まあ太のぼうけん その14 その後
その後
カラス天狗は検定試験に合格し、大天狗となりました。以外と努力しているみたいです。
犬はどっかに行ってしまって便りもないかと思うと、ひょっこり家族を連れてやって来て、まあ太の村で暮らしています。熊を倒すだか言ってます。
ゴリラは自分の温泉街を他のさるたちに任せ芸事に励んでいます。
もうすぐギャングスターラップとやらであのテレビジョンに出るそうです。
まあ太の村でも学校が始まりました。
まあ太は相変わらずクラスの隅っこにいて話をするような人はいません。
そして旅に出た以前のように上履やジャージが無くなったり、椅子に画鋲が落ちてたりするのです。
またあるときは特に何もしていないのに追いかけられ、全身泥まみれで家に帰ってくる事もありました。それはつらいことで、もう耐えられないと思うことも幾たびかありました。
今日もそういうことがありました。
ある時おっ母と夕飯を食べておりますと、突然まあ太はあの3人と行った旅の事を話し始めました。
カラス天狗と会った事白狼と呼ばれる大犬にに助けられた事、
さるの温泉でゴリラたちに丁寧にもてなされたこと。それから鬼のいる島へ行き、もうだめだと思った事。
まあ太は小さな子どもだった時のようにずっとしゃべり続けました。
おっ母は、まあ太が話し続けることを黙って聞いた後で一度箸を置きました。
まあ太も箸を置きました。
「おまえはすごい旅をして来たんだねぇ。おまえが帰って来た時、おまえの顔が違って見えたのはそのためだったんだね。いいかいまあ太。
人は死を意識した時に初めて大人になる。おまえは大人になったんだよ。」
そこまで言うと、おっ母は再び夕飯を食べ始めました。まあ太も食べ始めました。
次の朝
「学校行ってくるわ。」
まあ太は学校へ行きました。
おっ母は「行ってらっしゃい。」しか言いません。
あんまり変わって欲しくはない。心を痛めながらもそう思いました。
まあ太の背中におっとうが重なりました。
おっ母の病気はさるの温泉に通い始めたおかげで大分良くなったそうです。
夕方
「ただいまー。帰って来たぞ。」
そう言ってまあ太は、かばんと靴下を放り投げてごろんとしながらマンガを読んでいます。
勉強はあまりやらないみたいです。
けれどもまあ太はカラス天狗のところに行って神通力を習ったり、犬にパンの耳と引き換えに獣拳法を習ったりしています。
また、おっ母とさるの温泉に行ってはゴリラに自分の世界と外の世界がどうやったら分かり合えるかについて丁寧に教えてもらったりしました。
もしつらいことがあった時に、どう思ったらよいかも習いました。
そうやってまあ太の時間は過ぎていくのでしょう。
多少の不幸は誰にでもありますが、それでもおっ母とまあ太はしあわせに暮らしましたとさ。と古代の書物が伝えています。
おしまい
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