発達障がいの傾向がある幼児が周囲の幼児と共に育つための支援促進に関する研究

宮崎学園短期大学 保育科 中川 志保

 保育園等において発達障がいの傾向がある幼児が、診断を受けている幼児よりも多く,クラスに複数いることも珍しくない現状がある。そのため保育者は、発達障がいの傾向がある幼児の特性を理解し,ニーズに応じた支援を行うことを模索している。しかし、ニーズに応じた支援はもちろん重要であるが、周りの幼児への支援も必要である。それは、クラスや集団をまとめるという考え方ではなく,どちらも主体であるという考えが必要とされる。
 そこで、本研究では,発達障がいの傾向がある幼児とその他の幼児との相互作用によって共に育つための保育者の有効な支援の在り方を明らかにすることを研究の目的とした。
 研究の方法は,発達障がいの傾向がある幼児の実態と保育者の支援について,先行研究調査,保育者への質問紙調査,保育者への半構造化面接調査,発達障がいの傾向がある幼児のエピソード記録,園内研修後質問紙調査,参与観察を行い考察した。

 考察の結果、保育者は発達障がいの傾向がある幼児に対して悩みをもっていること,その支援に迷っていることが浮き彫りになった。そして,発達障がいの傾向がある幼児も周りの幼児も共に育つ支援を求めていることが確認でき,その方法としてインクルーシブ保育が有効であることが明らかとなった。多様性を前提とし互いを認め合い,共に育つインクルーシブ保育が,保育を行ううえでベースとなる保育であると感じている。皆が安心して自分の力を発揮できるクラスがつくられていくことを心から望んでいる。

《発表論文》
1.(2019)インクルーシブ教育に関数保育者の 知識と意識の実態に関する研究 日本教育工学会研究報告集,pp.171-176
2.(2020)インクルーシブ保育に対する保育者の実態と積極的な実施のために必要な研修要素 日本教育工学会研究報告集,pp.45-52


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