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黄金時代に生きた人々の結婚愛①

結婚愛 No.75

  ある日、私スウェーデンボルグは結婚愛について瞑想していましたが、いわゆる黄金時代に生きていた人たちはどんな感じだったか、またその後の白銀・青銅・鉄の時代と呼ばれている時代はどうだったかについて知りたいという思いが強くなってきました。

 その時代に生きていた人たちは、みんな天国にいることを知っていたので、彼らと話して教えてもらうことが許されるよう、私は神に向かって祈りました。

 すると、私の傍に天使が立っていて、次のように言いました。
・私はあなたの案内役になるため、神から遣わされました。

・まず黄金期と呼ばれている最初の時代に生きていた人たちの所へ、あなたをお連れしましょう。

・彼らの所へ行く道は、険しく薄暗い森を通って行きます。その森は神によって任命された案内役がいなければ、だれ一人通過できません。


 私は霊のうちにありましたが、旅支度をしました。

 私たちは顔を東に向けました。ずっと行くうちに山が見え、その頂上は雲を突き抜けています。

 広大な砂漠(荒野)を通り抜け、各種各様の樹木が一杯に茂っている森にやって来ました。

 天使があらかじめ教えてくれたとおり、樹木が密生して暗くなっています。その森の中は沢山の細い道に分かれています。

 天使は、次のように言いました。
・こんなにも沢山の間違った回り道があるのです。

・神によって目が開かれ、ブドウのつるが巻き付いているオリーブの木が見え、オリーブからオリーブへと歩いていかなければ、旅人は巡り巡って、周辺のタタール地獄(奈落)に行ってしまいます。

・この森は接近を守る目的のためにあります。というのは、あの山には、最初の時代の人たちしか住んでいないからです。


 私たちは森の中に入りました。すると眼が開いて、あちこちにブドウのつるが巻き付いているオリーブの木が見えました。それには青色のぶどうの房が垂れ下がっています。オリーブの木はどこまでもグルグル回る輪のように植えられています。

 私たちはその木を見ては迂回しました。やがて背の高い杉の木が生えている森を見ましたが、その枝には何羽かのワシがいます。

 それを見て天使は「ここはもう山の中で、もうすぐ頂上です」と言いました。

 私たちはずっと進んで行きました。すると森の果てに円形の草原があり、雄のヒツジと雌のヒツジが草を食んでいます。

 これは山に住んでいる人たちの「純真無垢と平和な状態の表象する形」なのです。

 その草原を突き抜けて行きました。見ると、何千という幕屋が、前面と側面の視界に広がって見えてきました。

 天使は、次のように言いました。
・さて、ここは主エホバの軍隊がいる陣営の中です。

・彼らは自分たちとその住まいをそう呼んでいます。

・最古代の人たちは、この世にいたとき幕屋に住んでいましたが、今でもそうです。

・さて、私たちは南への道に向かいましょう。そこにはもっと知恵のある人(賢明な者)がいます。そこの誰かと会って話を交わしましょう。


 その方角へ向かっていく途中、あるテントの入口に、三人の少年と三人の少女が座っているのを遠くから見つけました。

 ところが、近づいてみると、中位の背丈の男性と婦人たちでした。

 天使は「この山に住んでいる人たちは、遠くからは皆、子供に見えるのですが、それは純真無垢の状態にあるからです。幼児は純真無垢の表れ(外観)です」と言います。

 男たちは、私たちを見てやって来ました。そして、次のように言いました。
・あなた方はどこから、どうやってここにいらっしゃいましたか?あなた方の顔つきを見ると、この山に住んでいる人の顔ではありませんね。

 そこで、天使は森を通ってこちらへ来るチャンスが与えられたことと、その理由を話しました。

 それを聞いて三人の男たちの一人は、私たちを招き、自分の天幕の中へ案内しました。

 その男は青(すみれ)色のマントを羽織り、真っ白のウールで作ったシャツの衣服を着ています。

 そして、その男の妻は赤紫色のガウンを身にまとい、その下に刺繍の入ったブラウスを身に付けていました。


 それで、私は最古代の人たちの結婚について知りたいと思って、その夫と妻を代わる代わる見つめましたが、その顔には二人の魂が一つになっている様子がわかりました。

 私が「お二人とも一つなのですね」と言うと、男が、次のように答えました。
・私たちは一つです。彼女の生命は私の中にあり、私の生命は彼女の中にあります。

・身体は二つですが魂は一つです。私たちの間の一体化は、胸の中にあって、心臓と肺と呼ばれている二つのテントのようなものです。

・彼女は私の心臓ですが、私は彼女の肺です。

・心臓は愛を表し、肺は英知(知恵)を意味しますから、彼女は「私の英知の愛」であり、私は「彼女の愛の英知」です。

・というわけで、彼女の愛は私の英知を外側から包んでいるのに対し、私の英知は、彼女の愛の中に内在しています。

・したがって、あなたが言われたように、私たちの顔には魂の一体化が現れているのです。


 それで、私は、次のように問いかけました。
・それほど一致しておられるのでしたら、ご自分の奥様以外の他の女性を眺めることなど出来ないですよね?

 すると、夫は、それに答えました。

 この続きについては、また次回以降で記します!お楽しみに~。

【神保慶明の解説・補足コメント】 
 今回は、黄金期と呼ばれている最初の時代に生きていた人たちの結婚愛を知る、スウェーデンボルグの体験が始まりました。

 彼ら黄金時代の人々しか住めない山があり、その山に向かう途中は、薄暗い迷路のような森で、彼らが外部から守られていることがわかります。

 その森を出ると、雄のヒツジと雌のヒツジが見えて、天国らしく、これらのヒツジは、その山に住んでいる人々の「純真無垢と平和な状態」を象徴している外観だとわかります。

 スウェーデンボルグが、黄金時代の人々を遠くから見ると、最初は純真無垢な幼児たちに見え、近づくと、中位の背丈の男性と婦人たちに見えるのも天国でよく見られる特徴です。

 彼らが、スウェーデンボルグの顔つきを見て「あなたはここの住人ではない」とすぐに見抜いたことから、顔が「魂の精神性を露わにしている」ことがわかります。

 スウェーデンボルグも、彼ら夫婦の顔を眺めただけで「二人の魂が一つに一体化」していることを認めました。

 夫が、自分たち夫婦の関係を「胸の中で、心臓と肺と呼ばれている二つのテントのようなもの」「妻の愛は夫の英知を外側から包んでいる。それに対し、夫の英知は、妻の愛の中に内在している」などと語り、これらから「私たちの顔には魂の一体化が現れている」と説明しているのも大変興味深く感じました。

 さて、あなたはどのように感じたでしょうか?

 さぁ、次回は「黄金時代に生きた人々の結婚愛」の体験の続きが始まります。

 あなたご自身のイメージを膨らませながら、次回以降にもご期待下さい。

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※スヴェーデンボリ出版物からの一部、抜粋・編集
・貴族院で、サンデルス顧問官いわく
「彼は高貴な人物であり、徳と真の深い知識を褒め称えられ、王立科学アカデミーの最古会員の一人であり、我々みなが知っており、愛した人でした。素晴らしかった彼の生涯は注意深く調べられるべきです。有徳と創造主への尊敬を具現した模範的人物としてあげられるに値します。なぜなら、彼に裏取引といったものがなかったからです。私たちは、彼の中に、傲慢、無分別、欺きの意図のどのような印も発見できません」

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