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24時間テレビを考える

11月28日、日本テレビの番組『24時間テレビ』の寄付金を系列局の日本海テレビの局長が、10年間にわたって着服していたことがわかった。

読売新聞の記事によると

同社によると、元局長は経理担当で、2014年から今年にかけて、「24時間テレビ」の寄付金計264万6020円、14~21年に会社の売上金など計853万6555円をそれぞれ着服した。

 寄付金は、社内の金庫から持ち出すなどして自分の銀行口座に入金していた。金庫の鍵を管理する立場だったという。

 社内への税務調査があると知り、発覚を恐れて今月9日、会社に着服を申告した。「最初は、親族のために金を用立てる必要があった」と説明している。飲食代やスロットに使ったとみられる。

 同社は28日、鳥取県警鳥取署に被害を届けた。着服された寄付金全額を24時間テレビチャリティー委員会に届けるとしている。


元局長は懲戒解雇。10年にわたって寄付金がテレビ局幹部のポケットマネーとなっていた。

そもそもなぜこんなことが可能だったか。元局長は1994年に日本海テレビに入社。その後経理部や営業推進部を担当し、2014年に経理部次長、2017年に経理部長、2022年に総務局長兼経営戦略局長と昇進。これまでを見ても経理部が長く社内の金銭事情に関して深く関与できる立場が伺える。また51~2歳で総務局長という事から出世頭だったのではないか。

集められた募金は金融機関へ運ぶまで日本海テレビ社内にある金庫で保管されていた。2014年に経理部次長に昇格していたことから金庫を開け自由に持ち出せる立場にあったようだ。具体的な着服額についても情報があるが去年とおととしはなかった。これはコロナで寄付金が少なく発覚する恐れから避けていたとか。

さらに単なる着服だけでなく「データを改ざんしたり、次年度の退職で不要となる取締役の保険料を支払ったように装う」といった工作もしていた。今月、税務署の調査が行われることを知り着服を自ら申告ということで社内の調査ではなく自首によるものだった。

これだけ見るとまず管理が杜撰なことがまず事件の要因。寄付金についていえば口座への振り込みまでは額を正確に把握していたか不明だが(局では最終募金額を発表していた記憶もある)、他局も同じ管理体制であればこれまで全くなかったと考える方に無理がある。また寄付金は全体の2割強だが、浄財であるだけ単なる社内の資金や売上金より悪辣と言える。

『24時間テレビ』は1978年の放送開始以来、毎夏の恒例となり「愛は地球を救う」をテーマに全国でチャリティ活動を行う番組であったが、チャリティー番組にも関わらず出演者にギャラが支払われていることや、募金の使途が不透明な部分がある点などこれまでもその存在意義を疑問視、批判する意見があった。事実過去メインパーソナリティに5000万円、チャリティランナーに1000万円、チャリティーパーソナリテに500万のギャラがあったという話もある。

個人的にも、募金を募っているが自分達は自腹を切らないという姿勢が嫌で徐々に見なくなった。毎年障碍者が何かに挑戦というパターンや、チャリティーマラソンでランナーが疲れ果てながら放送終了間際にゴールするという感動や涙を誘うような展開も、台本アリのお決まりのバラエティのようで偽善しか感じなくなっていった。

さらに2000年以降のメインパーソナリティはジャニーズ事務所のタレントでほぼ占められている。その要因は各グループにファンの多いジャニーズによって視聴率と募金額が大きく稼げるため。事実視聴率、募金額とも1980~90年代は一進一退で1991年には過去最低視聴率を記録と存続が危ぶまれていたが、2000年以降徐々に上向き、2005年に募金額が10年ぶりに10億突破、平均視聴率も過去最高となっている。その後も10%代後半という近年のテレビでは高視聴率を維持。「集金」にとって大きく貢献するジャニーズ抜きではもはや成り立たなくなっていることが明白である。

いわばジャニーズ頼みで安泰であったのだが、昨今の問題によって岐路に立たされる。ジャニーズ抜きは番組の存続も問われる問題だったが、今年は強引に起用し、結果視聴率も募金額も大幅にダウン。日テレ側は今後は未定と濁したが、メインスポンサーの日産がジャニーズを排除することを表明しもはや四面楚歌の状況であった。

さらに記事によると

『24時間テレビ』のCM枠は大人気で、日テレはそこから制作費を引いてほどほどの金額を募金に回している。そもそも、アメリカの大型チャリティー番組はCMも入れずに出演者もノーギャラというのが普通。CM枠を売って制作費を賄っている時点でチャリティー番組とは言えない。ジャニーズを切ったとしても、日産が撤退しただけで苦境に陥るような状況になっている時点で、あらためて番組の意義が問われていると言わざるを得ないだろう

フライデー『24時間テレビ』に露見した”矛盾”と日テレが陥った“窮地”

他番組にも共通とはいえスポンサー面での余裕がなくなっている。今回の着服事件も24時間テレビの存続すらどうなるかという関心があった矢先のことである。

この事件は各局挙って報道しているが他局はどうか。同じ善意の募金を募るものとしてフジのサザエさん募金、テレ朝のドラえもん募金、NHKの歳末助け合い、ニッポン放送のチャリティーミュージックソンなどがある。以前からこの手の募金は怪しい話があった。このような着服が明るみに出るとそういった疑惑も一気に信憑性が出てしまう。

ジャニーズ問題に加え、着服事件と大きな打撃を受けた24時間テレビの前途は厳しいだろう。これまでも怪しげな話があったが一気に瀬戸際となった。日テレの看板であるがもはや汚れ番組のイメージしかない。


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