[書評]パターン認識と機械学習 上

https://www.amazon.co.jp/dp/4621061224

 本書は学部3,4年生や研究者、開発者を対象にしています。パターン認識や機械学習について予め知っておくことはないですが、多変数微積分や基礎的な線形代数についての知識は必要です。確率については、本書で説明しているので、これも知識は不要ですが、知っておくと理解のて助けになると思います。

第1章 序論

 機械学習における基本的な用語や数学知識について説明しています。特に機械学習の根幹となるベイズ確率は今後の理解のために、十分に理解すると良いと思います。

第2章 確率分布

 ここでは主な確率分布についての特徴を図や計算を混じえて説明しています。2値変数や多値変数、ガウス分布、指数型分布族の確率分布を説明してます。また、ノンパラメトリック法として、カーネル密度推定法、最近傍法を説明しています。

第3章 線形回帰モデル

 教師あり学習について、回帰問題について議論をしています。まず線形基底関数モデルについて解説し、バイアス-バリアンス分解、ベイズ線形回帰、エビデンス近似などについて説明しています。説明は詳細で、過学習をどう防ぐか、なぜ防げるかについても解説があります。

第4章 線形識別モデル

 分類問題を解く類似のモデルについて述べています。識別関数を用い、2クラスや多クラスの場合、パーセプトロンアルゴリズムなどを説明しています。確率的識別モデルで、ロジスティック回帰や反復再重み付け最小二乗などについても解説しています。

第5章 ニューラルネットワーク 

 章題通り、ニューラルネットワークの解説をしています。サポートベクトルマシン(SVM、詳細は下巻の7章)と比較し、ニューラルネットワークの説明から始まり、それを支える数学理論を説明しています。簡単な例を混じえつつ、逆伝播や正則化、応用例などを議論しています。

まとめ

 この本は上下の2巻ありますが、今回は上巻のみの書評をしました。数学理論の解説がしっかりしており、途中式もあまり省略せず記載されているため、議論が理解しやすかったと思います。また、コラムがあり、ボルツマンやベイズなどの数学者の活躍も面白く読めました。
 ただし、アルゴリズムはなく、数学を学んでいない人や、機械学習の初心者、とりあえず動かしたいという人には不向きで、別の本を参考にした方が良いと思います。

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