出戻りぱんだのおはなし・なな
飼育員さん、今日も来てくれてありがと!\(*ˊᗜˋ*)/♡ヤホー
出戻り語りを始めたきっかけはいつかまとめて書きたいなと思っているんだけどね、ぱんだ自身、こんなに長く続くと思ってなかったからびっくり!!(๑°ㅁ°๑)!!
前話でやっとパパに会えたぱんだですが、ここまででまだ2か月しか経ってないんだよー!!
こうやって振り返ってみると、長いのか短いのかよくわからない不思議な感覚ね(*´艸`)
前置きはこれくらいにして、七本目いってみましょ!
今日はどこまでおはなしできるかな?( ´ ᐞ ` ).。o
【注意】
今回は命を冒涜していると取られてもおかしくない、生々しく不快な表現が出てきます。
濁して書くことは頭にはないので、苦手な方は閲覧せずブラウザ、またはアプリを閉じて頂くことをおすすめします。
パパとの再会を果たした日から時間は流れ、年の暮れ。
年末年始はうちで妹ちゃん家族と一緒に過ごそうと話し合っていましたが、北海道では大雪の恐れがあるとの予報が舞い込んできます。
自宅不在時に大雪に見舞われては家に入ることが出来なくなりますし、今年は残念だけどそれぞれで新年を迎えようとなりました。
姪っ子ちゃんのことが大好きなママは楽しみにしていた分、会えないことに酷く落ち込みピリピリモード。
「はぁ・・・・・・あんたが孫のひとりでも連れて帰ってこれば良かったのに」
食後に淹れた紅茶で温まりながら、飲み込みきれない気持ちをこぼすママ。
「まま、ほんとに子ども好きねぇ・・・・・・そんなに孫抱きたいもんなの?」
ママの子ども好きは筋金入りで、昔から親戚中の子どもたち、果ては交友関係にある人の子どもにまで『〇〇ママ』と呼ばれるくらい子どもを惹き付ける人だったから野暮な質問だったかも。
「あんたでも親になって、子育てが一段落したらわかるんじゃない?」
「あはっ、一生わからなさそーだからぱんだが孫になってあげる」
ごめんね、まま。
ぱんだがもっとまともに生きて、ままが望むように普通の恋をして、結婚して、子どもを授かって。
漫画のヒロインみたいに、ぱんだには到底届かない普通の幸せを掴めていたらきっと今みたいに寂しいお顔にさせなかったよね。
だけどぱんだはね、幸せなんだよ。
ぱぱとままの娘に迎えられて
可愛い妹ちゃんに弟くん、大好きで愛おしくて大切な家族に囲まれて
たくさんの人に出会って別れて
そして今、大好きで愛おしくて誰よりも大切なお友達がそばにいてくれて。
自分のことが世界で一番嫌いなぱんだは、今世界で一番幸せなの。
「また一から育てさせる気?お母さんストレスで倒れるわ」
笑いながらの冗談。
「ひどいー!」
ぱんだも笑ってじゃれて、母娘のひととき。
そんな折にSNSで見掛けたひとつの投稿で、色々なことがフラッシュバックする。
カミサマなんて信じていないけど多分いるんだろうな。
ぱんだに、罰を与えに来たんだろうな。
ぱんだは数年前に、一度妊娠したんです。
月のものが予定よりも10日くらい遅れているのは気付いていましたが、年に一、二度はある事なので気にも止めていませんでした。
二週目あたりで普通に歩くのが困難なほどの急な下腹部の痛みと、ぬるりとした出血。
不思議なもので、この時に初めて『妊娠』の文字が頭を過りました。
無責任に避妊もせず子をなす行為を繰り返していた筈なのに、急激な不安に襲われました。
番の子を孕みたくはない、と。
いつもの生理痛とは少し違う痛みに冷や汗を流しながらも、その日は運良く仕事が休みだったため手持ちの現金でタクシーに乗れる一番遠い産婦人科へと赴きました。
問診票を記入し、診察の前に採血と採尿。
妊娠していたらどうしよう、ただの勘違いであってほしい。そう思いながら、診察のときを待ちます。
三十分ほど待合室で固まっていたでしょうか。
看護師さんに名前を呼ばれ、診察室へと通されました。
「・・・・・・失礼します」
「ぱんださんですね。まずは子宮内の検査を行いますので、下の衣服を全部脱いで検査着に着替えてください」
お医者様の指示に従いパーテーションの裏で着替えた後、ベッドに横になります。
お医者様とはいえ他人に見られる緊張と、万が一妊娠していたらと思う恐怖で目の前が真っ暗になりそう。
機械の挿入に時間はかかったものの、子宮内の検査はすぐに終わりました。
再度身なりを整えお医者様の前に座ります。
診察の結果、流産だと告げられました。
わたしはこのとき、何を思うよりも先にほっとしました。
お腹に宿った我が子を殺しておきながら安堵したんです。
水子供養はしませんでした。
番には妊娠していたこと、子どもを殺したこと、それに安堵したこと、全て無かった事として接しました。
結果は同じだとは思いますが、隠すつもりでも騙すつもりでもなく、無かったことにしました。
そしてわたし自身も、忘れる努力を重ねました。
因果応報、自業自得。
普段眠っていても夢を見ない、見ていたとしても覚えていないのに昨年末から暫くの間は繰り返し同じ夢を見ていました。
腕の中で物言わず、じっと動かぬ赤いカタマリ。
きっとあの子なのでしょう。
恐怖は感じませんでした。愛おしく思うこともありませんでした。
ただ、こんなマガイモノの子として一時でも生を受けてしまった事への申し訳なさだけが込み上げます。
一つの命を殺めておきながら、当時のパートナーを騙し続け、ままの期待すら裏切り続けて飄々と一人生き続けているのですから。
いつだったか、お友達にこの話をしました。
『母ちゃんを守ったんじゃない? 結果、元番さんとは別れたんだし、パパはこの人じゃないって。いい子だね』
感情の置き場のない涙で思考がぐちゃぐちゃになっていたため会話の細部までは覚えていませんが、そう言ってくれた記憶は残っています。
同じ命にまた巡り会えるとは思っていません。
そもそもぱんだには命を預かる資格があるとも思えません。
だけど、叶わずとも願うことが許されるなら・・・・・・。
いつかもう一度、会いたいです。
おかえりなさいと迎えたいです。
愛していると抱きしめたいです。
何かのきっかけのひとつにでもなれたなら嬉しいです\(*ˊᗜˋ*)/♡ヤホー