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なぜ『時光代理人』は2022年冬アニメの覇権にならないのか

最初の印象は低カロリーアニメ

このアニメを見始めたきっかけは2021年春アニメの覇権との呼び声も高い『ODD TAXI』のような低カロリーアニメを欲していた時期。今季(2022年冬)は『鬼滅の刃』や『進撃の巨人』のような作画高カロリーなアニメが多く、Amazon Primeオススメに出ていた本作を失礼ながらも「箸休めに味変」くらいの感覚でクリックしたのを覚えている。
しかし話数が進むほどに、1話完結の「軽食」に近かったはずの本作が、連綿と続く「満漢全席フルコース」の様相を呈してきた。
現在11話まで放送済で残り1話(1期)となった本作の魅力について、振り返りの意味を込めて、そして(中国では配信が決定した)2期の早期放送への祈りを込めてまとめてみようと思う。
あと、『ODD TAXI』面白いのでまだ見てない人は是非。時光と同じくAmazon Primeで見れます。


『時光代理人』とは

時光代理人公式サイト(https://link-click.jp/)より

2022年1月から放送を開始した中国発オリジナルアニメ「時光代理人 -LINK CLICK-」。中国のbilibili動画では圧倒的高評価で覇権を獲得した。すごい。

世界規模のアニメ・マンガコミュニティ「MyAnimeList」では、勢いに乗る中国アニメの中でも最高位を記録。bilibili動画では9.8点という圧倒的高評価を獲得し、配信開始わずか4か月で総再生回数1.6億回を突破した。

https://link-click.jp/intro/

しかし、日本での評価はあまり高くないようで

ねとらぼが発表した話題になっているアニメランキングTOP10では第8位、
秋葉総研が発表した2022年冬アニメランキングではなんと22位という結果に。鬼滅の刃・進撃の巨人と同シーズンでの放送ということを差し引いても「覇権アニメ」とは呼びづらい評価となっている(2022年3月現在)。なぜだ。このアニメの面白さ、伝わっていない?


ざっくりとした作品紹介(は割愛)

こんな現状で、さらにTwitterでなくわざわざnoteで書かれているこの記事にたどり着く人は、アニメの放送だけで満足できず、感想やネタバレ記事・考察記事なんかを探しているコアファンだろう。自分もその一人だが、そもそもそんな記事や投稿が世の中にほとんど存在しない。悲しい。
ともかく、奇跡的にこの記事にたどり着いた時光コアファンに対してよくあるストーリー紹介キャラクター紹介などは逆に失礼にあたる。念のためリンクを貼っておいたので、必要に応じて参照してもらいたい。
さらに言うと、#01「エマ」の冒頭でこれ以上ないくらいわかりやすく説明してくれている。コアファンの皆さまなら声とBGMの脳内再生まで余裕なはず。

程小时:ようこそいらっしゃいませ。ここは時光写真館。
    どこの町にでもある、しがない写真館だ。
陆 光:ただしここでは、写真にまつわる特殊な依頼を請け負っている。
程小时:俺はこの店の経営者のチョン・シャオシー、コードネームはトキ。
    写真の世界に入り込める能力を持っている。
陆 光:共同経営者のルー・グァンだ、コードネームはヒカル。
    俺は写真の世界の出来事を読み取ることができる。
喬 苓:ふたりとも、新しい以来だよ。準備はいい?
陆 光:タイムリミットは12時間。
程小时:準備オーケー、いくぜ相棒。

#01 エマ アニメ導入部より

時光代理人の魅力

魅力その①アニメとしての作りこみ

上に引用したアニメ導入部でのメインキャラクターの掛け合いから、この作品の「舞台となる写真館」「3人の役割と簡単な関係性」「トキとヒカルの能力」が見えてくる。

公式Twitterアカウントフォロワー1万人突破記念の投稿

また、エマ回・ラーメン回・バスケ回・番外編・ドードー回と進む中で、最終話に向けた展開示唆を並行して進めている点や、2人の能力や過去改変についてのルール・制約条件が徐々に明らかになっていくところも上手い。「分岐点」の説明をバスケ回で初登場させ、ドードー回で応用、おそらく1期最終章のシャンシャン回でもうまく活用している。
これによって最初のうちは「ラーメン美味そう」「バスケかっけぇ」くらいの感想しか持っていなかった多くの視聴者が「あれ、これってどういうことだ??」「あ、そういうことか。なるほど、わからん」という体験を通じて作品にのめりこんでいく。完全に制作陣の手のひらで転がされている状態である。楽しい。

魅力その②瀟洒なオープニング映像

オープニングがお洒落。ヌルヌル動く。曲もいい。誰か訳して。

魅力その③ミステリ・サスペンス要素

自分としてはここが一番の魅力。冒頭でも書いた通り、1話完結だと思っていた作品が実は#01から並行していた展開に収束していく。各話でそれぞれ完結するストーリー(それ自体も十分面白いが)そのものが、実は「能力やキャラクターについて視聴者に理解させる」本線進行のための布石になっている。
#08あたりからは「あれ、あのときヒカル何て言ってたっけ」とそれまでの配信を無限周回するほどには引き込まれていく。同時期に配信されたクライマックスPVまでどのように話が進行するのか、だれがカギを握っていて、どう解決するのか。
ミステリ作品に必要不可欠な「読者(視聴者)を謎にのめりこませ、最低限のヒントを与え、勝手に考察させる」という手法にまんまとはまってしまう。悔しい。


ミステリとして読み解く時光代理人

ネタバレを含むので詳細は省くが、#11までを見終わった現段階で「この『事件』の真犯人」について(日本語で書かれた)考察や説がほとんど無く、ある種の「物足りなさ」を感じてこの記事を書いている。
「軽食」を求めて見始めた『時光代理人』だが、気が付けば自分自身で「高カロリー作品」にしてしまっている。

来週日曜日、#12の放送が終わり一気見勢が参入して2期の日本での放送を早めるくらいまでに人気になっていることを祈って(ANIPLEXさん、お願いします)。

追記
ついに完結しましたね。2期が楽しみで仕方がない終わり方でしたが、1期を振り返りながらゆっくり待ちたいと思います。
▼▼▼最終話後に書いた考察記事もあるのでぜひ▼▼▼


#時光代理人 #2022年冬アニメ #アニメ #アニメ感想文 #中国アニメ
#時効代理人 (ではない)

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