いかり

いかりがぼくをふるわせる
いかりが此の瞳を濡らして
いかりがまた僕に夢をみさせる
いかりがまた朝に手を振り
ぼくはその〝 いかり 〟という奴と
おおきな喧嘩をしたりもする…
いかりがぼくをうごかして
いかりがぼくを歌わして
いかりがぼくを微笑わして
いかりがぼくをときめかせる

いかり、いかり、いかり
いかり、いかり、いかり
ときにいかりは
止まらない
蟻地獄に嵌ったように
烈しい嵐に吹かれるように
いかりはとまらなく
苛立ちは重なり
心は叫んでいる
ときにいかりは
ぼくをかなしませる

でも でも
過ぎたるは及ばざるが如しほどの
いかりは
人が明日を
人がずっとその先の未来を
生きていくためには
必要なものなのだと
いまのぼくは思う
いかりよ
これからも、よろしく。

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