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会社の公式YouTubeチャンネルで10万人登録を達成するためにやったこと

こんにちは!学長です。今回はわずか2年半で、企業YouTubeの登録者数10万人を達成した社長室の動画おじさんに話を聞きました。


なぜ「社長室の動画おじさん」が生まれたのか

ー沢田さんの職業って「動画クリエイター」ということでいいんですよね?

はい。あっ…いや…やっぱり違います!「社長室の動画おじさん」です。

ーそ、そうなんですね…(うわー、面倒くさそうだなぁ)
実は私は「クリエイター」という言葉が嫌いなんです。「ハイパー何ちゃらクリエイター」みたいでみっともないじゃないですか。おじさんなのに。とてもじゃないが、恥ずかしくて鼻血が出そうになります。

ーはぁ…(沢田さんもいい歳こいて何言ってんだよ〜w)

例えば、くらしのマーケットの庭木の剪定とか、リフォームとか、世の中にはもっとクリエイティブな仕事がたくさんあるのに、なぜか動画とかゲームとか作ってる人はクリエイターと名乗りがちですよね。そういうのが嫌なので、社内では「社長室の動画おじさん」と名乗っているんです。

「私は〇〇クリエイターとか名乗っちゃう人って、視野が狭くて、物事を表面的にしか捉えていない証拠だと思うんですね〜😊」と笑顔でキツいことを言う沢田さん

ーまぁ、おじさんなのは言われなくても、見れば分かりますけれども…(こじらせてるなぁ…話題を変えよう…)それは置いておいて、そんな沢田さんはどうして、みんなのマーケットで動画を作っているんですか?

私のキャリアは動画一本槍でした!大学を卒業して以来、ずっと動画制作(当時は映像制作と呼びましたが)の現場で動画コンテンツを作り続けてきました。そこで5、6年前くらいに、ふと気が付いたことがあったんです。

ひょっとして『動画』って、もっと可能性を秘めているんじゃないか」「観て楽しむ。何かを伝える。それ以外に、もっとできることがあるんじゃないか」って思ったんです。

私は、某通信会社の運営する動画配信プラットフォームで動画コンテンツを制作していたのですが、そこではまさに「視聴者に観て楽しんでもらう」ためだけの動画を毎日作っていたんです。当時TikTokやライブ配信アプリなどの台頭でSNSの世界にもどんどん動画が入り込んできて、動画で自らが発信するのが当たり前の世の中になっていたのを横目で見ていて、「動画のビジネス領域は拡大している!」「もっと、動画の新しい領域に挑戦したい!」って思ったんです。

ー確かに世の中は変化しましたよね(沢田さん、イキイキと目を輝かせて話すなぁ!)。

その衝動に対する私の中の答えが「動画の力で事業の成長を加速させる仕事」だったんです個人がSNS等で動画で情報を発信していくのと同じように、企業も当たり前のように動画で情報発信をする時代が必ずやって来ると思ったんです。そして、動画で情報発信できる企業と、それができない企業とでは大きく差がついて来るのではないかと思いました。特にBtoCの領域ではその差が顕著になるのではないかと。自分の動画スキルでどこまで戦えるかわからないが、やってみようと。そんな思いで転職活動をして、みんなのマーケットにジョインしました。

ー入社してから、社長室ではどんな仕事をしているのですか?

主にYouTubeチャンネル「くらしのマーケット大学」の運営と動画制作、くらしのマーケットの出店者を讃える年に一度の祭典「くらしのマーケットアワード」のイベント制作などの業務を行っています。

「舞台周りは自社でやっちゃいましょう!大丈夫です😊」と言って、本当に600人規模のイベントを内製化しちゃった沢田さん

ー なるほど。でも、動画制作ということに絞れば、広告代理店とか広告制作会社に入って、CMとかPR動画とかを作って、それによって事業の認知が拡大して、成長することもできると思うんです。それじゃダメなんですか?

私はダメでした。それって極論をいえば、動画を作って納品するだけの仕事じゃないですか。もちろん宣伝する会社のことを深く研究し、理解して動画を作っているのでしょうけども…自分の好きなサービスやプロダクトを選んで受注できるわけじゃないですよね。失礼な言い方ですが、仕事として楽しくないなと。どうしてもそのような仕事に興味が持てなかったんです。私がやりたかったのは、大好きで誇れる事業の中にどっぷり身を置いて、コンスタントに動画を作り続け、自らが情報を発信していくことです。動画制作の根本的なところを他社に任せていては、そのような連続的な情報発信はできません。制作会社に依頼して、「この動画、当社が提示した訴求ポイントは網羅してるけど、全然面白くないな」とか「言いたいことはちゃんと言えてるけど、たぶん秒で見なくなるな」とか感じたことはないですか?

