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団地再生WSで学んできた

記事を開いてくださりありがとうございます!

今回は自分自身のポートフォリオ的な感じで書いて行きます。

私、実は都市計画や交通計画に興味があります。
ご縁があって、今回は団地再生のワークショップに参加してきました。


今回参加したのは、都市計画学会が行っている、
『高経年マンションの団地再生に向けて
〜建て替えによらない団地再生方針を決定した淀川パークハウス等の事例から探る取り組みの進め方〜』というワークショップ(以下WSと略)です。
机上で習うことを実例として体感できる、大変貴重な機会となりました!

事前学習

今回のWSは、大学の先生の紹介で参加しました。
ただ参加するだけでも、身につくものは少ないんじゃないかと思い、紹介していただいた先生に、団地再生に関するオススメの本を紹介していただき、事前に読むことにしました。

今回紹介いただいたのが、『団地再生まちづくり』という本です。

また、中々本を読む機会もないので、せっかくだと他の本も借りて、ソフト面の都市計画について知識を蓄えていくことにしました。
結果として、すごく勉強になったなと感じました。

そもそも団地再生って

そもそも団地再生って何なのでしょうか。
日本には約束3000個の団地が散らばっているようです(2020年 国土交通省住宅団地リストより)

団地は高度経済成長期に急激に数を増やしましたが、流入した年齢層が似通っていたため、約50年たった今、急激な高齢化や空き家の増加などの問題を抱えることになっています。

上のように限界集落のようになる団地も少なくないため、多くの団地で建て替えという選択をとられることがあります。

建て替えすることにより、
・雰囲気を一新し、
・新しい世代の流入を期待することができます。
また、
・建物自体の価値上昇も考えられるでしょう。
新しい建物は居住者に夢を持たせることができます。

その一方で、建て替えが圧倒的にいいわけではありません。
例えば、
・高齢者などの年金のみの生活を世帯にとっては、修繕積立金の増加はかなり痛いです。
また、
・長く続いてきたコミュニティを断絶させる恐れもあります。
さらに、
・環境負荷の観点や、
・一度住む場所を移動させるといった身体的側面の観点からも、負担は大きいでしょう。


そこで、団地再生という方法が取られます。
団地再生では、居住者のニーズを聞き、必要な部分だけを修繕したり、空間を再考し、新たに価値を生み出すという手法です。

私は中高生時代から少子高齢化問題に対する建物のあり方に興味を持っており、本を読んだ時に、『こんな考え方があったんだ』と感銘を受けました。

例えば、
・団地の棟の間の空間にある駐車場を一層し、世代間交流のできる公園に変化させる
・団地にエレベータを外から設置することで、高齢者のニーズに応える
・上層階をとっぱらい、目線を低くする
・横に広くなっている団地を断絶させ、動きを持たせる
・SI(スケルトンインフィル)化することで、ライフスタイルの変化に対応させる
といったものです。
(詳しい話は本をご覧ください!)

WSに参加して

WSに参加するまでは、団地再生って本に書いているようなものだと思っていました。
今回訪れた淀川パークハウスも、団地再生の好例として取り上げられていました。
しかし、私が想像していた団地再生とは少し違った団地再生でした。

淀川パークハウスの事例

淀川パークハウスは築50年、1000近い世帯が暮らす、大型の団地です。こちらの団地でも、やはり6割が高齢の方とおっしゃっていました。
ただ、そのような高い高齢化率にも関わらず、中にはでは子供たちの声が止まないような、そんな活気あふれた団地でした。

そして、建物自体を変化させるのではなく、必要な外壁修繕のみ施した、そんな団地再生を行っていました。

建て替えか、団地再生か

淀川パークハウスも、全国の団地と同じように、『建て替えが、団地再生が』という問題に直面していたようです。

そもそもこの議論に行き着くまでに、
・団地を見直す時期に入っていること
・主体的になって行動しないといけないこと
という意識をもつ必要がありました。
そこで、主体となって団地再生に取り組んだグループが夏祭りや幾度にもわたる住民説明会に取り組んだようです。 

この努力のおかげで建て替えよりも団地再生が適切だという意見になったようです。
老若男女何千人もの意見を集約し、形にすることができたということは、本当に素晴らしいんだなと実感しました。

面白いと思った工夫点

はじめに意識調査をした際に、そもそも高齢者と子育て現役世代では考え方が違うということに気づいたそうです。そこから、住民説明会を年齢混合ですれば、会議は進まないだろうという視点から60歳以上と以下で分けて行ったそうです。

また、ど素人にとっては、想像もつかない話をされてもどうしようもありません。何億ものお金が動くことなんてもってのほかです。
そこで、A案、B案、、、というふうに、一つ一つに写真と価格を表示して、現実味を持たせることにしたそうです。

さらに、住民説明会は青空教室のように毎回ピロティという半屋外で開催し、常にオープンな環境で行っていらっしゃいました。

特に驚いたのは、全世帯に対して個別面談を行なったという点です。
自分の意見が聞き入れられているという安心感や、信頼感を得ることにつながりました。

団地再生のあり方

私は今回WSに参加するまで、団地再生とは建物に少し手を加えることだと勝手に認識していました。

しかしながら、今回訪れた淀川パークハウスでは、建物はそのまんまだし、車もいっぱい止まっていて、思っていたのとは違いました。
それでも、団地再生という節目を通して、住民全員が団地の将来を考えたという1番の変化をもたらしていることに気づきました。
団地再生は常に存在し、住民が主体となってなされ続けているということがわかりました。

番外編 タワマンの将来

質疑応答の中で、タワマンのあり方についての議論もありました。
タワマンは団地のような結束意識もかなり薄いです。かといって、建物の寿命は必ず来るもので、公団がたち続けた高度経済成長期とタワマンがどんどん立つ今を重ね合わせると、同時期に修繕を必要とするタワマンが溢れかえるのも目に見えます。
一方で、団地再生のように少しだけ修繕しようと思っても宅地面積が狭いため必ず再建になってしまうという問題があります。
再建にあたってはタワマンだと何百億等の数字が動き、実際住民で賄えるのかと言われれば、賄えることも非常に難しいでしょう。
そしてソフト面でも、住民の意識の結束が薄ければ、住民の意向を聞くことも難しく、将来はあやむばれるばかりだという話がありました。

本当にその通りだなと思った反面、私たちの世代がその問題に着手していかなければならないという一種の危機感も感じました。

建物は人々の生活と共にあり、共存、成長を共に遂げ、最後まで責任を持っていくべきものです。だからこそ、無下に目先の利益追求で建設し続けるのではなく、成長過程、そして終焉まで想定して建設、分譲していく必要があります。
そういった意味でも、住民説明をしっかりと行うことや、買って終わりの精神を無くしていかなければならないなあとしみじみ感じました。

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