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マスク物語

去年の春先はマスク不足で大変な騒ぎになりましたよね。
早朝からドラッグストアに並んで、30枚入りを5,000円で買うとか、手に入ればいい方で結局買えなかったとか、そんな話を耳にしながら私も減り行く我が家の不織布マスクを不安な気持ちで眺めていました。
夫も私も花粉症なので、2月3月頃はマスクをして出かけた方が楽。
そのため、自宅には60枚入りの不織布マスクのストックがありましたが、絶望的に品薄となると、これを大事に使うしかありません。

あの時期、一体マスクの流通はどういうことになっていたんでしょうか。
台湾のマスク配布のやり方がとってもスマートで羨ましかったです。
この頃から、日本政府、もしかしてアホ?、いや失礼、無能?って感じ始めました。

手に入らないなら作ってみよう、という流れになるのが、ものづくりニッポン人の気質。
『マスク 手作り』とか『マスク 布』とかでサーチすると作り方を懇切丁寧に紹介しているYouTubeがいくつもありました。

しかしながら、考えることはみんな同じで、今度は材料が揃いません。

マスクは、本体部分の布または不織布、ノーズワイヤー、ゴム紐でできています。
多くの手作り布マスクYouTubeをみていると、それに加えて内布も必要です。
緊急事態宣言が出ていたので、手芸店は閉まっているし、オンラインショップを見てもマスク材料は軒並み売り切れ。なんと、ミシンまで売り切れ!
すごいな、ものづくりニッポン。

ま、ないならしょうがない、あるもので何とかやってみましょう、と私は家にあった端切れや、いつ我が家に入り込んできたのか全く覚えのない日本手ぬぐい、細めのゴムも発見して、YouTubeを見つつ、マスク作りをスタートさせました。

不思議なもので、家族の分まで合わせて3枚作ると、
「これでいつでも外出できる」と、とっても安堵しました。
しかも、布マスクなので着用後に洗濯したらまた使えるし。
不織布のマスクがじわじわ減っていく焦りから解放されました。
今見てみると、このマスクはとんでもなく素人しごとで、夫が夜、ゴミ捨てに行く際にちょこっと着用しているだけです。

緊急事態宣言が解け、おそるおそる行った先は、「ユザワヤ」。
ここでは、マスク材料のコーナーがあり、内布にはガーゼよりさらしが向いていると知りました。
また、ノーズワイヤーもゴム紐も揃っており、布はパッチワーク用の端切れをさまざまな柄で揃え、この日から私は自称マスク職人になりました。

私は家庭科の裁縫が大の苦手で、「ま、いいか」と目をつぶった2ミリが後で目を見開いてしまう誤差となって跳ね返って来る、苦い経験を何度もしています。
しかし、なぜかマスク作りは楽しい!
マスクは小さいことを気にしないんですね。
3ミリ程度の誤差は、飲み込んでくれるんですよ。無かったことにしてくれる懐の深さを感じますね。

ノリノリになってきたその頃、実家の両親が叔母経由で、私がマスクを作っていると知ったそうで、突然、布が数種類入った宅急便が届きました。
メモに「これでマスクを作ってください」と。
最初、意味がわからず、私がマスクを作っているから布地を寄付してくれたのかな? それとも、この布で両親用のマスクを作って返送してくれ、と言うことか?
確認してみると後者で、やはり両親もマスクが手に入らず、今手元に残っている分でやり繰りするしかなく心細い、とのことでした。

不思議なもので、「私のマスクを待ってくれている人がいる」と思うと、作業もどんどんスピードアップ。
送られてきた布地は女性用っぽかったので、父用には新たに布を買い、3枚ずつ仕上げて実家に送りました。

両親はとっても喜んでくれて、skypeで試着している様子を見せてくれました。

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母からは、「あんた、雑やったのにこんな上手にマスク作れるんやねえ」と妙な誉め方をされ・・・。

数をこなしているうちに、当然腕もぐんぐん上がり、母や父の友人用も作るようになりました。
そして、みなさんとても喜んでくださるのですが、なぜ、百合子をはじめ、年配の方が不織布より布マスクを好むのか、私なりに分かったことは、使い捨てに罪悪感を持っていることと、おしゃれ。
70代80代の方たちはなかなかおしゃれな人が多いようで、「マスクもファッション」ととらえるようです。
本来なら、不織布の方がウィルスを静電気でマスク表面に止めるそうなので、ウィルス侵入予防ならこちらにすべきなのでしょう。
しかし、不織布マスクでは不健康に見えるし、世の中がこんな風だから仕方なく着けさせられている、という暗い気分になる、と母。
せめて、気分が明るくなるマスクを着けたい、と思っていたところ、私のマスクがぴったりだったそうです。

また、「マミィが作るマスクは目立ってイヤ」と不織布マスクを好んでいた高校生の息子も、去年の夏に、私が作る布マスクの方が口元が蒸れない、と分かったそうで、それ以来、ずっと私のマスクを愛用しています。

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この2枚が、特に息子が気に入っているやつ。

先日、息子と一緒に布地を買いに行ったとき、『鬼滅の刃』の布を買いました。彼が見つけて、「これでマスクを作って欲しい」と言ったので。
母は頑張りました、息子のために。
そして、完成したのがこちら。(ゴム通す前です)

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私的には、この『half & half』が力作だったんですよ。

しかし、息子は見るなり「マミィ、これは・・・、(学校に)して行くのはかなり勇気がいる」

ええ〜っ!? めっちゃカッコいい! これぞ手作りのならでは!とか思って鼻息荒めで作ったのに、まさかの却下・・・。

上の写真のマスクは気に入ってくれて、今日、これで登校しました。

みなさん、『half & half』の何がダメだったんでしょうか?
カッコいいですよね?
気に入る/ 気に入らない、のボーダーラインが分かりません。

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