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八幡山の焼肉屋さんでバイトしたときの話2

私はバイト先のシェフとバイトの女の子と一緒に家への帰り道を歩いている。
私の手には大きなタッパー。

前日の閉店発表後に「明日の日曜日、給料を手渡すので10時に店に来て欲しい」と言われて集まった。
簡単な片付けや掃除をした後「何か欲しい物があったら持って行っていいよ」と言われ、私はコチュジャンが大量に入ったタッパーを貰うことにしたのだ。
これはシェフのサンチェさんのレシピで特別に美味しいのだ。



バイトの女の子は「あーまたバイト探さなきゃな〜どうしようかなー」と言い、シェフのサンチェさんは「私は国に帰ります」と言った。サンチェさんは韓国人とフィリピン人のハーフでお母さんの故郷のフィリピンに帰るらしい。
また東京の厳しさを思い知った。
ただ何故か二人とも清々しい顔をしていた。またいつかどこかで会えるような気持ちでさようならを言った。



家に帰り、従姉妹にコチュジャンスープを作った。
初めてのバイト代を使って外食しても良かったが、どうしてもこのコチュジャンスープを飲んで欲しかった。
サンチェさんという確かな腕のシェフが作り、そしてもう日本では食べることができないかもしれないスープを…。

スープを飲み終えた従姉妹に紙を渡された。
駅前の居酒屋でバイトを募集しているらしい。 つづく



つぶれるまで辞めるなと言われた店が閉店して少し休めるかと思いましたが当時の私は体力も時間もあり、休むことは許されませんでした。
思い出したら悪質な派遣会社みたい笑




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