい成果を迎え入れるために、扉を開くことである。」とも言っている。失敗は恥ではない、試みなかったことが悲劇なのだ、と肝に銘じてほしい。

弟子: ありがとうございます、師匠。これからは、失敗を恐れずに挑戦し、学びを得ることを大切にしていきます。失敗は恥ではないという言葉を胸に刻んで、挑戦していきます。

師匠: そうだ、それでいい。失敗を恐れずに挑戦することで、必ず成長できる。そして、周りの人たちにもその姿勢を伝えていこう。失敗文化の構築は、一人一人の意識から始まるんだよ。

シーン: 後日、マネジメント会議

師匠: 皆さん、今日は失敗文化の構築について話し合いたいと思います。我々マネジメント側からどのようにこの文化を作り出せるかを考えましょう。

マネージャーA: 確かに、失敗を恐れる風潮は強いですね。何から始めればいいでしょうか?

師匠: まず、我々自身が失敗をオープンに共有することが重要です。私たちが自分の失敗を隠さず、そこから何を学んだかを率直に話すことで、チーム全体に安心感を与えられます。
「多様性の科学」のマシューサイドでは、「昨日の失敗が今日の共有知識になり、明日の融合につながる。そしてその融合を通してまた学ぶ。ほぼ何の妨げもなく、これほど効率よく融合が生まれる場所は他にありません。」ともある。失敗の共有がチーム作りに必要なことを我々マネジメント側も考えておいた方がいいと思っている。

マネージャーB: 具体的にはどうすればいいでしょうか?

師匠: 例えば、定期的なミーティングで失敗事例を共有し、その改善策を皆で話し合う時間を設けることです。失敗を非難するのではなく、建設的なフィードバックを提供し、次の成功に繋げるための具体的なステップを一緒に考えます。
「1on1ミーティング 「対話の質」が組織の強さを決める」の本間浩輔と吉澤幸太は、「人は案外自分のことを知らないから、フィードバックを受けて、自分の盲点を知り、自己認識の精度を高める必要がある。加えて、自分を変えられるのは自分だけなのだから、自分の行動を変えてみて、さらに新しくフィードバックを受けて調整していく必要がある。これこそが大人の学びである」や、「部下がちゃんと上司に言いたいことが言える、上司も部下にきちんとフィードバックが出てきているというサイクルができて、何も言わなくても1on1ができているという状態に持っていく」ということもある。フィードバックをマネジメント側からしていくことも重要だ。

マネージャーC: 失敗を笑っているように見える人がいる場合はどう対処すればいいでしょうか?

師匠: そのような場合、その人が本当にどう感じているのかを理解することが大切です。防衛機制としての笑いかもしれませんし、ストレスを軽減するための方法かもしれません。オープンなコミュニケーションを通じて、真の気持ちを引き出し、適切にサポートすることが必要です。

マネージャーA: 心理的安全性を確保するための具体的な施策はありますか?

師匠: 失敗に対するフィードバックを批判的なものではなく、学びの機会として提供すること。そして、失敗を報告した人に対してサポートを行い、再発防止策を一緒に考えることです。また、メンタルヘルスケアやカウンセリングの提供も重要です。

マネージャーB: なるほど、具体的な行動が必要ですね。

師匠: そうです。失敗文化の構築は、我々マネジメント側の姿勢と行動から始まります。失敗を恐れず、挑戦することを奨励し、それをサポートする環境を作りましょう。
ジムコリンズの「ビジョナリーカンパニーZERO」では、「『僕は失敗しているんじゃない、成長しているんだ』。そして成功というコインの裏面は失敗ではなく、成長だという考えに至った。」という言葉もあるしな。それが長期的には組織全体の成長に繋がります。

マネージャーC: わかりました。私たちから率先して行動し、失敗を成長の機会とする文化を根付かせていきましょう。

師匠: その通りです。皆さん、一緒に頑張りましょう。

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