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【プロ野球勝手にノンフィクション】『ショートは打たんでええ』は本当か?#7

5月9日からは横浜スタジアムで対DeNA。この三連戦から、岡田監督の木浪の起用法に変化が生じる。象徴的だったのが初戦。この日、木浪は相手先発投手の東から1安打していたが、同点で迎えた9回1死三塁、勝ち越しの場面で代打を告げられた。

マウンドには右腕の森原。右投手相手に代打を送られることは昨年にはなかったことで、今季の木浪の打撃に対する首脳陣の信頼度低下がファンにも伝わるような岡田監督の采配だった。
 
翌10日。木浪は、相手投手中川、徳山からそれぞれ安打を放つも、2点差を追う9回表、二死無走者で打順が回るが、前日同様、投手森原を前に代打森下を告げられる。

試合の終盤、同点もしくはビハインドの局面で打順が回ると投手の右左関係なく代打が送られる、打撃が昨年のように上向きにならない限りこうしたケースが常態化していく。木浪にこうした覚悟を余儀なくさせる背景には、チーム事情、ベンチ入りメンバー構成の変化が少なからず影響している。

その要因として、今DeNA三連戦から1軍に昇格した井上広大がスタメンに名を連ねるようになり、外野手の先発起用が流動的になったこと、また、かねてから捕手二人体制にシフトしていたこともあり木浪の定位置「8番」が代打のメイン対象となったことが考えられる。

今季これまで阪神の代打起用は主に、糸原、原口の二人にスタメンから外れたノイジー、前川いずれかの3人で運用されていたが、井上の台頭で森下が代打陣に名を連ねるケースが出てきた。さらに佐藤輝明も時にベンチを温めるときがある。阪神は皮肉にも貧打ゆえ、気付けば代打の層が厚くなっていた。

こうしたチーム事情に加えて自身の不振。打撃に関して、チーム内の序列に昨年とは異なる変化が起きていることを木浪が呑み込めないはずはなかった。

カード三戦目。阪神才木が大貫との白熱の投手戦を1対0で制した。木浪はフル出場も遊ゴロ、二ゴロ、三振。3打数無安打で打率.223。打撃の内容は、今季を象徴するもので、初球の外角球見送りから始まる打席のスタイルはこの日も修正されなかった。

今季はインコースしかヒットゾーンがない。速い球に対応はできてはいるもののインコースのみ。外角の球、とりわけスライダー対応を試みるケースを目にすることができない。相手バッテリーがカウントを整えにくる外角の球を、三遊間または左前に運べなければ「恐怖の八番打者」復活はない。

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