【続いてる写経 1573日め】『神護寺展』、貫主直伝の鑑賞ポイント
トーハクで開催中の『神護寺展』へ行ってきました。
ラッキーなことに、神護寺貫主の谷内弘照氏による記念講演会「神護寺の歴史と文化財」に当選。まずはこちらでレクチャー受けてからの鑑賞でした。
お話は神護寺の歴史と、今回の展示物にまつわるエピソード。
印象的だったお話を以下、まとめてみました。
国宝『両界曼荼羅(高雄曼荼羅)』の修復経緯
今回の目玉展示の一つ、神護寺が誇る高雄曼荼羅。
2011年の『空海と密教美術展』@トーハクで公開されたのち、修理に入ったそうです。
修繕は巨大なスペースが必要なため、京都国立博物館の旧オフィススペースを利用して6年かけて行われたとのこと。
修理の行程では布を裏打ちすることで、残っている金銀の部分を際立たたせたそう。
裏打ちする布は何種類か集められ、最終決定はご住職がなされたとのこと。
巨大な巻物である曼荼羅は、巻き直すたびにボロボロと塵芥が落ちてしまう。
けれども、この塵芥も「国宝の一部」。
塵芥は丁寧に集められ、”たとう紙”に包まれて、仏舎利塔のケースに一緒に保存されているそう。
展示するたびに、剥がれる可能性…ドキドキですねえ…。
国宝・薬師如来像の見どころ
神護寺さんにいらっしゃる時には見えにくい角度からも眺められるのが、博物館展示の醍醐味。
特に「翻波式衣文(ほんぱしきえもん)」の模様が見事なので、ぜひ横から見た見てほしいということ。
HPにあるジュニアガイドは細かく説明されていて、わかりやすです。
https://tsumugu.yomiuri.co.jp/jingoji/goods.html
神護寺三像が揃うのは前期展示
日本人なら誰もが知っているあの源頼朝像(ただし現在は”伝”源頼朝像)。
それと、伝平重盛像・伝藤原光能像を合わせた神護寺三像。
揃って見られるのは前期展示なので、アノ有名な”頼朝像”観たい方はお早めに。
頼朝像が有名ではりますが、かつてフランスのド・ゴール政権で文化相を務めたアンドレ・マルロー氏が絶賛したのは、「伝平重盛像」。
フランスで本作を展示するにあたり、日本側へのバーターとなったのはなんと『モナ・リザ』だったそう(1974年にきてます)。
(ざっと調べた限り、裏とれる資料は見つからなかった・・)
そう言われて、「伝平重盛像」がなぜにマルローの心を捉えたのか考えてみると、確かに他の像よりも”人間臭い”感じがしました。
国宝「五大虚空蔵菩薩」
神護寺では横一列に整列している虚空蔵菩薩様が、今回の展示では法界虚空蔵を中心に4体が前後左右に並べられてます。
また、本来は五色のお体が塗られていたのが、今は変色か、剥落してますが、残っている部分で色のついたお姿が想像できるそう。
さぞかしカラフルだったのでしょうね…。
ワタシは色なくても、良いなぁ。
その他の見どころ
十二神将がずらりと一列に並んでいるのも博物館ならでは。
ライトが作り出す説妙なシルエットにより、本堂よりもさらに神々しいお姿になっているそう。
→確かにこれは圧巻でした。
展示の様子(撮影不可部分含む)はこちらの動画から見られます。
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