初夏

初夏の風が
窓から入ってきて
グラスが午後の光を
テーブルの隅にあつめる
なつかしいあの歌を
頭の中に流しながら
窓の外の木々の揺れを
ただ眺めている

夕立が降るのを待つ人たちは
喫茶店で待ちぼうけ
モカ珈琲かくまで苦いな
誰かの些細な偏りに
面を食らって
涙が枯れるほど
毎晩、泣いていたのさ
公園通りを歩けば
花が薫るこの季節の中で
路肩に咲く花の名も
わからないままで
歩いていくんだ

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