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博多通りもんで出来た壁

「博多通りもん」というお土産お菓子がある。
お饅頭といっていいのか分からないが、
ねっとりとしたミルキーな餡が入っていて、
緑茶にもコーヒーにも合う、
嫌いな人はきっと居ない博多ナンバーワンお菓子だ。

北海道では白い恋人、伊勢では赤福が
我が世の春を送っているように、
博多は博多通りもんが天下を取っているといっても
過言ではない。

「博多通りもん」の箱はオレンジ色と黄色。
この箱が博多駅や福岡空港でうず高く積まれている。
積まれた「博多通りもん」の占める割合がとてつもない。
レンガ造りの家みたいに、いくつもの箱が積みあがった「壁」になっている。

正直、この壁を通らずに、東京に帰れる気がしない。
目の前にオレンジと黄色の壁が立ちはだかって、
まずは気になってしまって仕方がない。

この壁を無視して、博多通りもんを買わずに
他のお土産を買う気分になれない。
相当の気持ちの強さが必要だ。
みんなも買っているし、オレンジと黄色の壁が主張してくるから、
その同調圧力に耐えられなくなるのだ。

そうして、壁の中からひとつの箱を取り出し、
レジへと向かわざるを得ない。
そして、博多通りもんは、家に帰って食べると美味しい。
これはまた次回買ってくるに決まっているではないか。

これは、博多通りもんのお菓子としてのクオリティが高いから
出来る技で、そうでもないお菓子がうず高く積まれても、
そこをスルーすればいいだけだ。

今日も博多通りもんでできた壁に向き合う人が
自分に負けて、ついミルキーなお饅頭に手を伸ばしてしまう。

豊臣秀吉に全国統一された時はこんなだったんだろうと
思わずにいられない。博多通りもんなのに。

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