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しずかに生きる

辻村深月『ツナグ 想い人の心得』

 感情の揺れが少なく、ゆったり読める本です。まさに、僕らが死と向き合うようで、とても静かです。

 「死」とは誰もが避けたくても、また、多くの人が拒絶をもってしても、向き合わなければならない問題です。後悔や自責の念にかられたり、恐怖を感じたりします。あるところでは、その感情を煽るような商法が採用されているのも事実です。しかし、時間がかかっても、死と向き合う準備をしなければいけません。

 「死者に会うことは、誰かの死を消費するということと同義の、生きている人間の欺瞞なのではないか。」(P232,2にあるので、本を開いて前後関係を踏まえて読んでください。)

 読んでいき、僕ならどうするか考えました。きっと、死者に会う選択はしないと思います。会いたいと思うとき、それは心残りがあるから起こる想いだと感じました。死者との邂逅を果たした人たちは満たされた気持ちでホテルを後にしていました。それも、たった一晩、会っただけで解消されるなんて不思議でした。ずっと一緒にいたいと思うだろうと、僕の感覚とは違っていました。再び訪れる別れに、さらに上乗せされたつらい思いで生きていけるか分からなくなりそうだと思いました。一方で、死者との再会が果たされない人もいます。現実ではみんなそうです。結局は生きている人が心を強く持って生きていかなければいけないのです。僕は死を実感したことはありません。幸せなことですが、いつかはその時が訪れます。生きている人は残された人ではない。何があっても生きていかなければならない人です。死と隣り合わせの生こそ、日々を大切に過ごさせる何かがあります。僕には、まだわかりません。生きることで得る日々の”ご縁”でしょうか。
 『ツナグ』を読んで、しっとりと静かに生きようと思いました。この態度がもっと人として成長させてくれそうです。

 あなたはどう感じましたか。是非コメントで教えてください。皆様との”ご縁”に感謝いたします。ありがとうございました。


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