ひとことはなし4

2022年4月24日

その後、彼の紹介で、天理教の人で瓦職人が来てくれた。

客間屋根の様子を見たその人は
「ここの瓦は私の手には負えません」という結論でした。
「いわゆる一般家庭でのタイプではなく、とても手の込んだ瓦の葺き方なのです」と。

「ただし」と、その人が言ったのは
「瓦を葺く形を、今の形状でなくても良いなら、僕がひのきしんでやりますよ」との事でした。「そうすればお金も抑えられますし」と。

僕自身、お金に苦労してきた過去があるので、その言葉に俄然「それがいい」と思いました。で、親にその旨伝えると
「そうか」と言うだけで、あまり乗り気ではないと言うか、喜んでない様子でした。

その時は正直、こちらが喜べない心境になりました。が、後日思ったのです。
「親が喜ばない事をするべきではないな」と。莫大なお金が必要になるが、親が喜ぶほうが良い。と思い直しました。

で、先の人と大工の友人に「今回は力を貸してくれようとしたのに申し訳ない。どう思われても仕方ないが、俺は、親がこうしてほしい、という形にする覚悟を決めた。お金も沢山必要になるだろう。が、やると決めた」と伝えました。

2人は「そう覚悟を決めたなら、俺は何も言わない」となりました。
恐らく僕に言いたい事は山ほどあったに違いありませんが、僕の決意をくみ取ってくれました。
で、お互い天理教会で育った仲なので、一番心配してくれたのは「お金は大丈夫なのか」でした。
僕は「金は全くない。が、もう決めたから、後は神様に働いて頂くしかない」と伝えて別れました。

僕の一番の関心事は、自分はこうしたい、という前に「親が満足したらそれで良い」という事だけでした。
その為の苦労は自分がすれば良い、ただそれだけなのです。つづく

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