ー確かに外注した動画はいまいちになることが多いですよね。

それには色々原因があると思いますが、私が考える最大の理由は「動画を作っている本人が楽しんでない」「プロダクトを愛してもいない」ということだと思っています。これは動画制作者なら誰しも経験がある話だと思うのですが、制作している時に「楽しめない動画」は、結果として「楽しくない動画」になってしまうことが多いんです。作る人も観る人も人間なので伝わってしまうんですね。

「仕事を楽しめない人が良い仕事なんてできませんよ〜😊」とサラッと笑顔で話す沢田さん。仕事の愚痴や文句を仲間に言っちゃう人、読んでますかー!?

ー冷静に考えれば分かりそうなものなのに不思議ですね!一方で、沢田さんの場合は、自社のプロダクトの動画制作を楽しみながら、コツコツと発信し続けた結果、企業YouTubeである「くらしのマーケット大学」の登録者数が10万人を突破したわけですね!

ありがとうございます!チャンネルを運営する社長室みんなの成果です!

ー10万人達成の秘訣は何だと思いますか?

やっぱり、「みんな、楽しんで動画を作っていること」ですね!本当、それに尽きると思います。ちょうど動画の制作体制が整い始めた頃に「(チャンネルのMCである)コタキさんが『仕事、楽しい!』と言ってますよ!」と何人もの社員から又聞きした時期がありました。直接、私に言わないところがコタキっぽいんですが(笑)

ー本当にコタキの仕事への向き合い方は変わりましたよね!まさに気持ちの良く働ける仲間ですよね!

はい!それで、コタキの「仕事、楽しい!」って話を聞いた時に「これは、ひょっとしたらうまくいくかも」と思いました。なぜそう思ったのかは前述の通りです!

乃木坂やAKBなどアイドルの番組も作っていたという沢田さん。斎藤飛鳥や長濱ねるに似ていると視聴者から言われるコタキとの相性はバツグン!?

動画制作に必要なたった一つのマインド

ーところで、社長室の動画おじさんは、今後、くらしのマーケット大学YouTubeチャンネルをどのように展開していきたいですか?

動画のオウンドメディアとして、もっとチャンネルを成長させたいです!

ーあの、動画のオウンドメディア…とはどういう意味ですか?

企業が自社で運営する動画メディアのことです。私たち、おじさん世代では「動画メディア」と言えば、TVのことを指しました。昔は一企業が動画(映像)で情報発信するとしたら、大金を投じてたった15秒のTVCMを放送できるくらいでした。個人が動画で情報発信するなんて言うまでもありません。動画メディアは戦後60年くらいに渡って、TVによる寡占状態だったのです。そこからYouTubeやニコ動、SNS動画などのWeb動画が寡占市場に風穴をあけ、今では個人でも動画を発信できるようになりました。そのドラスティックに時代が変化する様は、「動画メディアの民主化」を目の当たりにしているようでした。テクノロジーの進化によって一個人が動画を発信するすべを獲得したんです。今やインターネットの世界では個人が発信した動画で溢れています。それをテレビが情報ソースにするなどといった逆転現象まで起きていますよね。

ー確かにTVが「YouTubeの方が面白い」って認めちゃってるじゃん…って思う場面ばかりですが、まさに情報の民主化ですね。

そうですね!しかし、それを個人ではなく、企業に置き換えてみるとどうでしょう。企業の発信する動画はあることはありますが、圧倒的に量が少なく、「他社にもあるから」といって立ち上げたYouTubeチャンネルは過疎ってるのをよく見かけます動画に関してはオウンドメディアでうまくいっている企業はほぼ無いと思っています

ー確かにそうですね!YouTubeで盛り上がっている企業のチャンネルがパッと出てきません…

例えば、学長はYouTubeアプリにどれくらい企業アカウントのチャンネルを登録していますか?本当に少ないと思います。その理由は簡単です。企業アカウントのチャンネルは、ほとんどが継続して観る価値のない、つまらないチャンネルだからです。企業の動画展開は上手くいっていないんです。

ー(めちゃ言うな〜wまさに狂犬w)なんで、企業だとうまくいかないんでしょう?

