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花散りぬれど~part2~

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part1は恋人がそばにいたころを中心に描きましたが、part2は恋人がそばにいなくなってからのことを描きたいと思います。
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記事一覧

あの頃僕は若(BAKA)かった

私は、母親から生まれ年がイノシシなので、猪突猛進するのだと、よく怒られていた。 当然、干…

残波野綾光
1か月前
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恋人夫婦

かなと私は戸籍上は夫婦と言っても、今までのような恋人同士と変わりなかった。 そもそも、名…

残波野綾光
1か月前

ときめく香りと長い黒髪

かなは別れる時に、結婚指輪と香水アトマイザーを私に返した。 結婚指輪はかなが東京に出てく…

残波野綾光
2か月前
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3月14日生まれのあなたへ

今日はホワイトデーです そしてあなたの誕生日です  遠い昔、あなたは私の誕生日に あなた…

残波野綾光
2か月前
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優しさは結婚と失恋に無関係?

私は修士1年目から、博士課程の先輩である田淵さんのお世話になることが多かった。 田淵さん…

残波野綾光
2か月前
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剥がれた生爪がつまらぬ意地に

私は大学時代に、大学の先生からビアホールでビールを飲まして貰い、調子に乗って飲み過ぎて、…

残波野綾光
2か月前
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新宿西落合 ふたり暮らしの始まり

ふたりで暮らし始めたところは、西武新宿線の新井薬師前駅から北に10分ほど歩いたところで、住所は新宿区西落合だった。 新宿と言えば、高層ビル街をイメージするだろうが、ふたりが住んだのは、落ち着いた住宅地だった。 近くには哲学堂があって、散歩に行って気晴らしするには良いところだった。 また、その傍には妙正寺川が流れていて、哲学堂付近では風情があった。 場所的には非常に良いところだったのだが、高い家賃が払えないので、風呂がなかった。 下には年老いた大屋さんが住んでいるし、

夜明けのプラットホーム

かなも私も4月から一緒に暮らせることを信じて、耐えてきた。 ところが、いざかなが東京に移…

残波野綾光
2か月前
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愛がいきづく場所

7月になって家庭教師も紹介されて、宿直のバイトと掛け持ちで忙しい日々が続いて、体調を崩し…

残波野綾光
2か月前

東京 孤独との闘いの始まり

私の東京暮らしは、中野駅から歩いて10分ほどの六畳一間の部屋から始まった。 神田川は近く…

残波野綾光
2か月前
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私の幸せは あなたと一緒につくる

私は、思わぬ大学院の合格で、学資の算段をしなくてはならなくなり、悩んでいた。 自分の親か…

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残波野綾光
2か月前

心の絆

今は教師になりたいという人が減ってしまって、教育委員会はなんとか人材を探すのに苦労してい…

残波野綾光
2か月前
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まさかの合格が苦難への道に

今は大学院への進学はそう珍しくない。 特に理系では修士が当たり前のことになっている。 私た…

残波野綾光
3か月前
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愛をささやけなかった恋人

大学時代に私は自分では見た目からして色男とは思っていなかったが、同じ学科の女性から「色男 力と金はなかりけり」と揶揄されたことがある。 大した実力も金も持ってないくせに、女性とは仲良くしてることへの皮肉だったと思う。 確かに、かなが故郷に帰ってしまった後では、その寂しさを埋めるために女友達以上に浮気な恋ができる相手がそばにいた。 知子は私と同じように、浮気な恋ができる相手のように見えたキュートで魅力的な同じゼミの下級生だった。 彼女からも「わたしたちは 似てるわね」と言われた