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最近見た映画の感想など 20161023

シンゴジラ以降なんやかんやで劇場に行けておらず、あの話題作とかこの問題作とかその人気作とかを見れてなかったりするが、先日この記事読んだり、最近見つけた近所のTSUTAYAの品揃えが存外良かったこともあって、自分の中の映画熱自体はちょっと上がってたりする。そんなこんなで、備忘録も兼ねて直近で見た映画の感想を書いていこうと思う。

ああそうだ、予め断っておくが、当ブログを読んでる人に対して、私はネタバレへの配慮はあんまりしないので、その点は認識しておいて欲しい(もちろん積極的にネタばらししていくつもりもないが)。

・ポール・ヴァーホーヴェン/トリック(2012)

オランダの生んだ変態監督の2012年作。この映画、メイキング映像が30分以上あり、本編が50分ちょいという不思議な構成の作品なのだが、本作の最もユニークなところは、まずプロの脚本家が執筆した4分強の導入部を公開し、残りの展開を一般公募により採用した脚本から組み立てる、という手法を取ったところにある。このような試みを行うにあたり、製作は順風満帆とはいかなかったらしく、その辺はメイキングで語られている。果たしてこういった取り組みを経て出来上がった本編は、明らかに低予算だということは分かるし短い作品ではあるのだが、その中でもパンチが効いている。ヴァーホーヴェンってこんな映画も撮れる人だったんだな。しかし登場人物は基本的にロクでもないのしかいないし、タンポンが事件解決の糸口だったり、物語の最後を彩る曲がRammsteinだったりと、そこかしこアレなのは流石というかなんというか。

・華氏451(1966)

ヌーヴェル・ヴァーグの旗手、フランソワ・トリュフォーがレイ・ブラッドベリの同名の著作を映画化したもの。本は燃える時が美しいってセリフが本編にあったような気がするが、確かに本が燃える描写が非常に美しい映画だったし、当時のレトロフューチャー感とは微妙に位相のズレた感触が今見ても新鮮な気はした。でもまあ、基本的に終始地味だし、ディストピアを描いたものならやっぱりキューブリックの時計じかけのオレンジの方がずっと面白かったし、66年の製作映画にしたって映像はもう少し頑張れただろうって気はするし、最初に見るトリュフォーの作品としては微妙だったのかもしれんなあ。まあ、あんまりテキトーなこと言うとトリュフォー警察がやってくるらしいのでこの辺にしておこう。

・プリデスティネーション(2014)

オーストラリア人のスピリエッグ兄弟の監督によるSF映画。ハインラインの短編小説「輪廻の蛇」を原作に映画化したもの。要約すると、俺があいつであいつが俺で、イーサン・ホークはずっとイーサン・ホークで、という映画だった。話の前半でLGBTの問題に取り組んだループものSFになるのかと思いきや、別にそんなことはなかったぜ。スピリエッグ兄弟の前作デイブレイカー(こちらもイーサン・ホーク主演)の時もそうだったけど、題材も雰囲気も悪くないのに、何かあと一歩突き抜けられない感じなんなんだろうな。

・ナイトクローラー(2014)

ボーン・レガシー等を手掛けた脚本家、ダン・ギルロイの初監督作品。犯罪や火事、事故といったスクープ映像専門のパパラッチ「ナイトクローラー」と呼ばれる人々を題材にしている。ジェイク・ギレンホール演じる本作の主人公ルイス・ブルームは、社会性はある、コミュニケーション能力も高い、仕事への熱意もある、ユーモアもある、成功の為の自己研鑽を惜しまない、顧客のニーズに応え続ける、仕事に私情を挟まない(そんなものは存在してないから)、成果の為にはあらゆる手段を尽くす、理想的なビジネスパーソン像であり、承認欲求がとことん肥大化した合理性の化物だ。役作りの為に9キロ痩せたというジェイク・ギレンホールの文字通りの怪演のおかげで、このとことん胸糞悪いサクセスストーリーは異様な説得力をもってこちらの心を鷲掴みにしてくる。ここ何年か見た映画の中でもトップクラスに面白かったし、とにかく語りどころの多い作品だと思うので、色んな人の感想を聞いてみたいところ。

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