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夏の安達太良、一万円以下で買える装備とその選び方(ザック編)

これから複数回に渡って、夏の安達太良登山(沼尻〜薬師岳ルート)に必要と思われる装備について紹介したいと思います。

紹介する装備は基本的に、

・普段山に登らない人向け
・一万円以下で買えるもの
・身近なお店や、ネットを通じて買えるもの

を基準に選びました。
紹介する装備は、僕が山に登るとき実際に使っている(もしくは以前使っていた)ものもあります。また、晴天下の7月末、実際にルートを試走した上でのセレクトとなっています。

紹介する装備はあくまで「最小限」のレベルです。天候条件も、てんきとくらすにおけるA〜B程度を想定しており、荒天時は基本的に考慮していません。山が荒れたときは登るのを中止するか、素直に引き返してください。
より本格的な登山に際しては、さらにしっかりとした装備を購入されることをおすすめします。

なお、紹介した装備は一気に揃えようとせず、家にあるもので代用しながら、少しずつ揃えていくでも十分だと思います。

基本的な考え方や選び方については、山食×YAMAPコラボの「初心者向け登山教室」の内容を参考にしています。興味のある方は是非こちらもご覧ください。

山と食欲と私」は、僕自身が山を始めるきっかけになった漫画です。純粋に漫画として面白いだけでなく、ちょっとした山登りのテクニックや小話なども載っていて参考になります。読むと無性に山に行きたくなる漫画です。
安達太良に行く前、公開されている回だけでもぜひ読んでみてください。
個人的にはインドカレーを作る回がおすすめです。

さて、話を本題に戻し、いよいよ装備の紹介に入ります。
項目はいくつか章を立てて、分散しながら書きたいと思います。

・ザック編
・登山靴編
・インナー編
・ウェア編
・帽子編
・水分補給グッズ編
・食事編
・行動食編
・あると便利なもの編
・下山後の楽しみ 〜温泉セット編〜

それではまずは、ザック編から。

ザックの選び方、そのポイント

ザック選びは重要です。たとえ日帰りの登山であっても、ウェア、水、食料…とザックに詰め込んでいけば、相応の重量になってきます。身体にかかる負荷も大きいため、身体に合わないザックは余分な疲れの原因になります。

チェスト(胸部)ベルトやウェスト(腰部)ベルトで身体に合うように調整できるものが望ましいでしょう。荷物の揺れを抑え、負荷も分散されるため、より「登る」行為に集中できます。また、背側がどうしても蒸れるので、背面パッドがついているものをおすすめします。

容量は日帰りであれば、10〜20L程度あれば十分かと思います。雨天を考慮し、ザックカバーを用意するか、あるいは防水素材を使用したものがおすすめです。内部のパッキングで工夫するのもアリ。

以下、ザック選びのポイントまとめです。

・ザック選びはフィット感が重要
・チェスト、ウェストベルトで身体に合うよう調整できるものを
・日帰りであれば容量は10〜20L程度で十分
・雨天時の対策を考慮する(防水生地、ザックカバーなど)

それでは、安くておすすめのザックをいくつか紹介していきましょう。

①QUECHUA (ケシュア) MH 100 20L

価格   ・・・★★★☆☆(¥3,490)
機能性  ・・・★★★★☆(4.2)
おすすめ度・・・★★★★☆(4.5)

まずご紹介するのは「フランスのワークマン」とも呼ばれる大手メーカー「デカトロン」社のアウトドア用品ブランド、QUECHUA (ケシュア) のバックパックMH 100 20Lです。

あなたがもし登山用のザックを持っていないならこれは買いだと思います。特筆すべきはその機能性。チェスト・ウェスト2点での調節機能に加え、ウェストベルトの左側にはスマホ、サングラス、行動食などが入れられる小型ポーチが付属しています。

さらにトップは容量3Lの雨蓋付き。両サイドにはメッシュ地のポケット。ザック前面には荷物を固定可能な伸縮性のコードがあしらわれ、その右手側にはポールを固定しておけるループが付属。下部にはレインカバーを収納しておけるポケット。ハイドレーション用の口やループも各所に設置されています。

これだけの機能性を詰め込みながら定価で3490円(2019/8/1時点)という値段設定は、破格のリーズナブルさだと思います。ちなみに、デカトロンのザック製品には基本的に10年の品質保証が付いています。

