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日本のプレミアムウイスキーを買ってはいけない理由

あなたはウイスキーは好きですか?
僕は2010年頃からウイスキーを飲み出してハマりました。つまり14年ほどウイスキーを愛飲してきた「ウイスキーラバー」と自認しています。

現在は健康の事を考えて平日はアルコールを飲まない「平日限定ソバキュリアス」をやっている為、毎日は飲まず週末に少し飲む程度ですが、それでも週に1回は自宅にストックしてあるウイスキーを飲んで楽しんでいます。

平日限定ソバキュリアスやってます

そして今、一昔前の状況からは考えられないくらいウイスキーブームの時代が来ています。
そのブームの流れに乗り、日本のウイスキーは国内だけでなく海外で非常に人気です。そして売り上げも絶好調!

2021年の世界での輸出額

  • 1位:中国(170億円)

  • 2位:アメリカ(104億円)

  • 3位:フランス(46億円)

特に中国での日本のウイスキー人気は凄まじいものがあり、2021年は前年比214%アップ
個人レベルでも日本で爆買いして国内のフリマサイトで数倍の価格で売る人が続出する状況です。

どうやら現在の中国では日本のウイスキーは嗜好品として飲む事が一種のステータスであると同時に、ビジネスの商材としても使われている状態です。

僕もスコッチやバーボンをはじめとした、海外の様々なウイスキーを嗜んできました。その結果、贔屓目無しに日本のウイスキーは世界トップクラスに美味しい。それは認めます。

しかし今、国内のプレミアムウイスキーと呼ばれるウイスキーを、今の価格で買ってはいけない!その理由について書いてみます。

①昔は今より遥かに安い金額で普通に買えた

僕がウイスキーを飲み始めた14年前は、ウイスキーと言えば「角ハイ」

いわゆるハイボールブームですね。それまで居酒屋で飲むお酒と言えばビールか日本酒、好きな人は焼酎。女子は甘めのカクテルやサワー、梅酒などが中心でした。

その中に殴り込みをかけたのがハイボール。かくいう僕もそのブームに乗っかってウイスキーを飲み始めたという、始まりはミーハー感丸出しです。

これはサントリーのプロモーションが上手かったですね。
元々サントリーというメーカーはマーケティングというか、営業が非常に上手い会社であり、現在もビールを始め様々な新しい商品をCMなどを使って売り出していますね。

そしてサントリーを代表する、現在日本でも最高クラスに高いのがプレミアムウイスキーと呼ばれる3兄弟

・長男「山崎」
・次男「白州」
・三男「響」

(勝手に続柄つけてみました)

現在この3兄弟。一番安いNA(ノンエイジ。年数表記の無いもの)シリーズでも、ネットでの市場価格は15000円前後。
なぜネット価格なのかというと、現在スーパーやドラッグストアはもちろん、酒屋でも置いてない所のほうが多いし、置いていても定価で売られている事はほぼなく、ネット価格に合わせてきているからです。

さらにサントリーは2024年4月1日出荷分から値上げを発表。三兄弟それぞれが50%以上の値上げ
つまり今年の4月からはただでさえ高いのに、値段が1.5倍以上に跳ね上がる事が確実という事です。

しかし僕がウイスキーを飲み始めて少し経った頃。2012~2014年頃、この3兄弟は一番安いシリーズなら3500円前後で普通にスーパーにゴロゴロ置かれていました。
三男の響は少し高かったですが、それでも今のNVではなく12年ものが5000円を切る価格で買えました。

当時の僕が普段飲みで買っていたのは、1000円台のボトルばかりだったのでそれでも高いと感じていましたが、息子が生まれたのをきっかけに自分へのご褒美に思い切って「響12年」を買ってちびちび飲んでいたのを覚えています。

「何が言いたいのか?」

つまりこういう事です。当時とは時代背景が異なる事はもちろん承知です。
消費税率も違うし、ロシアーウクライナ戦争による原料の穀物などの物価高騰も無かった。だからではありますが、

プレミアムウイスキー三兄弟の本来の適正価格は5000円以下

実際にサントリーが公式に出している三兄弟の一番安いNAシリーズの定価がコチラです。

・山崎:4500円
・白州:4500円
・響:5500円

三男の響はちょっと高いですが、それでも5000円台です。確かに10年前より定価も上がっていますが、今のネット市場の価格ほどではない事が分かるのではないでしょうか?

