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寝る前のお話の世界

子どもに読んだお話。

【三びきのやぎのガラガラドン】 
ノルウェー民話

 むかしむかし、あるところに、三匹のヤギがいました。 
一番小さいヤギは、ガラガラドンという名前でした。
中くらいのヤギは、ガラガラドンという名前でした。
とっても大きいヤギは、ガラガラドンという名前でした。
三匹とも、ガラガラドンという名前だったのです。

 さてある日の事、三匹のガラガラドンは、山の向こうへ草を食べに行くことにしました。
山の向こうの草はやわらかくておいしくて、食ベたらきっと元気で丈夫(じょうぶ)になれるでしょう。
三匹のガラガラドンが歩いていくと、途中に深い谷があって橋がかかっていました。
「小さい橋だなあ。三匹いっしょには渡れないや」
そこで最初に小さいヤギのガラガラドンが、コトコト、コトコト、橋を渡りました。
橋のまん中まで来ると、深い谷底から、
「こらー! わしの橋をだまって通るのは、誰だー!」
と、いう声がして、恐ろしい怪物が出てきました。
「ぼくです。小さいヤギの、ガラガラドンです。山の向こうへ、草を食べにいくんです」
「小さいヤギの、ガラガラドンだと? だまってわしの橋を通ったからには、草なんか食ベに行かれないぞ。おれさまがお前を、食べるんだからな!」
「まっ、待ってください。ぼくはこんなに、小さいんです。後ろから、もっと大きいヤギが来ます。どうせ食べるんなら、大きいヤギの方がおいしいですよ」
小さいヤギのガラガラドンは、小さい声で言いました。
「そうか、じゃあ、次に来るやつを待つとしよう。さっさと行っちまえ」

 やがて中くらいのヤギのガラガラドンが、ゴトゴト、ゴトゴト、橋を渡って来ます。
橋のまん中まで来ると、
「こらー! だまってわしの橋を通るやつは、誰だー!」
と、怪物が出てきました。
「ぼくです。中くらいのヤギの、ガラガラドンです。山の向こうへ草を食べに行くんです」
「ざんねんだな、中くらいのヤギのガラガラドン。お前が草を食べる前に、わしがお前を食べるんだ」
怪物は、大きな口をパクッと開けました。
「待ってください。ぼくのあとから、もっと大きいヤギがきます。どうせ食ベるんなら、大きい方がおいしいですよ」
中くらいのヤギのガラガラドンが、中くらいの声で言いました。
「そうか、じゃあ、待ってるとしよう。さっさと、行っちまえ」

 やがて大きいヤギのガラガラドンが、ドシドシ、ドシドシ、橋を渡って来ました。
「こらー! だまってわしの橋を通るのは、誰だー!」
怪物が、出てきました。
「ぼくだ。大きいヤギの、ガラガラドンだ」
「ようし、食ベてやるから覚悟しろ」
怪物は大きな口を、パクッと開けました。
「ふん、食べられるもんか! ぼくは大きいヤギのガラガラドンで、立派なツノもはえてるし、強いツメも持ってるぞ。さあ来い!」
大きいヤギのガラガラドンは、怪物に向かって突き進みました。
ドシーン!
キラキラ光る二本のツノが、怪物の目をさしました。
「ウギャーーーー!」
どんなに強い怪物でも、目をつぶされてはかないません。
大きいヤギのガラガラドンは、ゆうゆうと橋を渡りました。
こうして山の向こうの草原に着いた三匹のガラガラドンは、おいしい草をたくさん食べる事が出来ました。

はい、これで山へ行って太ってきたやぎさんのお話は、おしまいです。

子どもは素話・読み聞かせが大好き「三びきのやぎのガラガラドン」「あめだま」「白い足あと」…「食べられたヤマンバ(三まいのおふだ)」など民話・童話・物語