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Episode 15. 時空の架け橋

今日からは、ちょっと気分を変えて、さきちゃんの好きなことの話をしよう。

さきちゃんは、楽しいことやワクワクすることがあると、ぷーに話して教えてくれるんだ。
さきちゃんが好きなこと、いろいろあるけど、今日取り上げるのは、落語。

落語って、めちゃくちゃおもしろいんだって。
ぷーもさきちゃんと一緒に聞いたことあるけど、確かにおもしろい。
落語歴十数年のさきちゃんが教えてくれたとっておきの噺を紹介するね。

その名も「火事息子」。
「かじむすこ」って読む。

さきちゃんは、柳家三三(やなぎやさんざ)師匠のやる火事息子が大好き。

どんな噺かって言うと、
江戸の火事を始末する火消しに憧れた大店(おおだな)の若旦那が臥煙(がえん)となり、勘当されるものの、数年後の火事の時に実家を助ける!
というストーリー。

ちょっと落語の専門用語が多すぎたかな。
ぷーが解説しよう。
江戸時代には、「火消し」と呼ばれる職業があったらしい。今でいう消防士みたいなものかなあ。いろんな種類の火消しがいたみたいなんだけど、由緒ある商店の息子さんである若旦那がなったのは、「臥煙」という火消し。臥煙たちは、全身に入れ墨を入れて、みんなからちょっと恐れられていたらしいよ。
その臥煙になった若旦那は、両親と縁を切って、火消しの道を進むことになる。

噺の中で、三三師匠演じる若旦那が、臥煙として颯爽と家々の屋根の上を駆けるシーンがあるんだけど、それがすごくかっこいいんだって。

さきちゃんはこの若旦那の、自分が選んだ生き方をまっとうしているところに惹かれるんだって言ってた。
誰かが示した道にしろ、自分で拓いた道にしろ、自分で決めたことを一生懸命やっている姿はかっこいいよね。

さきちゃんによると、落語の噺は、現在の自分と通じるものを時代を経て与えてくれて、考えさせてくれるんだって。
火事息子の若旦那も、自らの前に用意された進路と本当に自分がやりたいことの違いに悩んだのかな。
そもそも自分が本当にしたいことはそう簡単に見つかるものなのかな。
若旦那は臥煙という生き様を見た時、何を思ったのかな。

想像は尽きないよね。

だから、落語は面白い。

笑いあり、涙あり、怖さあり、なんでもある。
江戸の人々の臨場感あふれる物語たちが、ぷーたちを過去と繋いでくれる。
明日と向き合う元気をくれる。

さきちゃんは、一度でいいから、江戸の夜空を駆け抜ける臥煙の姿を見てみたかったって言ってた。

それでは、また明日。

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