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【プロ野球勝手にノンフィクション】『ショートは打たんでええ』は本当か?#12

5月21日、22日の試合はいずれも阪神が2対1で接戦を制し、2位広島とのゲーム差を2.5に広げた。2試合ともに攻守にわたって近本、中野の存在感が際立った。

木浪はフル出場はしたものの無安打。守備機会も少なく、カード3試合目、9回裏に試合を終わらせた併殺のPV以外見せ場はなかった。

2試合無安打に終わったものの、打席の内容自体はさほど悪くなく、良い当たりが野手の正面を突くなど不運に見舞われた。

打席を振り返ると、21日の対森下との二打席は、木浪の打撃の特徴がよく表れていた。

1打席目は、外から中に入ってくる「バックドア」を空振り三振に終わったが、これは昨年から真ん中から外に逃げていくツーシーム系と合わせて木浪がバットが空を切る傾向にある球種。意図的かスイングの癖か知る由も無いが、木浪は下からバットを出すとき、もしくは出てしまうときがよくある。この打席の三振はその結果といえた。

2打席目死球の後の三打席目、木浪は高度な打撃技術を見せた。森下の145キロのインコース際々のボールを右飛に終わるも、肘を巧みにたたみインパクトの瞬間から右手1本で右翼線まで運んだ。木浪のこのバットコントロールに解説の広島OB天谷宗一郎氏も「8番打者でこの打撃技術。レベルが高い」と感心していた。

この打席の内容を評価されたかどうかは不明だが、木浪は9回、左腕の塹江敦哉に対しても打席を与えられた。少し前なら、右打者を代打に送られる可能性が高かったケース。チームがリードしていたこと、二死無走者であったことがその理由だったかもしれないが、いずれにしても久々となる試合終盤での左腕投手との対戦だった。

塹江は今季から投球フォームを横手投げに変え、150キロを超える球速を保ちつつ制球力を向上させていた。広島の中継ぎに不可欠の存在となった塹江に対して木浪はカウント0-2と149キロの外角速球で追い込まれながら2球ボール、2球ファールで粘りを見せる。

結果、外角低めのスライダーをセカンドゴロとなったが「150キロのストレートを意識しながらのスライダー対応」を実践した内容のある打撃だった。

広島3連戦を終え、木浪の打率は.220。カード前の.230から下がりはしたものの、打撃の内容を見ればさほど悲観するような状態ではなかった。

次の巨人戦、昨年得意としていた戸郷を打って、自身の打撃の本格的な復調を印象付け交流戦に臨みたい、木浪はそんな心境だったに違いない。

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