かかげ氏の炎上について

イラストレーターのかかげ氏が炎上している。


話を総括すれば、「普段の攻撃的な言動の一つがSNSで想定以上に拡散し、釈明を余儀なくされた」という、ネット炎上における典型中の典型と言っていいだろう。最近の例では、中嶋涼子のイオンシネマへの批判をきっかけに炎上した件が近いだろうか?

氏に限らず、「自分が批判を生業とする割に他人からの批判にはめっぽう弱い」というタイプの人はネット上では数えきれないほどいるものの、そのタイプにも複数の類型があると筆者は考える。氏は典型的な「専門家タイプ」と言えるだろう。

このタイプは、自分の得意な分野、たとえばスポーツ選手ならスポーツ、イラストレーターならイラストなど、自分が得意とする分野においては、ストイックな行動や言動を取りがちだ。実際にそういう厳しい叱責を受けて実績を残してきたからこそ、今の地位があるのだろう。それ自体は問題がないのだが、問題なのはそれはあくまで、「自分が活動している範囲内での話」であると言うことを自覚できていない点だ。

どんな人間でも得意な分野と不得意な分野がある。例えば芸能人が男女関係にだらしなかったり、スポーツ選手が金銭関係にだらしないという例は多い。「ストイックな人」と言うのは要するに、その分野限定でのストイックな人であると言うことにすぎない。

このタイプは、あくまで自分が得意なフィールドで活躍できているということを自覚せず、自分が全ての分野でストイックであると勘違いし、またどんな分野でも自分が正しいと思いがちだ。だからこそ、こういった炎上騒動が起きるかもしれないということを自覚ができない。そして自分が普段活動している枠内 から外れても、枠内で培ったノリを伴った言動を取り、そしてそれが受け入れらずに炎上するといったパターンは多い。今回の場合はまさに、youtubeで信者が囲っているコミュニティでのノリを、Xでそのまま発言してしまったと言うパターンだろう。


そして批判する側の人間は、目には目を、歯には歯をの精神で、一切の手心のない批判をする口実を手に入れてしまう。悪いことはしたのは事実だし、今まで厳しい批判をしてきたのだから、批判に手心を加えてもらえないというのもある意味では、自業自得と言われても仕方ない部分はあるだろう。

勘違いしないで欲しいのが、厳しい物言いをする人間にどんな批判をしてもいいというわけではない。問題なのは、厳しい物言いをする人はトラブルを起こしやすいし、トラブルが起きた時に擁護してくれる人が少ないのいう事実である。その想定が少しでもできていれば、普段の言動でも多少は柔らかくなるだろうし、そもそも論として炎上が起きる可能性もグッと減るだろう。結局のところ、普段から自分が言われる想定ができてないからこそ、平気で他人を傷つけかねない、第三者の顰蹙を買いかねない言動が出てくるのだ。

もちろん理想的なのは、「他人に厳しい批判をぶつけるのはもちろん、他人からの厳しい批判も受け入れるタイプ」だ。だが、理想は理想でしかなく、少なくとも筆者はそのような人間を見たことはない。数ある炎上を見てきたが、自分の普段の言動を振り返り、言われても仕方ないと受け入れる人間は皆無だ。大抵、炎上したら狼狽えて釈明に走るか、開き直って法的訴訟をちらつかせて強引に話を終わらせようとするのがオチだ。

とにかく、厳しい物言いは結構だが、理由はどうであれ自分が言われた時の対応くらいは想像を働かせた上で、普段の行動を考えて欲しいものだと思う。氏が本当に歯に衣着せぬ物言いを糧に成長したのであれば、是非とも今回の件を教訓にし、普段の言動をあらためて欲しいものである。

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