②ウイスキーの価格とクオリティは比例するモノではない

最近のウイスキーブームを受けて、僕の周りでもウイスキーを楽しむ人達が増えてきました。
それは良い事です。僕が飲み始めた頃は、ウイスキーを自腹で買って自宅で飲むなんて人は少数派でしたから。

しかし最近飲み始めた人が口を揃えて言う事があります。

「1回山崎や白州みたいな、高価なウイスキーを飲んでみたいんだよね。どれくらい美味しいんだろう」

それを聞いて僕が率直に思う事は

「まあ確かに美味しいけど、値段ほどじゃないよ」

僕は一応、まだ安く買えた時代に白州をギフトとしていただきました。そして響は先ほど書いたように、自分へのご褒美として買って飲んだ事があります。

飲んだ感想としては確かに美味しい。スコッチなどの海外のウイスキーは独特のスモーキーな香りと味わいがあり、それがウイスキーラバーにはたまらないのですが、初心者にはウイスキーを苦手に感じる要素にもなります。
しかしこれらのプレミアムウイスキーにはそのような嫌なクセがほとんどなく、日本人の繊細な感覚にスッと受け入れられる優しさと高級感があります。

それは認める。しかし、「今の定価の3倍以上の値段を出して買う価値があるか?」と言われれば、僕はそこまでの価値は無いと考えています。

恐らくですが、普通はこう考えませんか?

「クオリティが高い商品ほど価格が上がる。だから高い商品はクオリティがそれだけ高い」

これはある程度正しいです。ウイスキーに限らず、商品のクオリティというのは高くなるにつれて値段も上がる傾向があるからです。

しかしモノの価格というのは決してクオリティだけで決まるものではありません。
特にウイスキーのような嗜好品は、市場の需要と供給のバランスによって価格が決まる部分が大きいです。単純な話、こういうことです。

・需要は少ないのに供給量が多いモノは値段が安くなる
・需要は多いのに、供給量が少ないモノは値段が高くなる

今の日本のプレミアムウイスキーはまさに「需要は多いのに、供給量が少ない」状態です。これはウイスキーを作る為の原酒が不足している事が大きな原因であり。需要に対して提供できる量が足りないのです。

しかしこの原理を理解しておらず、単純に値段が高くなるほどウイスキーのクオリティも天井知らずに高くなっていくと考えていると罠にハマる可能性があります。

1000円のウイスキーと1万円のウイスキー

価格差は10倍ですが、1万円のウイスキーは1000円のウイスキーより10倍美味しいのでしょうか?

ウイスキーは嗜好品なので、感じ方は人それぞれですが、恐らく10倍もの差があると感じる人はほぼいないでしょう。下手をすると飲みなれている1000円のウイスキーのほうが美味しいとすら感じる可能性もあります。

この事を理解せず、プレミアムウイスキーを買ってしまうと
「普段飲んでいるウイスキーの10倍のお金を出して買ったのに、思ったより美味しくなくてガッカリ」
なんてことになりかねません。

③価格が一気に下落する可能性はある

ウイスキーは熟成に時間がかかる為、現在は原酒が不足しています。
日本酒のように1年仕込んで毎年新酒をリリースできるわけではないのです。
日本で人気の「12年表記」のウイスキー。これは中身のウイスキーに使っている原酒が一番若いモノでも12年以上樽に寝かして熟成しているという事です。

12年と言えば、人で言えば生まれたばかりの赤ちゃんが小学校を卒業するまでの時間です。
僕も去年娘が小学校を卒業しましたが、それだけの長い年月をかけると考えると気が遠くなりそうです。作った人が高齢だった場合、下手をすると完成までに自分が生きておらず飲めない可能性すらあります。
そう考えると、ウイスキーというのは濃密な時を閉じ込めた、非常に贅沢なお酒であり嗜好品とも言えます。

そのような製造特徴から、仕込んでもすぐに出せない。熟成年数を必要とするものであれば10年がかりのプロジェクトになるのです。

だから各メーカーが急ピッチで原酒を安定して供給できるよう頑張っています。

そしてある程度安定して供給できる目安の時期ですが、サントリーは2027年夏頃を一つの目安として示しています。

また他のメーカーも原酒を仕込み始めた時期から考えると、2030年頃には安定して供給できるのではないか?というのが、現在の主要な論調です。

ただこの通りにいくとは限りません。なぜなら世界情勢がどうなっているかは誰にも予想できない為、戦争や災害などが原因でウイスキーを作る為の環境が難しくなる可能性があるからです。

