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覚悟を決めたその先は CL 第4節 バルセロナvsインテル マッチレビュー

CLのグループステージ、ここまで1勝2敗。2年連続のグループステージ敗退をなんとしても避けるべく、インテルをホームに迎えるこの試合では勝利が絶対条件となる。

カンプノウに押し寄せた観客もほぼ満員となり”12人目の選手”として選手たちと共に戦う。

それではこの一戦を振り返っていく。

多くの方に読んでいただきたいので拡散していただけるとありがたいです

スタメン


バルセロナはいつも通りの4-3-3。中盤から前線にかけては、ベストメンバーといってもよい面々がそろったものの、最終ラインはピケ、セルジロベルトというような若干不安が残る布陣となった。

対するインテルもいつも通りの5-3-2。前回対戦と変わったのは右SBがダルミアンに代わってデュンフリース、2トップの一角であるコレアがジェコに変更された。

スタートポジションは両者ともに前回対戦と同じであるが、前回対戦を踏まえたうえでボール保持時、非保持時にどのような工夫が見られるか。

覚悟を決めた陣形

タイトルにもある通り、あとがないバルサは被カウンター時に数的同数となることを覚悟しなければならない陣形を取らざるを得ない状況になった。

4-3-3から3-4-3へ。スタートポジションが右SBであるセルジロベルトが右のIHの位置に移動することでアンカーにブスケツ、右にセルジロベルト、左にガビ、頂点にぺドリという中盤をダイアモンドの形に。3バックにはエリックガルシア、ピケ、マルコスアロンソという選手たちが並んだ。

戦術的なことに触れる前に、先にセルジロベルトとマルコスアロンソのユーティリティ性に触れておこうと思う。セルジロベルトのユーティリティ性はこれまでずっと目にしてきたが、今回の試合では右SB→右IH という役割の変化をそつなくこなした。マルコスアロンソは左SBだけでなく、セルタ戦では左のCB、今日の試合では3バックの左までやってしまう。加入初年度で。

それではこのシステムの利点について、シャビは考えに考え抜いてこのシステムを採用したと思う。インテルの5-3-2に対して後方から数的優位を確保する意図が見られた。ただやっぱりファイナルサードに進んでからのアイデアの少なさは否めなかった。インテルが5バックのため、デンべレやハフィーニャからのドリブル突破はそこまで効果が望めないし、レヴァンドフスキへのクロスも届けば大チャンスにつながるが、そもそも論でインテルのDF陣がとにかく高いし、強いからレヴァンドフスキまで届かないことがほとんど。そこで恐らくシャビが考えたのは中盤の選手の数を多くしてエリア内に飛び込んでいく人数を増やすということ。特にセルジロベルトがエリア内に走りこんでいくシーンはかなり多く見られたと思う。前線での数的関係はどうしたのかというと、インテルの5人のDFに対してバルサは3トップ+ガビ、セルジロベルト、ぺドリの計6人で6対5を作り出すことによってある程度の余裕を保つことはできていた。ただ、それに応じてインテルの選手たちもゴール前に固まるため、依然攻撃は困難なものであった。

被カウンター時は危険が隣り合わせな状態ではあるものの、勇気をもってインテルのゴール前に押し込み続けて前半の40分に待望の1点目が生まれた。ロングボールのこぼれ球をハフィーニャが必死に追いかけてプレーを続行させ、ムヒタリアンの背後をうまく走ったセルジロベルトにパスしてゴール前に詰めていたデンべレが押し込んでゴール。ゴール前でクロスに合わせるデンべレなんて全く見ないような形であったが、そんなところもデンべレらしくていいゴールだった。その後、押せ押せムードの前半であったが、追加点を奪うことはできなかった。

ボール保持時に触れる一方で、忘れてはいけないのが非保持の面。インテルは基本的に高い位置からボールを追い回すようなサッカーではないため、比較的簡単にインテルのゴール前まで前進はできていた。ただ、押し込めたということはバルサの後方には広大なスペースがあるということを意味する。いつものシステムであれば、押し込んだ後も4、5人は後方にいるバルサだが、インテル戦は何度も言っているように、覚悟を決めた陣形。話が違う。被カウンター時のバルサの後方にはエリックガルシア、ピケ、マルコスアロンソの3人のみ。しかも1人も足が速いとはお世辞でも言えないレベル。被カウンター時にはあまり向いていないタイプのCB達。前半だけでもいくつかのカウンターを食らい、なんとか無失点で切り抜けてきたが、いつか失点しそうというのが本音。というかあの守備陣でラウタロを相手にするのだから、失点するのは時間の問題でもあった。

一気に崩れた後半

押せ押せムードだったものの、追加点を奪うことができなかったバルサ。後半も選手、システム、狙いに変化はなく、とにかく攻めて攻めて攻めまくる。そんな中、崩壊の兆しは突如として訪れた。

前半49分。バストーニからのふんわりとしたゴール前へのボールにバレッラが反応して同点。この失点のシーンの各選手のアクションを確認すると、
エリックガルシア→ラウタロのマーク
ピケ→ジェコのケア(ラインが1人だけ下がっていた)
ガビ→ジェコのマーク
マルコスアロンソ→バレッラを見ながら大外のデュンフリースもケア

