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囲碁史記 No.2

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囲碁史研究家の視点により、囲碁の歴史を貴重な資料をもとに解説。 No.2は囲碁史記 第25回から第41回まで 碁聖本因坊道策の後継者の時代から低迷期を経て本因坊察元、烈元の登場に…
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#察元

囲碁史記 第36回 中興の祖本因坊察元

囲碁史記 第36回 中興の祖本因坊察元


察元の出自 本因坊家で六世知伯、七世秀伯、八世伯元と三代にわたり当主が二十代、六段で早世したため、活力を失った囲碁界は低迷し、暗黒の時代とも呼ばれてきたが、道知以来の名人碁所に就任した九世本因坊察元の登場により低迷期に終止符が打たれる。そのため察元は「棋道中興の祖」とも称されている。
 察元は享保十八年(一七三三)、武蔵国葛飾郡平須賀村(現在の埼玉県幸手市平須賀)の間宮又左衛門の次男として生まれ

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囲碁史記 第38回 低迷から中興の時代①

囲碁史記 第38回 低迷から中興の時代①


 本因坊察元が登場する前後の囲碁界を見ていく。察元の登場により囲碁界は低迷期を抜け出し、家元の碁打ち、現代風に言えばプロ棋士たちばかりではなく、在野の碁打ち、つまりアマチュアにおいても盛り上がりを見せていった時代である。この時期、多くの素人碁打ちが登場し「素人名鑑」というものまで出された。また賭け碁打ちで名を残す人物たちが多く登場している他、御城碁においても家元の高段者のみでなく素人の参加もあっ

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