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#015 大谷翔平・水原一平の違法賭博疑惑報道と水原氏の解雇問題からの考察~信頼だけではダメ。内部統制の重要性と不正の機会~

こんにちは。独立公認会計士の奈須大貴です。

先週、驚くべきニュースが届きました!!!
メジャーリーガー大谷翔平選手の通訳である水原一平氏が所属球団のドジャースから解雇されたというニュースです。
報道によりますと、水原氏は違法賭博に手を染めており、さらに賭博で生じた借金を返済するために大谷選手から大規模な窃盗を行ったということでドジャースから解雇されたという内容でした。

このニュースについては、いろんな情報が飛び交っており、また、これから本格的な調査が行われるということで何が事実なのかは明らかになっていない部分も多いですが、私なりに考察してみました。

先に述べたように、今回水原氏がドジャースを解雇された理由は、
違法賭博に手を染めており、そこで発生した借金を返済するために大谷選手から大規模な窃盗を行ったということです。

驚くべきは、この窃盗金額。

日本円でおよそ7億円!!!
すごいですね。。。

「大谷選手可哀そう!!!」

こんな風に思った方も多いんではないでしょうか!?

しかし、私はこのように思いました。

「大谷選手側の管理体制が壊滅的だったんだろうなぁ。。。」

ん???お前は、なにを言ってるんだ???

「窃盗をするほうが悪いだろ!?」
「なんで、大谷選手側に問題があるとか言ってくれてるんだ!?」

そんな声が聞こえてきそうです。

ですので、以下では「大谷選手の管理体制のどこに問題があったのか」について解説していきたいと思います!!!

皆さんが、疑問に思うのは、
「7億円もの大金をどうやったら盗めるのか???」ということですよね。

この点について、私は以下のように推測しました。

・大谷選手の口座管理を通訳の水原氏が行っていた。
・水原氏は、大谷選手の許可を得ることなく、大谷選手名義の口座から送金を行える状態であった。
・大谷選手は、水原氏を信頼していたため、資金についてなにも確認を行っていなかった。
※上記は、事実とは全く異なる可能性もございます。

あくまで私の推測ですが、これは、最悪な状態です。
内部統制、管理体制が全くないに等しいですので、
この事件は起こるべくして起きたといえるでしょう!!!

どういうことなのか???

ここで、大谷翔平選手の年収などの金銭事情について触れておきましょう。

私が調べたところによりますと、
大谷選手の2023年の年俸は、約40億円だったそうです。
さらにスポンサー契約などの収入が最低でも50億円はあるんじゃないかということでした。

正確にはわかりませんが、
仮に1年間に100億円が大谷選手の口座には入金されていたとします。
この金額は、大企業の売上金額に匹敵する金額です。

これだけのお金が大谷選手の口座に入ってくる状態にもかかわらず、
他人に口座管理を任せ、他人が口座から送金できる状態で、入出金の状況や残高の確認を行っていなかったわけです(私の推測ですが)。

不正を行いたい人(今回の報道に当てはめると、水原氏)からすると、
どうでしょうか???

好き勝手出来る最高の状況ですよね!!!

先ほど、大谷選手の年収は大企業に匹敵する金額であるということで記載しましたが、大企業では、資金管理が徹底されています。

例えば、企業の口座から出金が必要な場合には、
以下のような流れで出金業務が行われるのが通常です。

(1)担当部門(購買部などの現業部門)
出金が必要な理由と金額を資金部に報告
※「部門の担当者が報告書を作成し、上長が承認をして、(2)に進む」という場合のほうが多いでしょう。

(2)資金部(財務部)担当者
報告内容を確認し、出金依頼

(3)資金部(財務部)管理者
報告内容を確認し、出金金額・支払先などを確認して、出金の承認

(4)実際に出金がなされる

ここでのポイントは、以下の通りです。
①担当部署が出金を行うことができないこと
②出金処理を行うのは、記帳などを行う経理部でもなく、資金部(財務部)が行うこと
③資金部(財務部)担当者が出金依頼をした後に、その上長が承認をすること