こんな感じだった。もちろん、各選手のそのときの意図は完璧には分からないが、ピケは自分はジェコを、ガビがバレッラをマークしていると思ったのではないだろうか。しかし、ガビは自分がジェコをマークしていてバレッラをマルコスアロンソに任せていたというように見えた。絶対とは言えないが、ここで味方同士のマークしている選手の認識がずれていたということが分かる。ただ、それでもピケのライン設定や周りの状況の認知は少し間違っていたのかなという印象を受けた。

振り出しに戻されて勝ち越し点を奪いに行くも、どこか焦りが見えてうまくいかない。そうこうしていると恐れていた2点目をインテルに奪われる。試合展開がオープンになり始めた60分過ぎにバルサの心臓、ブスケツが珍しいミスを犯す。

バルサがボールを回収し、さあ攻撃だという場面でブスケツは攻撃の中心であるぺドリにパスを送るも、チャルハノールにカットされる。チーム全体が前傾姿勢になったうえに、あまりにも安易なボールロストにカンプノウの観客からもため息が聞こえた。恐らくバルサの選手たちもそういう感情を抱いただろう。前に人数をかけているバルサは当然のように後方は手薄。ボールを奪ったチャルハノールはラウタロとエリックガルシアのマッチアップで勝機があると考えたのか、プレースピードを落とすことなくロングボールを放り込む。対格差はそこまでないものの、ラウタロのスムーズなプレーの流れに一瞬で置いて行かれ、いい姿勢でシュートを許した。

エリックガルシアの対応にも間違いがあったのかもしれないが、やはりここではブスケツのボールロストが最も頂けないミスだった。

ここ失点の最大の原因はブスケツであるが、もう一つ特筆すべき点があると思う。それは後半の途中からくる間延びだ。それもこの最近の試合で顕在化しているもの。ブスケツのボールロスト時にバルサの全員が戻ったからってこのゴールシーンがなんとかなったのかと言われると、それは考えにくいが、ラウタロへボールを送り込んだチャルハノールへのプレッシャーをもう少し厳しくできたのではないかと思う。

ここまでの2失点、どちらもピケ、ブスケツという大ベテランたちのミスによって引き起こされてしまい、不甲斐ない結果となってしまった。

キーパーがキャッチできるクロス

この試合の3失点目はスペースに走りこんだラウタロから逆サイドを駆け上がってきたゴセンスにパスが渡り、ダイレクトで流し込んだことで生まれた。このシーンでも、ピケのラウタロへの対応には?が残るが、それ以外にも、相手キーパーがなんなくキャッチできるクロスにも問題があると感じた。キーパーがキャッチできるクロスはそもそもボールロストするため、してはいけないプレーになる。ただ、ボールロストするだけではなく、カウンターの起点を作ってしまうという欠点がある。キーパーのキャッチからのカウンターの象徴的なゴールはロシアW杯の日本対ベルギーの決勝ゴール。

この試合でのバルサは先述した通り、エリア内に人数をかけていた。すると当然のように後方に残っている人数は少なく、特にこの日はスピードが足りなかった。そうなるとキーパーを起点としたカウンターにめっぽう弱いのは目に見えていた。Twitterを見ていると、こんなツイートが。

ハーフタイムにシャビは「オナナがボールを持った時は全員が動物(猛獣的なニュアンス?)のようにプレスバックして守らなければならない。」と選手たちに告げていたよう。シャビのこの予感は皮肉にも的中し、3点目を奪われた。

CLを諦めるか、否か。

絶対に勝たなければならない試合で勝ち点を取りこぼしたバルサ。ただ、まだ敗退自体は確定していない。現時点でのバルサには2つの選択肢が。
・CLを諦めてリーガ、国王杯、ELに専念する
・CLに対して最後まで希望を持って臨む
欲を言えば後者を望みたいが、インテルが次節のプルゼニ戦に勝利した時点でバルサのグループステージ敗退が確定となるうえに、バルサはプルゼニとバイエルンに勝利することが必須となる。正直に言ってかなり絶望的。プルゼニはここまで勝ち点は1もとれていない。

ただそれでもあきらめたくないのが本音。エリックガルシアは「希望がある限り続けなければならない。」とこめんとしているし、あきらめていない選手ももちろんいる。ただ、ブスケツは消極的なコメントを残しているし、シャビは選手たちに「リーガに向けて戦うぞ。」というメッセージを送ったらしい。この言葉がCLを諦めるという意味なのか、気持ちを切り替えて次節に待ち構えているクラシコを含むリーグ戦をただひたすらに戦うぞという意味なのかは分からない。

まとめ

なによりも最初に浮かぶのは勝てなかったこと。ほぼ必須であった勝ち点3が取れなかったことだ。アウェーのインテル戦で引き分けてインテルと勝ち点を分け合えたらカンプノウでの振舞い方にも少し余裕はあったかもしれない。ただもう試合結果は確定してしまい、グループステージ敗退が目の前に迫っていることも事実。ファンとしても受け入れがたいが、なんとか受け入れて次のクラシコを見守るしかできない。応援することしかできない。ただ、この立ち込めた暗い雰囲気もクラシコでの勝利で完璧にとまではいかないが、明るい雰囲気が戻ってくるのでなかろうか。

次節のクラシコのマッチレビューはメチャクチャ気合入れて書くのでぜひ読んでいただきたいたいです!

では。

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