惜しむらくは耐水性がないこと。パッキングに防水性のあるスタッフサックを使う、あるいはザックカバーを別途購入し、対応しましょう。両方あると安心です。
防水スタッフサック兼、予備のバックパックにもなる便利アイテムがこちらです。僕も山やキャンプや出張に使用しています。1190円。

また、ザックカバーも売ってます。こちらは20-35L対応で690円。


②QUECHUA (ケシュア) NH100 - 20L

価格   ・・・★★★★★(¥1,690)
機能性  ・・・★★★☆☆(3.7)
おすすめ度・・・★★★☆☆(3.7)

続いてはご紹介するのは同じくケシュアのバックパックNH100 - 20Lです。
ケシュアといえば、390円という脅威のコスパを誇る看板商品の小型ザックNH 100 10Lが有名ですが、本製品はそのグレードアップ版ともいえる位置付けにあります。
とはいえ単に容量が倍増しただけでなく、様々な要素が追加されています。チェストベルトで安定性が増した以外に、飲み物などを入れておけるサイドポケットや、工夫次第で様々なものを吊り下げ・固定することが可能な拡張ループが追加されました。
同ブランドは一個90円のカラビナも販売しているので、それを使って色々拡張してみるのも面白いかと思います。

また、外部だけでなく内部も変更されています。
10Lにはなかった、ハイドレーションパックを収納可能な内部背側のポケット、小物類を分けておける小ポケット、鍵類を提げておけるフックなど。
各所がより機能的に進化を遂げています。

本製品は1700円(2019/8/1時点)とかなり低価格ながら、快適な登山に最小限必要な仕様を踏まえたバックパックであるといえます。デザインもスタイリッシュ。こちらも10年保証付きです。

とはいえ、値段なりのポイントもあります。
例えば生地の性質上、耐久性には優れていますが、撥水・防水仕様でない点には注意が必要です。濡れた地面には不用意に置いたりしない、雨対策としてザックカバーを持参しておくなどの工夫、対策が必要です。

またその形状から、地面に立てて置けないのもマイナスポイント。背側に寝転がってしまいやすいです。脚の間などに挟んで立てておくか、素直に寝かせてしまうしかありません。その辺は慣れもありますが、気になるポイントではあります。

とはいえ、割り切ってしまえば価格以上のポテンシャルを秘めたバックパックです。今回はバリュー重視のセレクトということで2番目に紹介しました。

③QUECHUA (ケシュア)  NH500 20L

価格   ・・・★★★★☆(¥3,490)
機能性  ・・・★★★★☆(4.0)
おすすめ度・・・★★★☆☆(3.7)

3つ目も同じくケシュアより、NH500 20Lです。
各種ポケット、内部仕切りにフック、ポール用ループなど、なかなか機能的です。特筆すべきはザックカバー内蔵だということ。別途買う必要がないのは助かります。また、MHシリーズに比べ、デザインがタウンユース寄りなのもポイント。これ一つで街から山までカバーできる魅力があります。

固定調節がチェストベルトのみなのが微妙ですが、概ね使いやすそうな仕上がりです。デザインの好みで、NHかMHを選んで良いかもしれません。


④D002 イージス防水メッセンジャーバッグ

価格   ・・・★★★★☆(¥2,900)
機能性  ・・・★★★☆☆(3.5)
おすすめ度・・・★★★☆☆(3.0)

続いて紹介するのは我らがワークマンより、イージス防水メッセンジャーバッグです。僕も一つ持ってます。主に出張用途に使ってます。

以下、公式サイトより引用。

水に濡れにくい防水バッグが新登場
水から守る!
防水素材のリュック。
急な雨天時でも安心!
サイドに便利なファスナー付き
※サイドの収納スペースは完全な防水ではありません。
リュック上部の開閉口からの収納スペースは水が中に入りにくい。
反射材とコップなどを取り付けられるループ付き
【無縫製構造】
外側に縫い目がないから、水や泥汚れをシャットアウト!

