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明暗分かれた名古屋

13日目。照ノ富士貴景勝。照ノ富士抱え込むところ力づくでほどき、貴景勝体当たりで突き放していったが照ノ富士は腰が決まり揺るがない。いなしも見せたが照ノ富士は終始落ち着いて受ける。フェイントかはたくような手の動きもあったが、功を奏さず、最後は照のはたきにバッタリ落ちた。貴景勝は負け越し。大関陥落。

「強い人は大関にいるし、もしくは上にいく。弱いものは落ちるべき」

こう振り返ったが進退はどうなるのか。まだ28歳直前と年齢に余裕はあるが、満身創痍。照ノ富士は27歳で序二段から再起したとはいえ限界色は濃い。照ノ富士戦はすべてを出し切ったように見えた。一旦照が抱えてから、離れて体当たりしていったあたりは意地があったのではないか。

関脇霧島は今日の相撲は立ち合い張り差しから、一気に押し込んだが、隆の勝が土俵際でうまく体勢を入れ替えた。ほぼ勝ちを確信したか一転劣勢となり、体勢を立て直すこともできずなすすべなく押し出された。これで6敗。大関復帰がなくなった。大関在位6場所は御嶽海・大受についで史上3位の短命となる。

霧島の場合、照ノ富士に全敗と、横綱戦勝利のないまま昇進というのが不安材料であったがやはりこうなってしまった。しかし初場所は横綱をかける場所であった。途中までは順調で現実味もあったのだが、もし昇進ならばどうなったことか。近年の力士は乱調がひどく数場所後の動きも読めない。

琴桜は3連敗。今日も立ち合いフワッと立って右をこじ入れるように出て行ったが、半端で阿炎がうまく回り込み、一転腰が伸び棒立ちに。琴桜はこうなるとどうにもならず阿炎が右四つでなだれ込むように寄り切った。また土俵際の甘さが出た。これでは到底横綱は厳しく大関としても不安定。2桁すら怪しい。

豊昇龍が休場。股関節を痛めたとか。やはり強引な投げがたたる。出る意向もあったというがどうか。

もう優勝が厳しく、綱取りも難しい。となると残りの大の里や大関戦もあまり出る意味がない。勝ち越しは決めただけ以降は付録。全部休んでもさほどの影響がない。

こう思いたくはないがモンゴル人は優勝可能性や目標がなくなると手を抜く傾向があったため少し考えてしまった。実際は首投げで裏返しにするときうまく足を払えなかったようだ。8番至上主義の番付システムの弊害なのだが…

これで大の里が不戦勝の勝ち越し。やっぱり持っている男だ。序盤は大負けも予想できたが何とか連日懸命の相撲で立て直し。照ノ富士にも勝ち殊勲賞もある状況。新入幕から4場所連続となれば史上初。快挙となるかだがこんなところにも相撲界の締まらない現状は見られる。

休場タイミングによっては貴景勝に不戦勝もあった。運は必要。

隆の勝と美ノ海が3敗。美ノ海が残るとは思わなかった。いつもより早い攻めがプラスのようだ。隆の勝は思い切りのいい押しが好調。隆の勝が照ノ富士にぶつかる。

平戸海が勝ち越し。地味ながら着実に番付を上げる。大の里には変化で勝利したが鋭いキビキビとした突きや引きで圧倒する。若元春戦の一気に土俵際まで追い詰めさっと引き落としたのは目立った。技能賞あるか。

遠藤も7連勝で勝ち越している。美ノ海との低い体勢での死闘は遠藤の底力を見せた。

照ノ富士の優勝は固いが何とか2敗で2人が残る。しかし三役大関のいずれも潰しあいで優勝圏外は寂しいものだ。





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