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信州の民謡~南信地方

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信州の民謡を紹介します。 ここでは南信地方の民謡をまとめてみました。
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2024年2月の記事一覧

《岡谷糸ひき唄》~日本の近代化を支えた工女のつぶやきの唄(長野県岡谷市)

日本の製糸生産量のトップであったのが、信州諏訪地方でした。生糸の品質がよく、日本の輸出総額の1位が生糸であった時代もありました。世界大戦後、製糸業が衰退し、諏訪の精密機械工業が盛んになります。しかし、その基盤にあったのが製糸業であったともいえます。 その製糸工場で働いていたのが工女さんです。その若い女性たちが糸ひき作業の折に歌ってきたものが《糸ひき唄》です。 唄の背景 岡谷の製糸業 蚕の繭から糸を取り出し、生糸にすることが製糸です。歴史は古く、中国から伝来したものと考えら

¥200

《上町絵島》~山里に残る悲哀に満ちた踊り唄(長野県飯田市)

遠山霜月祭で知られる飯田市上村。秋葉街道の通る上村の中心地に上町宿がありました。この地の盆踊りは無伴奏で古風な唄に合わせて踊られてきました。その中に、江戸時代中期に起こった江島生島事件を題材とした《絵島》という踊り唄が残されています。 ※本来は「江島」が正しく、物語などで「絵島」が使われるようです。この唄を伝える地元でも《絵島》の表記が使われていますので、本文では楽曲名には《絵島》で表記します。 唄の背景 江島生島事件 江島(1681~1741)とは、江戸時代大奥の年寄

¥100

《上町ショーガイ》~粋で洗練された旋律の踊り唄(長野県飯田市)

遠山霜月祭で知られる飯田市上村は、かつて信州諏訪と遠州秋葉山を結ぶ秋葉街道が通っていて、その中心地には上町宿がありました。 この地の盆踊りは無伴奏で古風な唄に合わせて踊られてきました。 その中に、《ショーガイ》という踊り唄が残されています。 唄の背景 優雅な雰囲気の踊り唄 旧上村(現飯田市上村)は、かつて門村(かどむら)と呼ばれていました。秋葉街道の宿場でもあった上町(かみまち)の盆踊り唄には《絵島》《ノーサ》《よこばば》《おんたけ山》等があります。この《ショーガイ》は

¥100

《上町よこばば》~素朴で古雅な節回しの踊り唄(長野県飯田市)

遠山霜月祭で知られる飯田市上村は、かつて信州諏訪と遠州秋葉山を結ぶ秋葉街道が通っていました。 その中心地には上町宿がありました。この地の盆踊りは無伴奏で古風な唄に合わせて踊られてきました。 その中に、《よこばば》という不思議な名前の踊り唄が残されています。 唄の背景 古い旋律を感じさせる踊り唄 旧上村(現飯田市上村)は、かつて門村(かどむら)と呼ばれていました。秋葉街道の宿場でもあった上町(かみまち)の盆踊り唄には《絵島》《ノーサ》《ショーガイ》《おんたけ山》等がありま

¥100