原因は色々あると思いますが、企業の発信したい情報を、人々が興味を持つ動画コンテンツに落とし込むことができないことが一番大きいのだと思います。人々を楽しませたり、感動させたり、知的好奇心を刺激したりするコンテンツをメディア上で展開できないと、視聴者はそこには集まらないですから。ただ、自分たちでYouTubeやってみよう!と思った会社はまだ良い方で、それを外注しちゃうと失敗のノウハウさえも残らないですからね。「プロがやってもダメだったね…」と言って、そっ閉じ案件になるのが関の山です。

ーでも実際、動画作るのって難しいですよね?

「私は動画なんて作ったこともないし、スキルもないから無理」と思っている方もいるかもしれません。だけども、そう言っている方が、仕事の会議などで心を揺り動かす最高のプレゼンができちゃったりします(笑)動画もやってることは何も変わりません。むしろプレゼンより楽です(笑)要は動画制作に必要なのは「人の心を揺り動かそう!」というマインドだけです。編集や撮影スキルはちょっと勉強して、やりながら感覚を掴んでいけばいいんです。テクノロジーの発展で、撮影や編集も子供でもできるようになってきています。YouTuberのちょんまげ小僧の編集はすごいですよね?中学生にできるんだから大人にもできますよ。

「動画制作に必要なのは『人の心を揺り動かそう!』というマインドだけ😊」と笑顔で語る沢田さん。人の心を動かすことは、全ての仕事に通じることかも知れない

走りながら考えるのがYouTube

ー他社と比較して当社のYouTubeチャンネル「くらしのマーケット大学」は割とうまくいっている方だと思いますが、どんなチームを作ればオウンドメディアは成長すると思いますか?

私は、メンバーがマルチで活躍する小さな組織が理想だと思います。実際に各メンバーはそれぞれが、ある時は台本書いたり、出演したり、撮影したり、編集したり、各工程を横断的にできるようにしています。メンバーによってはできない業務があったりしますが、できるものからどんどんやってもらうようにしています。そうすることで、動画の生産性を上げるだけでなく、バックアップ体制を築けるし、交代で休暇も取れます。また、周辺業務の理解が深まり、そこから新しい発想が生まれることもありますね。

ー動画はプロによる分業制のイメージが強いですけど…。

TV番組やCM制作は完全に分業制ですけれども、それでは人数を多くしないと量産体制やバックアップ体制は築けないですからね。あと、オウンドメディアで継続的に動画を公開していくには、動画のコストパフォーマンスもものすごく大事です

ーそういえば、沢田さんは使用するツールにまでコスト感を意識してますよね?

利用料の高いAdobe製品を使わないことにしました!きっかけは動画編集アプリのPremiereがクズすぎて嫌になったことから始まったんですけども、IllustratorもPhotoshopも毎年動作が重たくなっていくだけだし、AfterEffectsは20年以上ほとんど進化していません(笑)動画周りの全ての業務はDaVinci Resolve Studioという買い切り・アップデート無料という奇跡のアプリでやっています。動画に関してはAdobe製品よりも格段に多機能で動作が軽いです。

動画制作の素人が大半を占める「チーム沢田😊」。この半年で全員がDaVinci Resolveで編集できるようになり小さなチームながらも個々人がマルチに活躍して、年間150本以上の動画を配信した

ーでも、プロの人って「この道具じゃなきゃだめ!」みたいなのがあると思ってました。

全くないですね。むしろ動画クリエイターを目指すほとんどの若者がAdobe製品を習得したがるのに強烈な違和感を感じていました。まじでやめとけって思います(笑)すみません、Adobeの悪口はもうやめます…。

ー沢田さん、Adobeに何かされたんですか(笑)

すみません!話を戻します。動画にいちいち高額な制作費がかかっていたら、すぐに息切れして、オウンドメディアが成立する前に頓挫してしまいます。
オウンドメディアは一朝一夕では成長しないので、まずは無理のない小さなことから忍耐強くコツコツとやっていくのが大切だと考えています。

ー忍耐強くやることは何よりも大切ですね!つまり、小さなチームがコツコツと動画を積み重ねて10万人を達成できたということでしょうか?

んー。そうです!と言いたいところですが、実際には伸び悩んだ時期もありました。流行り廃りが激しく、観る人も多様な、カオス状態なYouTubeでは、定石通りにやってもうまくいかないことの方が多いので、私自身も何が正解か未だによくわかりません(笑)ただ一つだけ言えるとしたら、軌道修正をしながら連続的に大量の動画を作り続けられるチームが伸びるのではないか?という漠然としたものはあります。制作中はきれいにPDCAを回す余裕もないですし、回したところでYouTubeでは何も起こりません。きっちりやっている間に別のチャンネルに先を越されるだけです。立ち止まって考える余裕もありません。走りながら考えるのがYouTubeだと思っていますそして、そのような動画チームを外注で組織できないのは、説明不要だと思います。制作会社が「要件定義」とかをやってる間にライバルのチャンネルで動画が先に出ちゃってますから…ということです。

ーしかし、今は成長していたとしても、いずれ天井が見えてくることもあるんじゃないでしょうか?

