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【MTGレガシー】強相関系を愛でるー食物連鎖ー

はじめに

 一万枚を超えるカード間に生まれる数多の相互作用。中でも普段では得難い利得をもたらすものや唯一無二の挙動には名が与えられ、人を魅力するという。

たとえそれが稲妻に撃たれる程の確率であっても

― レガシーでは珍しくないことの言い回し

 競技レベルかどうかを問わず、エモーショナルかどうかで相互作用を愛でていこう。
 ちなみに本記事はシナジーやチェインルートを愛でるに留まりますので、引用させていただいているMOパンダさんのもの以外、デッキリストなど競技シーンで役立つものはないです。

魅惑の《食物連鎖》

 年末、MOパンダさんが《食物連鎖》を取り上げているのを拝見し、昔ターボ明神を使っていたことを思い出しながら郷愁に浸っていました。

 最近では似た感じのチェインコンボだった《魔の魅惑》と比べて、随分見かけなくなってしまったように感じていた《食物連鎖》。
 コンボ専用パーツを極限まで削ぎ落とし《自然の怒りのタイタン、ウーロ》や《氷牙のコアトル》など汎用的なカードをコンボパーツにできる《魔の魅惑》は、コンボパーツを引かずとも腐るカードが非常に少ない点で優位性、独自性を発揮できていることが、競争に勝ち残る理由の一つではと思っていました。そんなところにMOパンダさんの《食物連鎖》が

 最速1ターン目に∞ストームで《前駆軟泥、エーヴ》をキャストしてターンが帰ってくれば轢き殺せるにも関わらず、《食物連鎖》以外は墳墓ストンピィという構成。とても良きです。

 上記のリストのように、特に競技シーンでのデッキリストを眺めていると、死札(=単体でなにもしないカード)の少なさや、選択肢の幅広さに機能美とも言うべき魅力を感じてしまいます。
 そのときふと「リストを見て良いと思う理由は何だろう」という疑問が湧きました。普段見かけないカードが輝いている/一見では分からない難解さ/動きに無駄のない様/豪快な挙動 etc.なんやかんや仮説は立ちそうですが、抽象的で何にでも当てはまりそうな言葉を探すより、個人的な《食物連鎖》の好きな部分について具体的に書き下したくなった次第です。建前的には、先ずは知るところから。

愛でるポイント

 上記のように競技軸での美しさはMOパンダさんが掲載、ご説明頂いているのでそちらで当分ペロペロできると思います。同じ部分を拙くつらつら書いても仕方ないので、競技的な評価指標は置いといて、フードチェインの構成要素と独特の相互作用をするカード、普段見かけない“ファッティどーん”する派手めな動き、ガチャガチャ繋がるチェインコンボの、エモいと感じる部分中心に取り上げます。
 ちなみに昨年、フードチェインは傍流の方で強化パーツを貰っていました。バルダーズ・ゲートの戦いでサブプランが強化されたことで、別軸で“ファッティどーん”できるようになったかもしれない《霧虚ろのグリフィン》型、遂に兄弟戦争でワンキルルートを得た“あいつ”について、それぞれ紹介できればと思います。

《霧虚ろのグリフィン》型

 先ずは以前から競技シーンにも存在する《霧虚ろのグリフィン》の方から。以前から追放領域から唱える系の無限コンボでは、以下の3つが必要になります。

  1. 《食物連鎖》

  2. 《霧虚ろのグリフィン》等の無限マナ源

  3. フィニッシャー/無限ドロー

 《魔の魅惑》のように大量のキャントリップで引き込む方向では下位互換になりがちであるため《食物連鎖》独自の戦略として、《血清の粉末》、《預言する妖術使い》、《捨て身の研究》、《祖先の知識》などの追放を要するサーチ手段で《食物連鎖》を探しながら《霧虚ろのグリフィン》等無限マナ源を追放領域に送るというものがあります。

実質(不確定)2枚サーチ

 フィニッシャーが手札になくとも追放領域に置かれた複数体の《霧虚ろのグリフィン》、《不死身、スクイー》、《永遠の災い魔》でビート … もできれば良かったのですが、《霧虚ろのグリフィン》はまだしも回避能力なし共は心もとないという状況なので、サブプランのビートは《運命の操作》から《霧虚ろのグリフィン》をちまちま唱えていくのが最善でした。そんな中バルダーズ・ゲートの戦いで登場したのがこちら

