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「個人プレイ」と「チームプレイ」

▶︎「個人プレイ」と「チームプレイ」(概念編)004

スポーツには個人プレイとチームプレイがあります。体操、フィギュアスケート、重量挙げなどの個人プレイはより高くより美しくより強くを目指します。一方チームプレイにはサッカー、野球などがあり、チームで協力して戦います。戦うという意味ではボクシングやテニスなどもチームプレイと考えて良いかも知れません。

演劇や演芸の場合、落語や講談はあきらかに個人プレイですが、演劇はひとり芝居を除いて基本はチームプレイのはずです。ところが日本の場合、個人プレイの演技が幅を利かせているという現状があります。その理由のひとつとして考えられるのが歌舞伎の存在です。

明治の頃のお話です。守田勘弥という名題役者の楽屋にひとりの弟子がやって来て「先生、今度の舞台でわたくしこういう工夫を考えてみました。やってみてよろしいでしょうか?」とお伺いを立てました。すると名優はすました顔で「ああ、好きなようにおやんなさい。どうせお客様はわたししか見てないんだから」すごいエピソードです。見事なくらいの個人至上主義です。

客席から舞台を見て右側を「上手(かみて)」左側を「下手(しもて)」と言います。本来これは歌舞伎用語で、昔は主役級の役者たちは右側エリアで、端役の役者たちの演技エリアは左側と決められていたようです。だから上手を「じょうず」下手を「へた」と読むのです。

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