ザック表面にターポリン生地を使用しており、メインポケットは入り口を巻き込みながら固定するロール式で、防水性はダントツです。サイドとフロントはかなり降られると厳しいみたいです。ポリさんの空き地にて、実際の耐水性を検証した動画が上がっています。


荷室はメインのほか、フロント、サイドに一つずつ用意され、収納力はそこそこといったところ。容量は30Lとありますが、実容量は25L程度と考えた方がいいかもしれません。
ザック自体が1kgと多少重量がありますが、許容できる範囲かと思います。
濡れものはサイドやフロントに詰めこみ、濡れて困るものは防水性の高いメインポケットに入れることで、雨天対策のオプションを必要しない、シンプルな運用が可能です。
また、某ブランドから出ているザックに形状が近いのもポイントのひとつ。
シンプルなので山だけでなく、タウンユースもいけそうです。サイドポケットは大型で仕切りがあるため、タブレットやノートパソコンの収納にもピッタリです。

ただ、何かと微妙に使いにくいのが難点。
ショルダー部のループはいいんですが、幅広なためにやや使いにくい印象があります。普通のカラビナは付けにくいので、同じくワークマンで販売している190円で幅広めのカラビナを付けて対応しましょう。レジ脇のコーナーでよく売ってます。

サイドポケットがないのも考えもの。拡張できるのがループだけなので、GO PODのようなアイテムで拡張しない限り、いちいち荷室から物を取り出して使用することになります。その度に立ち止まっていてはタイムロスだし、雨天や足場の悪いところでは結構なストレスです。変な疲れの原因にもなります。

ワークマン製品の魅力はその店舗数と圧倒的なバリュー感による買いやすさにあります。お近くの店舗で実際の商品を確認することをおすすめします。


番外編:OMM CLASSIC 25L

価格   ・・・★★☆☆☆(¥15,500)
機能性  ・・・★★★★★
おすすめ度・・・★★★★★

最後に、僕が愛用しているザックを紹介したいと思います。

OMM CLASSIC 25Lは、イギリスの伝統ある山岳レース「OMM(オリジナルマウンテンマラソン)」の同名公式ブランドから発売されているアイテムです。
定価で15,500円と、記事の趣旨からかなり振り切っちゃってる価格設定ですが、過酷な環境での山岳レースのために開発された製品群の使い心地、機能性はまさに本物です。

世界各地でマウンテンマラソン、エクストリームレース、ウルトラ、サイクリング、ハイキング、スキー、エベレストの登頂にまで使用されている、まさに世界のエクストリームパックのベンチマークとして君臨するOMMのフラッグシップモデルです。

公式サイトより。何とあのエベレスト登頂にも使用された実績あるアイテムです。そしてここ。

重さを感じさせない」「背中に吸い付くようにフィットする」 このバックパックはあなたの歩みをこれまでにない程に軽快にさせてくれるでしょう。

これ、本当にそうなんですよ。

構造的なギミックだと思うんですが、不思議と荷物の重さを感じないんですね。今回の下見でも9時間近く背負いっぱなしでしたが「重いなぁ」とか「凝ったなぁ」と感じることは一度もありませんでした。

機能性についてはあまりにも多すぎるのでここでは敢えて書きません。
スクショで一部を載せるとこんな感じです。

いや多いな!!

基本的な性能はだいたい抑えてある、ってことだけ何となく分かってもらえれば十分です。エベレストで使用されたその実力はまさに折り紙つき。カスタマイズの余地もあり、公式から様々なオプションパーツも販売されているので、それぞれのスタイルに合わせて、さらに使いやすくしていくことも可能です。

あなたがもし、今後も本格的に登山をしたい、これから山を初めてみたいというのであれば、このザックは間違いなくおすすめです。本記事の趣旨からするとかなり高いですが、全体的な相場から考えれば十分安いほうだと思います。何より本当に使いやすい。みんなに買って配りたいくらいです。

考え抜かれた使い心地のOMM CL 25Lは必ずやあなたに素晴らしい登山体験を約束してくれるでしょう。

何だかOMMのダイマみたいなオチになってしまいましたが、まずは気軽に買えるケシュアあたりがいいと思います。
山いいなぁと思ったらOMMとか買ってください。

高いけど、それ以外の色々

値段はそれなりにしますが、他にモンベル、カリマー、ドイター、オスプレー、アークテリクスあたりの定番ブランドを攻めてみるのもいいですね。
ラン趣向であればテラノバのレーサーシリーズを。
UL志向、国内産に目を向けて山と道 MINIなんかもいいかもしれません。この前の安達太良でも一人いました。かっこよかった。
if you haveのhugあたりも好きな感じです。

ザックは2、3個あっても、山や行き先に合わせて使い回しができるので良いと思います。

それでは次回、登山靴編です。ランシューとか紹介すると思います。お楽しみに。

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