《船乗りを滅ぼすもの》

 回避能力は持たないものの、なんかやってくれそうなサイズ感。インスタントかソーサリーにしか反応しないため《捨て身の研究》や《悪魔の取り引き》がサーチの中心になりそうですが、インスタントやソーサリー中心にフードチェインを組めるというのも可能性を感じます。
 追放系サーチで《食物連鎖》探しながらも、《食物連鎖》が対処された際のビートプランの下準備が残せるのは良さそうです。何より《船乗りを滅ぼすもの》が7/7とでかいのが良いです。ファッティどーんはそれだけでストレス解消効果があります。まだガンには効かないがそのうち効くようになる。かもしれないです。

 次に、明神ターボを使用していた流れで、毎回ある観点でスポイラー時にはチェックを欠かしていなかったのですが、遂に兄弟戦争にてやってくれそうなカードが登場しました。

《ゴロゾス》型

 ターボ明神において《生網明神》を採用する場合のお供であった《ゴロゾス》ですが、チェーンコンボとすることでコンボ始動に必要な枚数を削り《食物連鎖》と2枚コンボに構成することができました。

名前からして殺意高め

 しかし、必要なカードが多くスロットを喰う割に、コンボ始動ターンに勝ちきれないという中途半端なものでした。それはこれまでCMC9のクリーチャーにおいて、場に出たターン中に対戦相手を倒せる現実的なルートがなかったためです。《夜のスピリット》は伝説のため4体並べない、《ボガーダンのヘルカイト》はCMC8のため《ゴロゾス》で持ってこれないなど。
 しかし、いつの時代も条件サーチは魅惑の塊。スポイラー毎にCMC9、傭兵やレベル、クソデカオーラ、墓地から唱えられる系カード etc.を探すのは人の性。
 そんな中で満を持して、兄弟戦争にて速攻持ちのCMC9クリーチャーが登場し世界が揺れました。

これにて《ゴロゾス》ルート完成です!第一部 完

 今後は《ゴロゾス》から《瞬足光線の大隊》を2〜4体サーチし、《ゴロゾス》追放で10マナ→《瞬足光線の大隊》キャスト、4/4×3→《瞬足光線の大隊》一体を追放で1マナ+10マナ→《瞬足光線の大隊》キャスト、4/4×5 …
 という感じでトランプル、速攻付きの20余ダメージを作り出せるようになりました。
 《ゴロゾス》はこれまで通り《帝国の徴募兵》から《激情の共感者》を経由するなどしてサーチ可能です。ただ、《スカイシュラウドの切断獣》や《ぶどうのドライアド》からスタートする場合、《帝国の徴募兵》から《帝国の徴募兵》サーチして3枚使った後で《激情の共感者》とするなら9マナ捻出でき、そのまま《ゴロゾス》を出せますが、《帝国の徴募兵》出した時点でマナ・プールが空の場合は補助が必要になります。色が増えてしまいますが追加の《帝国の徴募兵》として《護衛募集員》も選択肢になりますが、他にも《帝国の徴募兵》4枚目から《霊気撃ち》、《幻影の像》で水増しするなどができます。最近では《玻璃池のミミック》、《盾壁の歩哨》も加わり選択肢が増えました。土地の枠でスロットを確保できる《玻璃池のミミック》も良いですが、《盾壁の歩哨》と《帝国の徴募兵》で壁デッキ作って序盤を凌ぐのも面白いかもしれません。

壁デッキといえば《ほくちの壁》と《オークの木こり》
2ターン目の食物連鎖が捗りそう

 さらに、《瞬足光線の大隊》から生まれるトークンもただのトークンではなく、マナ・コストをもつコピートークンである点もポイントで、試作の5マナから最大18マナまでジャンプできるようになりました。これは《錯乱した隠遁者》もびっくり、《引き裂かれし永劫、エムラクール》までジャンプできる水準に達しました。他にも《ハイドロイド混成体》などで大量ドローするもよし。
 《瞬足光線の大隊》をフィニッシャーとする場合、1枚では倒しきれないため複数枚積む必要があるというデメリットも、試作が5マナのため《スカイシュラウドの切断獣》や《ぶどうのドライアド》からスタートした場合のマナ加速も担うことができるとなると可愛く見えてきます。芸術点が非常に高いですね。

おわりに

 だいたい上記のような話は60枚の束に仕上げたとき、トップから7枚引いたとき、それより早いときに現実が見えてしまいますが、これはこれ、それはそれということで。競技シーンのことを全く無視してしまうのもなんだか不自然ですが、何かの完全下位互換と言い切れない限りは今くすぶっているだけの未来の可能性かもしれず、侮らないように心がけたいと思います。そのせいで初動の高値で買ってしまうこともたまに(年に4回くらい?)ありますが、これまでもこれからもそんな感じでカードを買っていくんだろうなぁ。可能性に価値を見出すことでお店の在庫整理に貢献できているなら良しとしよう。

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