中年男性の自意識話の時間です

昨日Twitterにも投げ込んだのだけど、恥ずかしながらこの歳になるまでザ・フーをちゃんと聞いたことがなかったのですよ。で、彼らの代表作であるWho’s  Nextを聞いてみるとこれがめちゃめちゃ良くってね。なんだかんで今私が好んで聞いてる音楽の源流ってそこから流れてるんだなあ、ということを痛感させられたというか。あとけいおんにはいくつものザ・フーへのオマージュが籠められてるというのは私の周囲のオタクがTwitterでいっぱい語ってたのだけど、YouTubeに上がってるザ・フーのライブ映像を見てこういうことだったのかとようやく実像を結んだ感じもある。なんでお前らそんなに古い音楽に詳しいんだよ。

まあなんで私が今ザ・フーを聞こうと思ったのかというと、たまたまこの動画を見たのがきっかけで。

92年にウェンブリースタジアムで行われたフレディ・マーキュリーのトリビュートライブで、クイーンのメンバーに加えて、トニー・アイオミとロジャー・ダルトリーを加えたとんでもない面子でI Want It Allのカバーをやっているのだけど、この"とんでもない面子"のうちのロジャー・ダルトリーを私はほぼ知らなかったのね。
サバスは言うまでもなく大好きなバンドであるし、クイーンももちろん。でもザ・フーはピート・タウンゼントの名前は知っていてもこれまでの人生でほとんど触れておらず、この動画の観客の熱狂のうちの3分の1(もしかしたらそれ以上かもしれないけど)を理解できなかったのだ。これは非常にアカンのでは?という気持ちが湧いてしまった。

私が音楽を意識して聞き始めたのは中学頃から、そこから更に洋楽、というよりもメタルが好きなのだという自覚を持ったのは大学からなので、もうかれこれ20年くらいになるが、主にメタルと、その周縁ジャンルを中心にあれこれ聞きかじってきたつもりではある。もう滅多に書かなくなったけど一時期は音源のレビューなんかをブログに書いてたこともある。
あるのだけど、めちゃめちゃリスナーとして歪じゃね?という実感が本当に今更湧いてきている。先に挙げたザ・フーに限らず、なんならメタルというジャンルに限ってもあれ聞いてるのにこれを聞いてないの?みたいなのが本当に沢山ある。Spotifyで再生数が1000に届かないような北欧のブラックメタルバンドの名前は出てくるのにフジロックやサマソニでヘッドライナーをやるバンドの存在を、流石に全く知らないってことはないが、でもバンドの格って意味だとあんまりピンとこない感じがあったり。

まあ音源レビューを書いてもそれを生業にしてるわけじゃなし、ライター仕事で金を貰ったことなんか一度もない。でもさ、自分は偏食家だけど味の違いは分かる人間だと思ってたのに、実は醤油とソースの違いが分からんみたいなのってそれでいいのか?という話なのよ。人気店は人気店である理由があるし、尖った料理を出す尖った店が人気店や大衆料理の影響を受けていないかといえば否であったりもするわけで、なんかどうにも音楽体験が限定的過ぎたのではないかということを今更感じている。

音楽を聴く時間そのものは有限であるし、新しい音楽はどれくらいでもこの先供給されていく。いくらこの世に凄い音楽があったとしても全てを聞くことはできないし、自分の好みの範囲が際限なく広がっていくわけでもない。そもそも85年生まれの私にとってはメタル全盛期もそれ以前の伝説的なロックバンドも全て過去の存在ではあるのだけど。ただ多くのバンドに影響を及ぼしたバンドというのはやはり聞いた方がいいし、自分の好みが偏っていることを決めつけて自分はこういうもの、としてしまうことにより失われてしまう機会の方が多いと特に最近思っている。

まあ40歳手前にしてこんな思いを懐くのもだいぶ痛々しい気がするのだが、ここはそういうことを書き殴るブログなので。お前も中年になるんだよ。

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