一方で、大谷選手の資金管理はどのように行われていたかというと、
(先にも記載していますが、こちらは私の推測にすぎません)
・大谷選手の口座管理を通訳の水原氏が行っていた。
・水原氏は、大谷選手の許可を得ることなく、大谷選手名義の口座から送金を行える状態であった。
・大谷選手は、水原氏を信頼していたため、資金についてなにも確認を行っていなかった。

会社に当てはめると、水原氏が担当者であり、大谷選手が資金部(財務部)の役割を果たすべきなんですが、まったく行えていません。

これでは、不正な出金が行われてもなんの不思議もないですし、
管理体制が脆弱なため、「そんな管理を行っていたあなたが悪いですよね」と言われても文句ひとつ言えない状況です。

ここで、もう一つ。
「不正のトライアングル」というものも紹介します。

これは、「動機・プレッシャー」、「機会」、「姿勢・正当化」という3つの要因が揃ったときに「不正が発生する」というものです。

それぞれ簡単に言うと、以下の状態です。
<動機・プレッシャー>
不正行為を行う動機やプレッシャーが存在すること
<機会>
不正行為を実行する機会が存在すること
<姿勢・正当化>
不正行為を正当化する理由や思い込みが存在すること

これらが、そろったときに不正は起きてしまうんです!!!

では、今回の報道について当てはめてみるとどうなるでしょうか???

水原氏は、違法賭博による借金を抱えており、借金を返済しなければならないという経済的な動機があり、その経済的な動機から解雇理由にもなっている大規模な窃盗(不正)を正当化する理由があったと言えます。

また、先ほど述べたように大谷選手の資金管理状況は壊滅的であったと言わざるを得ず、不正を実行する機会が存在したことになります。

このように、不正が発生する要素が見事に揃ってしまっていたわけです。

では、どうすればこの不正(大規模な窃盗)を防ぐことができたのか!?

私は、大谷選手の資金管理状況が壊滅的でなければ、この不正は防ぐことができたと考えています。

これは、先ほどの不正のトライアングルの3要素のうち、最も重要なものは!?ということになるんですが、実は「不正のトライアングル」のうち、最も重要なものは「機会」なんです。

どれだけ「動機・プレッシャー」、「姿勢・正当化」の要因が揃ってしまったとしても、不正を実行する「機会」がなければ、不正を実行することはできないからです。

今回の大規模な窃盗という不正ですが、
確かに水原氏には「動機・プレッシャー」と「姿勢・正当化」という要素がありました。

しかし、不正を実行する「機会」がなければ、この問題は生じえなかったのです。

では、この「機会」を与えてしまったのは、誰なのか???

残念ながら、大谷翔平選手です。
※私が勝手な推測をしているため、このような結論になっていますが、事実と異なる可能性もございます。ご了承ください。

以前からテレビなどで見る限り、大谷選手と水原氏は非常に仲が良く、また、双方に信頼しているように見えていました。

しかし、その信頼という理由だけで、必要な管理体制を構築することを怠ってしまい、このような不幸なことが起きてしまっています。

今回の非常に残念な報道から、
やはり、「管理体制」「内部統制」は重要だということを強く感じました。

今回は、大谷選手という一見特殊なところで、不正が発生していますが、
このような不正はどこでも起きうる話です。
特に管理体制が不十分な中小企業においては、不正が起こる可能性は高いです。

報道のような残念なことが起きないようにしっかりとした「管理体制」「内部統制」を構築することが重要であり、また、不正の「機会」を与えないことが不正防止の観点からは重要となります。

以上、大谷翔平選手・水原一平氏の報道から、私が思ったことでした。

長文になりましたが、
最後までお付き合いいただきありがとうございました。

では、また次の記事でお会いしましょう!!!

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