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文学からみる100年前の韓国の食べ物

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文学に綴られてきた「韓国の食」が、100年の時を経て、コリアン・フード・コラムニスト八田靖史によって生き生きと蘇る。 さぁ100年前の「食の文学紀行」へ出かけよう。
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#平壌冷麺

四季の名物 平壌冷麺/金昭姐

春  心地よい春風の吹く3、4月。眠っていた牡丹台(平壌の牡丹峰に位置する楼閣)では、木々が芽吹き、枝々に花が咲く。長くなった日についつい浮かれ、疲れた足を大同門(平壌城内城の東門)前の2階建て冷麺店へと向ける。大同江(平壌市内を流れる川)の清流に一日の疲れを流し、なみなみとした一杯の冷麺で空腹を癒す! (平壌の大同江) 夏   大陸の影響から夏の熱気にむせ返る平壌。とりわけ暑さの厳しい日に、こぶし大の氷と、ぐるぐる巻きの麺を、真っ白な平鉢に放り込む。氷で暑さを退け、カラ