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患者になったら病院が好き

今日は妊婦健診。
少し遠いけど、以前働いていた総合病院の産婦人科に通っている。


私は病院のシステマチックさが好きだ。
働く人は病院という巨大な組織の歯車で、それぞれの場所で決められた役割どおり動く。
訪れる患者には番号が割り振られ、スムーズに流れていくよう管理されている。
清潔で無機質な箱に様々な人生が詰まっているこの感じ。

診察券を機械に通すと受付票が発行される。
受付票には今日まわるべき場所と時間が記載されていて、さながら院内スタンプラリーのよう。
高齢者に配慮されたのんびり運行のエスカレーターで運ばれながら、今日は何時間コースかな、と考える。

血圧計がジジジ…と打ち出した紙に名前と体重を書く。受付に持って行くと、係のお姉さんは素早くカルテを確認して、赤いボールペンで何やら記号を書き込んだ。
「次はここへ行くのよ」と教えてくれる親切な村人みたいだなと思いながら、一日中繰り返されるであろう無駄のない動きに少し見とれる。
今日も私は血圧が低い。

モニターで主治医の名前を確認して診察室の前に座る。主治医はいかにも頭脳明晰な女傑といった佇まいで、さっぱりした物言いが気に入っている。
一人目を出産した時にも診てもらっていたが、当時とは彼女の名字が変わっていて、もちろんプライベートまで踏み込む間柄でもなく何も聞くことはないけれど、同業の先輩の人生に少しだけ思いを馳せる。

今日はお腹の上からエコーをあててもらい胎児のサイズチェック、子宮底長の測定で終了。
次回は3週後。

決められた一定のリズムで物事が進んでいくのは心地よい。もはや自然の一部ではないかと勘違いもしてしまう。
ずっとこんな時間が続けばいいのにな。

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