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E.プジョール「TARREGA」現代ギター社

ギターは「情熱、心を語らせる楽器」だと思う。ギターの故郷はスペインだ。フラメンコを聞いていて「これがギターの声だよな・・」とつくづく感じた。悲しさ・寂しさ・激しさ・優しさ・力強さ・いたわる心、あらゆるが詰まってる。

「タレガはギター史における『アッシジの聖フランチェスコである」。と著者であり、タレガの弟子でもあったプジョールは断言した。19世紀というギターが全く脚光を浴びなかった時代に富みも権力も求めず、ひたすらギターという楽器のもつ可能性を引き出すことに全生涯を捧げた求道者でありつづけた。

大聴衆よりも少人数の音楽を愛する庶民に演奏しつづけ、詩人の魂をもって民族を想いつづけた。芸術は彼にとって手段ではなく目的だった。スペインのバレンシアという風土が与えた影響も大きいだろう。今ギターで当然のごとく使われているセ―ハ(バレー)、リガード(スラー)、トリルなどのテクニックは彼が築きあげたものだ。

「アルハンブラ宮殿」「ラグリマ」「プレリュード」「アラブ風奇想曲」「ホセ変奏曲」などの名曲は彼の崇高な精神からうまれたものだ。タレガがいなかったら今のギター文化はなかったってことだ。彼は幼少の頃、盲人の貧しいギタリストからギターの基礎を学んでいる。

ただ一つ彼はピアノの技術も持ち合わせており、その素養がギター奏法に生かされていた。このマエストロがプジョールに与えた助言で考えさせられた一節があった。

「練習には二つの方法があります。一つ目は練習曲、楽曲をまず一通り覚えこみ、のちに完成していく方法。もう一つは最初から一つ一つに完全を期して進んでいく方法。前者の方法はともすれば不完全さから抜け出せなくなる可能性があります。後者の方法はとても骨がおれますが、最後にはより良い結果がうまれます。」

俺は・・まさに前者なのだ。マエストロの言葉をしっかり心に受け止めておきたい。

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