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囲碁史記 No.1

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囲碁史研究家の視点により、囲碁の歴史を貴重な資料をもとに解説。 No.1は本因坊算砂から道策まで。
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#道策

囲碁史記 第20回 本因坊道策の登場

囲碁史記 第20回 本因坊道策の登場

 四世本因坊道策は本姓山崎、幼名を三次郎という。正保二年(一六四五)に石見国馬路村(現在の島根県大田市仁摩町馬路)に生まれた。
 馬路にある延長約1.4kmの円弧状の砂浜「琴ヶ浜」は、歩くとキュッキュッと音が鳴る鳴砂として知られ、「日本3大鳴き砂」の一つとして国指定天然記念物及び日本遺産に認定されている。幼い頃の道策も砂浜を歩いていたのかもしれない。
 石見(島根県の西半分)の人々が尊敬している偉

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囲碁史記 第21回 名人碁所本因坊道策

囲碁史記 第21回 名人碁所本因坊道策


道策の名人碁所就任

 道策が名人碁所に任じられたのは延宝六年であるが、その前年の御城碁(十二月二十四日)における四代将軍徳川家綱のことが『坐隠談叢』に記されている。
 御城碁では上座に将軍の席があり、いつでも将軍が見物できるようになっていたが、実際に将軍が臨席されて御前試合になることは珍しかった。しかしこの年は御前試合どころか道策に家綱から御声があったというのである。
 将軍家綱が姿を現すと、

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囲碁史記 第22回 道策の門人①五弟子

囲碁史記 第22回 道策の門人①五弟子


 名人碁所となった道策は、弟子の育成にも力を注いでいる。江戸での道策の人生において前半は安井家との戦いに、後半は小川道的をはじめとする優秀な弟子たちがライバルであった。道策には五弟子という優秀な弟子がいた。五人とは小川道的、桑原道節、星合八碩、佐山策元、熊谷本碩である。

小川道的 昔から幼少時に才能を発揮して神童や天才児と讃えられる人物がいるが、小川道的はまさにそうであった。寛文九年(一六六九

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囲碁史記 第23回 道策の門人②

囲碁史記 第23回 道策の門人②


道策の門人について今回は道策の五弟子以外の門人について紹介する。まずは大まかな関係図をまとめてみた。

吉和道玄 五弟子以外の道策門下や関係者を見ていく。その一人が吉和道玄である。
 前回紹介した五人が道策門の優秀な五弟子と言われているが、吉和道玄を入れて六天王と称しても良いのではないかと言われている人物である。
 道玄は元は道策の師匠道悦の弟子であり、道策とは兄弟弟子であったが、道策が当主とな

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