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ロックバックのダブルキック

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上記のナイフはR.W.Loveless氏の”City Knife”というモデルをロックバックのフォールディングナイフにアレンジしたものです。

このロックバックのフォールディングナイフ、最近のカスタムナイフ業界のトレンドは、”ダブルキック”にしなければいけないという、なかなかめんどくさいものになっています。”ダブルキック”とは、キックを2カ所設定し、クローズド・ポジション時にブレードがハンドル内に向かって動かず、刃打ちしないシステムです。

1980年代までは、このシステムを採用しているカスタムナイフメーカーはほとんどいなかったと思います。88年に出版された"How to make folding knife"の中で、ロン・レイク氏やセント・ファンテ氏のフォールディングナイフの作り方が紹介されていますが、この”ダブルキック”には言及されていません。想像するに、おそらく90年代の後半頃、どこかの誰かが広めていったのではないでしょうか?(個人的な想像です)。もしこの辺りの詳しい情報を知っている方がいれば、ぜひお話をうかがいたいです! ちなみに私はゼロ年代の前半に、この”ダブルキック”をロックバックのナイフに採用しました。

この”ダブルキック”の作り方は、残念ながらほとんど参考資料がありません。前述の"How to make folding knife"以降、オールドスタイルのフォールディングナイフの作り方を紹介するものがほとんど無いというのも原因のひとつですが・・・そこで今回はこの”ダブルキック”の作り方のご紹介です。(ほとんど画像オンリーですが・・・)

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ロックバックのフォールディングナイフのパーツは上記の画像の通り。意外とシンプルです。これを組むと以下の画像です。

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ロック・グルーブの拡大画像。

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さて、問題のクローズド・ポジションですが・・・ちょっと分かりづらいかな?

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拡大画像は以下のものです。

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”ダブルキック”とは、上記の画像のようにタング側のキック(1)とチョイル側のキック(2)の2カ所を接触させて刃打ちを防止するものです。(1)はロックのあご部分の内側に食い込ませるため鋭角に作ります。鈍角にしてしまうと滑ってはずれますのでご注意ください。(2)はバックスプリングで受けます。

しかしながら、”ダブルキック”の効果をもたらしている部分は(1)のタング側のキックだけです。・・・本来は(1)と(2)がある条件で同時に接触するのが理想的なのですが、これが、なかなかに難しい。見た目で両方を接触させるのは簡単なのですが・・・理想の接触具合とは(1)部分が確実に97%接触していて、(2)は3%くらいで軽く接触しているという状態を作らなければいけません。・・・何言ってるのか分からないという人がほとんどでしょうが・・・スイマセン。

何が言いたいのかというと、(2)部分の接触しているウェイトが大きいと、仮組み時にクローズド・ポジションでゆっくりグゥ〜っとブレードをハンドル内に押し込むと、バックスプリングのたわみやピン穴のクリアランス等でバックスプリングを(2)のキックが押し上げ、同時にロックのあごが(1)のキックから離れていき、その結果ブレードがハンドル内に押し込まれ、刃打ちしてしまいます。ですので、”ダブルキック”が効いているのかどうかの判断が難しいのです。

そこで、私は2カ所を接触させた後、さらに(2)部分のスプリング側を再度削って、チョイル側のキックとスプリングの接触点にスキマを作っています、3/100mmくらいでしょうか・・・わずかに光が透けて見える程度です。こうすることにより、がっちり”ダブルキック”が効いているのが実感できます。

・・・では、(2)のキック部分は必用ないのでは?と思われますが、(1)のキックだけでは形状的に負担も大きく、経年変化による変形や摩耗等も考えられますし、ブレードを閉じる際のオーバーラン時に受けとなる(2)のキックもやはり必用だと思われます。

残念ながら今回もうまく文章にできませんでした、申し訳ない。しかしながら、実際に作ってみないと分からないことも多くあります。Let's tryです!

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