仮に安定して供給できる原酒のストックができたとしても、メーカーが簡単に値下げをしない可能性はあります。

商売をしている人なら分かると思いますが、商品のブランディングというのはかなり大変だし、その為の労力や時間は相当なものです。

それが期せずして、世界的な日本のウイスキーブームと原酒不足によって自動的にブランディングできたわけです。
わざわざ今よりも値段を下げて、ブランド価値を下げる必要がどこにあるのでしょうか?

日本の価値観的に、モノの値段が上げにくい状況が続いていました。しかし今は物価高騰などを理由に、バンバン上げやすい状況が続いています。
しかしそれが落ち着けば、また価格を上げにくい状況になる可能性が高いです。

そんなリスクをわざわざ自ら取る必要があるか?だったらこのままの価格で売ればいい。しかも原酒を十分ストックできているので、需要に対してバンバン売れるわけですから、利益は今までより増えるのが確実です。


これが最悪のシナリオですが、一方でブームが過ぎて、今ほどウイスキー熱が無くなる可能性も高いです。

そうなるとどうなるか?各メーカーは大量の在庫を抱える羽目になります。
そうなれば大赤字です。不良在庫を抱え続ければ、大手メーカーですら倒産の危機に見舞われます。

不良在庫を抱え続けるくらいなら、定価を下げる。というか本来の価格に戻す。
そうなれば、僕が言っていた山崎や白州がスーパーやドラッグストアで普通に数千円でゴロゴロ売られる時代が再びやってくる可能性があります。それも数年以内に。

その時に現在の定価の数倍で買って大切に保管していた人はショックを受けるでしょう。

「当時2万円で購入したウイスキーが、近所のスーパーで4000円で売っているんですけど?」


こんな事になったら悲しいですよね。だからこそ、今は冷静にウイスキーの値段を見定める必要があるのです。

ウイスキーを無理なく楽しむ為にどうすれば良いか?

そもそもですが、ウイスキーというのは嗜好品です。
仕事が終わり、家に帰って全ての用事を終わらせた。
その後寝る前に、お気に入りの音楽を聴きながら、ゆったりとした時間に芳醇なウイスキーの香りと味を楽しみながらジックリ過ごす。
今日1日の出来事を振り返る。辛いと感じる事もあれば、嬉しかった事もある。
これまでの過去の自分の頑張りを振り返るのも良いでしょう

「なんだかんだありながら、よくここまで頑張ってきたな。自分本当に偉いよ」

その時お供してくれるウイスキーは決して高いモノでなくても良いです。大事なのは自分がそのウイスキーを心の底から楽しめるかどうか?
周りがどう言うかは関係ありません。

僕は現在高額なウイスキーも所持していますが、普段飲んで楽しむのは1000~2000円台。高くても5000円程度のウイスキーです。
だって高いウイスキーって確かに美味しんだけど「ああ、今日みたいな大した事が無かった日に飲んで良かったのかな?」って考えてしまう。それがストレスになって心の底から楽しみ切れないんですよね。だからそういう高いウイスキーは、何か特別な日にしか飲まない。てか飲めない。

そして先述したようにウイスキーの価値は価格では決まらない。

例えば毎日飲む人であれば、1000円台のウイスキーを常飲したほうがお財布に優しいでしょう。ぶっちゃけ、1000円台のウイスキーで美味しいモノたくさんあります。

僕のようなたまにしか飲まない人であれば、少し背伸びしてやや値段の張るモノを買っても良いでしょう。

大事なのは自分の生活の中に、無理のない範囲でウイスキーを楽しむスタイルを自分で試行錯誤して見つける。ウイスキーラバーにとってはその試行錯誤自体も楽しいものです。

お酒は体に悪いと言われますが、僕は適量を楽しむ分にはウイスキーは自分の人生を豊かに彩ってくれる、素晴らしいアイテムであり嗜好品だと思います。

あまり楽しんだことがない方は、一度ゆっくり飲む機会を作ってみてはいかがでしょうか?今までにない、新しい価値観に気付くかもしれませんよ。

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