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漢服とは

中国の伝統服というと,何を思い浮かべますか?
中華レストランで見かけるチャイナドレスは一番有名ですね.

これらは中国で旗袍(Qipao、チーパオ)と呼ばれます.
清王朝の衣装から変化し,20世期から流行ったデザインです。
清王朝は騎馬民族なので、袖が細く,スリットが入り,
馬に乗りやすいデザインです.

ちなみに、同じく騎馬の習慣がある韓服も、
ゆったりとした裾と、細い袖です.

最近,中国では愛国意識(漢民族中心主義)の高まりとともに,
漢民族の王朝の服「漢服」が流行り出しました.

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中国はいま漢服ブーム

そして,中国の若者を中心に漢服ブームが巻き起こっています。時代劇風ドラマも牽引役となり、新しい専門店もここ5年で次々とオープンしています。
漢民族の歴史と文化を誇りに思う人が増え,
政府主導の漢服イベントやテレビ番組が増えました.

それと同時に,
韓服の存在を否定したり,
日本の文化を中国の延長線と考え,
欧米の美的感覚が世界を席巻するのは不当だ
などという言説が当たり前の常識・一般人の認識となり,色々な国際問題を生んでいることは
触れておく必要があります.
(書ききれませんが主だったものは,Dior马面裙事件や,北京オリンピックの朝鮮族の衣装事件,少数民族衣装問題など)
京都の街や日本の公家の衣装を見て唐王朝だと言ったり,
茶道を見て宋王朝の文化だと言ったり,
日本の着物の技法と形は中国の服のコピーだと言ったり,
基本的に話が通じないのです...

さて,話が変わりますが,

こちらは、小豆蔻儿という人が運営している 十三余というブランドです。

これは、2020年の5月のコレクション。毎月新作が出るのですが、人気なので新作の1ー2ヶ月の予約待ちは普通です。十三余は、漢服と、汉元素(少しロリータ要素が入った漢服)をデザインする一番有名なブランドです。この動画の中にも、様々な種類の服がありますね。

一方で、
日本では、中国っぽいものはすべて「チャイナ」と呼ばれます。例えば、チャイナメイクとか、チャイボーグ、チャイナシューズ、チャイナドレスです。しかし、「チャイナ」は、西洋の影響が大きく入った概念です。

ただ、チャイナドレスと漢服は大きく異なります。

チャイナドレス
中国では、旗袍(チーパオ)と呼ばれます。  満州族(北方系騎馬民族)の衣装の影響。清王朝の衣装を日常用に改良したもの。全盛期は20世紀。中華民国などで女性が着用。

日本では、中華レストランで見たことがある人が多いはず。結婚式の新婦は赤い旗袍に、金色のかんざしをつけます。また、40、50以上の女性がシルクの旗袍を、フォーマルな場所で着用したりもします。

「漢服」
=  漢、晋、唐、宋、明など漢民族王朝のからインスピレーション。
2010年ぐらいから人気。

どんな人が着るの?

中国の景色が綺麗な場所に行くと、漢服を着ている20代女性をよく見かけます。

日本とは違い、大多数はレンタルではなく購入派です。蘇州の方では、日常的に漢服を着る人も割といます。特にtiktokとがですごくよく見かけます。

最近では、そのブームが男性にも広がっています。カップルで合わせて着る服だけでなく、徐々に、男性をターゲットとした漢服や服飾品も充実しつつあります。

その上、レディースものを集めて飽きてきたファンが、ユニセックスに移ってくると言うトレンドもあります。

いつ、どこで着るの?

漢服を着て、友達と一緒に綺麗な写真を撮りに行ったり、イベントに参加するのが人気です。中国国内の人気旅行4大スポットは、北京の故宮、杭州の西湖、西安、西塘です。成都や杭州周辺には漢服の実店舗も多く、かわいい写真館なども数多く存在します。また、結婚式のウェディングドレスとしても需要があります。

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どんなものが人気?

漢服では、ざっくり4つの王朝が人気です。(次の記事でご紹介します。)

20代後半〜30代後半などの年齢が高いファンは、素材にこだわった、ゆるっとしたデザインを好む傾向にあります。10ー20万円ぐらいするオーダーメイド品や、受注生産品、生地を買って仕立てに出す人など、特別なものを求める人が多いです。提花花罗(地紋の入った高級生地)が特に人気。それ以上の年齢の人で漢服を着る人は、SNSでもほぼみたことがありません。

一方、10〜20代のファンは、もっと華やかなものを好みます。よりタイトで、スカートを高い位置で結ぶスタイルを好みます。透明感のあるオーガンジーやレースを多用するのも特徴。赤、桃、青、白など、鮮やかなオーガンジーに、牡丹や梅の刺繍にパールを縫い付けた上着や、织锦(金銀の錦織)のスカートなどが人気です。

日本の着物では、織りや染めが珍重されます。刺繍の着物や帯は少なく、ほんの少し刺繍が入るだけでぐんと値段が張ります。しかし今の漢服では、染め=プリントなので、安いものに分類されます。機械刺繍が広く発達しているので、美しい刺繍製品が低価格で手に入ります。日本では刺繍は高価なものですが、中国ではビーズや刺繍がふんだんに入っているのはごく普通のことです。

漢服は自由(?)

和服は色々な種類がありますが、フォルムは基本一緒、近世の様式です。韓国でも同じです。明治以降や、着つけや配色、季節感などのルールが固定されました。戦後に広まった着物ルールも多いのに、なぜか古くからの伝統として認知されるようになっています。

最近の20代の人は、かなり自由な和洋折衷ファッションが展開されるようになりましたが、ベースはあの平面的なフォルムです。

漢服は、「礼装」から発展したものではありません。昔の王朝の服の”復興”のような作品です。

ちなみに、中国で3大コスプレといえば、JK(制服)、Lo(ろーと読みます。ロリータ系の服のこと)、そして漢服です。それらを一緒くたにして販売するお店も多いです。(日本では、ロリータワンピと制服と着物を一緒に販売するお店なんて見たことありません。)

漢服ブームは新しい「伝統っぽい服」なので、着たいものを着るのがいちばんだとは思います。とは言いつつも、ここ最近歴史的正しさを非常に気にする人が増えてきて、物凄い激論が交わされたり、いつも誰かしらが炎上するようになりました。また、「中国伝統文化の美しさや、歴史的に失われた正しい漢服を世界に広める」という趣旨の活動を熱心にしている人や団体が多いです。

そのため、中国人に対するファッションチェックはもとより、特に外国人(日本人を含む)に対してのファッションチェックが厳しさを増しています。(まあ、日本人で漢服好きの人なんて激レアでしょうが)

あったことはありませんが、日本には着物警察がいて、着物のファッションチェックをするみたいですね。漢服のファッションチェックはそれよりもかなり厳しいです。。。

大まかに〜時代風とか、〜様式 と言ったものが存在します。装飾品も、ゆるいお約束ごとがあります。

雰囲気としては、時代が降るにつれて、上着の丈がどんどん長くなる傾向があります。次の記事では、時代別にご紹介したいと思います!




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