見出し画像

喫茶店の話

今通っている学校は、基本的にお昼までで講義が終わる。週2回の講座以外は午後から暇なのだ。
習い事があるから全ての日が空いているわけでもないけれど、週一回の午後の完全オフの日がささやかな幸せなのだ。

今日は保留にしていたコマを動かしたので、18時過ぎから塾があるが、それまでは暇を持て余していたのでお散歩へ。テスト期間だから暇ではないはずなのだけれど、そこは見ないふり。
行くアテにしていたところは16時で閉まってしまうらしかった。見やれば時刻は15時半。申し訳なさそうな女店主に礼をして店を出た。
歩き回ってやっと次の店を見つけた時には、薄ら汗をかいていた。メイクがよれた気がした。

夏でもホットのストレートティー。喉を通る温かさが、この上ない安心感をもたらしてくれる。
本を片手に紅茶を飲む、文字を綴る、また一口飲む、繰り返す。
こんな時間が好きだ。古いラジオのこもった音質も、招き猫の置物が立てるカチコチという音も、常連客と店主の話し声も。私が私として、広すぎる世界の片隅にちゃんと存在していると、いてもいいのだと思わせてくれるから。
特別扱いせず、追い出すこともしない。ただの客と店の関係。小さなテーブルの上に、小さな自分の世界の地図を広げた。

初夏の日差しの心地よい5月の午後の一コマ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?