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50年前の大相撲から②

横綱のありかた。横綱という地位は単なる最高位というものではなく相撲界全体の重石ともなる。玉の海氏は

社会全体が人間の精神面を求める風潮が出てきている。相撲は丁髷つけて相撲道というものに携わっていく。それを持ち続けていかなきゃいかん。そこにこそ相撲の価値があるんじゃないか。ところが現実は非常に物質的に走ってしまっている。横綱というものをどうとらえるかということになると、ずいぶん変わってきてるんじゃないか。そうなると横綱はこうあってほしいという意見を出して、啓蒙していくことが大事なんじゃないかと思う。

大相撲と実社会の乖離は年々広がる。かつては許された無理篇ゲンコツ式の指導も難しく、それどころか稽古中の振る舞いですら槍玉に上がることも。かつての白鵬の所業は論外としても、張り手やカチ上げも見苦しいとして減っていくのではないか。それ以上に体重増もあってか攻防は単調になりがちで、一挙手一投足に見ごたえがあるのは小兵と言われる力士が多い。

他スポーツでも倫理観が問題となっている。 スケートボードの飲酒問題、ハンドボールの重大な違反などか。いずれもかつては許されていたと思う節があるもの。とはいえ相撲界はまだ浮世離れした面が許されることもある。

横綱の話に戻すと、とどのつまり昇進基準ということになるが

小坂 夢を持っているわけじゃなくて、理想に近い横綱がいたわけですよ。最近亡くなった玉ノ海がその過程に入るんじゃないかと思うんです。
玉の海が清國に飛んで勝った相撲があったが、清國も非難めいたことを言っていたが、玉の海も非常にしょげていましたね。こんなこと今の相撲さんは反省しないと思いますね。玉の海には志の高いものが一つあって恥じている。これがぼくらの思っている力士の在り方ではないかと思うんです。実現可能性ないことを言っているんじゃないにもかかわらず出てこないんですね。

玉の海は現役最強時に突然亡くなっただけ、その理想に縋ることのできる横綱というのは伺える。しかし現実的に衰えを見せずに引退は無理な事。白鵬とて晩節を汚した。

天竜 作るときの問題だよ。人格技量識見抜群とうたってあるんでしょ。八百長で勝って横綱では人格も何もない。

玉の海 基準がないよ。2場所や3場所抜群だったって必ずしも長続きするか問題があるし

天竜 ないからその時の雰囲気で作ってしまうんですよ。なったものも苦労するし横綱のレベルも下げているわけですよ。

玉の海 基準があれば、引退勧告するなり、休場とか責任を果たさないような状態が続いた場合勧告する道を開かないと。いまのような自発的な考えによってというわけにいかなくなるんじゃないかな。

神風 若い人を納得させるにはそれが一番ですね。横綱の理想像はおそらく理解できないですよ。ある程度基準を作ったら納得するのじゃないですか。落とす制度を望んでいるのじゃないですか。

天竜 数字的な基準を作った方がいいんだよ。

神風 横綱より強い小結、関脇がおったら若い人は矛盾を感じるよ。

結局自発的な考えでモノを決めるのは難しいのだろう。 性善説をかざしても通用しない現代と同じ。仮に大関に陥落制度がなければどうなっていたのか。かつての3場所負け越し制度が維持でも多くの大関が救済されるだろう。

常陸山の受けて立つ横綱相撲


横綱より強い小結、関脇といわずとも大関より強い小結、平幕というのが恒例になっている現状。千代の山が横綱返上を申し出たことがあったが、大関を自ら降格を申し出る力士がいてもいいと思う程であった。 このあたり権利を主張するものの責任は軽いに通ずるところあり。

天竜 推薦する基準を厳しいものにするという事ですよ。平均勝率幾らという基準、横綱として3場所4場所ぶざまなことになったらダメだ、引退させるというメドをつける。今の若い人を納得させるには勝率いくらというのが一番いいと思う。

小坂 昔の制度の方が良かった。地位にしないで、横綱は大関の中で立派な人に奉るという称号に戻した方がいい気がする。いまのだったらランキングですよ。

神風 若い人はそういう考え方じゃないですか。ほかのスポーツはみな数字ですからね。相撲に矛盾を感じてる人は多いじゃないですか。

玉の海 基準を規定に当てはめるということはできるならしたくない。精神面からとらえるとすれば。実際こういうやり方をやっていればどうなるか。むしろ彼らに一つの目安をつけてやらなければしょうがないんじゃないか。

小坂 情けないですね。
天竜 情けないけど精神面は理想であって、若い者にのみこめないのであれば数字的に基準というものを設けてやらなければしょうがないね。

横綱というのはもともと大関として相応の成績を挙げた力士に対する功労的な称号であった。しかし単なる地位に変化し、それすらも骨抜きとなりつつある。長期にわたる空位の可能性は高いがどう変質していく。

現在でも番付は水物とし、機運に依るところがある。ランキング化した現在、数字的な基準を示していくべきだろう。


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