これからは、チャンネルをオワコン化させない工夫も必要だと思っています。私はその答えを「できる限り、多くの人に出演してもらうこと」だと思っています。一人のカリスマ性だけで人気を保っているチャンネルは数年経つと飽きられたり、数々の炎上案件を乗り越えられなかったりすることが多いですよね。なので、出演メンバーは固定せず、たくさんの人に動画に出演してもらい、常に新しい人気者が生まれる環境にすれば、チャンネルの視聴者も飽きずに観続けられて、チャンネルのファンも増えていくのではと思っています。

小さい会社でも、YouTube上では大きい会社と同じ土俵に立てる

ーこれからチャンネルでやっていきたいことは何ですか?

正直、登録者10万人を達成するまでは数字ばかりを追い求めてきました。もちろんこれからももっと勢いを増して、20万、30万と、年間10万人増やしていくような勢いで頑張っていきたいと思います。ただ、それだけではなく、「YouTubeを見たから、くらしのマーケットに出店してみた」とか「YouTubeを見て、くらしのマーケットに依頼しようと思った」みたいな、観て楽しんで学んで終わりじゃなく、観た後に具体的なアクションを取ってもらえるような動画を作っていきたいです。それは、出店者、ユーザー、そして我々プラットフォーム側の三者にメリットのある動画になると思います。そのような動画を量産して、動画のパフォーマンスを上げていきたいと思っています。

くらしのマーケットアワード2023のYouTube10万人達成セレモニーの様子。出演いただいた50名を超える出店者と喜びを分かち合った瞬間

先日嬉しいことがあって、くらしのマーケットの害虫駆除の出店者の撮影に行った時に、その出店者の方が「今後は害虫駆除だけじゃなく、洗濯機クリーニングを始めたいので、スクールに行こうと思っています」っておっしゃってたんです!きっと、YouTubeを始める前は、同じくらしのマーケットで出店している方同士でも、カテゴリが違ったりすると、他の人がどんな仕事をしているのかが分からなかったと思うんです。動画だと圧倒的な情報量と臨場感でそれを伝えることができる。「この仕事、やってみたい!」と新しいアクションを起こすきっかけにYouTubeがなれていたとしたら、それはどんなに嬉しいことかと!そういう次のビジネスの種と思ってもらえそうな動画を量産していきたいです。

ーうわー、それはめっちゃいい話ですね!動画のオウンドメディアが持つ力ですよね!

少し話は変わりますが、トヨタのオウンドメディアの「トヨタイムス」のYouTubeチャンネルの登録者数は何人か知っていますか?

ー知らないです。調べてみますね… 32万人!TVCMもガンガンやっているので、意外と少ないなって思っちゃいました。

ですよね!登録者数が全てではないですが、我々も頑張れば届きそうな数字です。ちなみにソニーJapanは14万人ですからね。これも届きそうというか追い抜けすらできそうです。言うのは勝手ですから(笑)
これがどういうことか分かりますか?企業による動画のオウンドメディアの形成はいまだ黎明期に過ぎないということです。つまり、会社の規模はかなり違えど、小さい会社でもYouTube上では大きい会社と同じ土俵に立てるということなんです。これってすごいことだと思いませんか?
今から始めても、数年後にはトヨタと同等、もしくはそれ以上の発信力を持つオウンドメディアを持つことができるかもしれないんです。しかも、プラットフォームの利用料は無料。むしろ少しお金がもらえます(笑)何で全ての企業がそうしないのかが不思議なくらいです。私は近い将来、情報発信力がある動画のオウンドメディアを持つか持たないかが、企業の業績に影響してくるような時代がやってくると信じています。そんな日が来るまで、自社のオウンドメディアを成長させ続けたいと思います!

話に中身があり過ぎて説明を忘れていましたが、昔は甲子園を目指していた沢田さん😊こう見えて青森大会で優勝して、東北ベスト4入りしたこともある体育会系です

アイデア、工夫、胆力。
これらが無いと動画のオウンドメディアとして成功することは無いでしょう。
沢田さんと同じ部署で仕事をしている人は、きっと楽しく仕事ができているんだろうなぁ!社長室って良い部署ですね!