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+1とアイソレーション 第11節 バルセロナvsビルバオ マッチレビュー

クラシコでの敗戦による重い雰囲気を晴らすような快勝をあげたビジャレアル戦。雰囲気的にも戦術的にもいい流れができている状況を崩したくない中で立ちはだかったのはかつてバルサの監督だったエルネスト・バルベルデが率いるアスレティック・ビルバオ。今シーズンはここまで6位と好調をキープしており、システムはお決まりの4-4-2から4-2-3-1に変わっている。

個人的にバルベルデはバルサを見始めた時期の監督のため、結構な思い入れがある。ネイマールが抜けた穴を埋めるべくシステムを伝統の4-3-3からメッシとスアレスを2トップに置いた4-4-2に変更。メッシをゴールに1番近い場所に置きつつ、メッシの火力を最大限に引き出すことに成功した監督。これだけでもだいぶ優秀な監督ということが伺えるが、バルベルデの代名詞といえば”修正力の高さ”だろう。前半の内容が悪くてもハーフタイムを挟めばなんか上手くいっているという現象に遭遇した方も多いのではないだろうか。

テクニカルエリアで座って戦況を見つめる光景が好きだった、、

前節のビジャレアル戦のマッチレビューはこちらです。まだの方はぜひ。

前置きが長くなってしまったが、振り返っていく。

スタメン

バルサはビジャレアル戦でスタメンではなかったエリックガルシア、ブスケツ、デンべレをスタメンに起用した。クリステンセンはいまだ復帰しておらず、CBにはビジャレアル戦でいいパフォーマンスを発揮したクンデが抜擢された。1番の注目ポイントはぺドリの左WG起用だと思う。この意図については後々触れます。

ビルバオのシステムは4-2-3-1。ただでさえ外から選手を獲得できないのにこのレベルの選手を揃えられるのがすごすぎるし、ベンチにはムニアインもサンセットもベンセドールもいる。新加入のエレーラもいい味を出しそう。要注意選手はスペイン代表に選ばれているGKのウナイシモンと選ばれるかもしれない右WGのニコだ。特にニコは今シーズングングン伸びているプレーヤーで勢いに乗ると止められないタイプ。

ぺドリ左WG起用の意図

ビルバオ戦では先述の通り、ぺドリを左WGで起用した。ベンチには左WGができるアンスやフェランもいるはずなのになぜシャビはぺドリを起用したのかを考えてみる。

ぺドリを左WGで起用することで
・高い位置でボールを受けられる
・中央に移動して中盤の+1になれる
・バルデをより高い位置でプレーさせることができる

などのメリットがあると思う。特にこの試合で大きな効果を生み出したのが2つ目の+1である。前線からハイプレスで襲い掛かってくるビルバオに対してブスケツやデヨングはどうしてもビルバオの選手に捕まりやすいポジションになってしまうため、ぺドリが中央に移動することでビルドアップの出口を作ってあげることに成功していた。

このようにぺドリが中央に移動して+1になることをビルバオも黙ってみているわけではなく、人数を増やしてボールを奪いにかかる。なぜならそもそもぺドリを自由にさせるわけにはいかないし、中央は最も選手が密集しているゾーンだからである。しかしここで中々奪われないのがぺドリ。1点目のゴールシーンでは、中央に移動してパスを受けてひらりとターンし、逆サイドのデンべレという武器の鋭さを上げるために密集を作り出した。

上のアニメーションでも触れているが、ぺドリが前を向いた際にガビのランニングがかなり効いたと思う。2人の10代コンビによって始まったゴールシーンであった。

アンスやデンべレのようなスピードを活かした純WGのような突破はできないものの、ぺドリはぺドリなりに優位性を活かしながら試合を有利に進めることができるということが分かった。相変わらず器用すぎる選手。

フリーマン、フレンキーデヨング

ビルバオ戦ではデヨングのフリーマンとしての役割が効果的に機能していた。 フリーマンとして現れるポジションは様々であり、ブスケツの横であったり、CBの間や脇などであった。

これはブスケツの横でプレーに関わったシーン。ビルバオはハイプレスでボールを奪いに来るため、ブスケツは何が何でも押さえておきたい存在となる。ここで効いてきたのがデヨング。周辺のビルバオの選手の的を絞らせないようなポジショニングを取りながら、ボールを引き取って前進する準備も行っていた。

ほかにもCB間でビルドアップするシーンなどもあり、ボールを受けたくて動きすぎてしまうデヨングの特徴を上手く活かせるようなタスクを与えたのではないかと感じた。ボールキープの能力やビルバオ戦ではあまり見られなかったが、相手1枚剥がす能力にはやはり目を見張るものがあり、これからも活躍を期待できるようなはたらきであった。同時に、デヨングは時間を作れる選手でもあるため、少々厳しい体制でボールを引き取っても味方のポジショニングの修正まで時間稼ぎをできるのはフリーマンのタスクを与えられてものにとって大きな武器となっていくだろう。

スペースを得たデンべレ

ビルバオ戦で1ゴール3アシストを記録し、堂々のMVPを獲得したデンべレ。これまでと何が違ったかというと、ぺドリやデヨングたちが密集を作っていた左サイドではなく、作られた密集によって大きなスペースができた右サイドで勝負できたということだ。これまで右サイドでプレーしたときは大外に開くだけで、裏へのランニングの素振りさへなく、DFの前でボールを受けてさあドリブル。という感じであった。もちろんこの試合でもそのようなシーンもあったが、やはりデンべレのスピードや切り返しが活きてくるのは1点目のゴールシーンのような形でボールを受けることだと思う。

両利きの高速アタッカーが広大なスペースでプレーをする。考えただけでも恐ろしいがこれに加えてデンべレは深い切り返しを備えている。広大なスペースでプレーするデンべレはまさに”水を得た魚”にふさわしい存在であった。

昨シーズンにアダマトラオレに対してよく行っていたアイソレーション(孤立)。シンプルにアダマより総合力が高いデンべレにやらせればそりゃ効果絶大なわけだ。

さらにバルサをアップデートさせるためには、ぺドリをWGに置かなくても相手を密集させられるほどの脅威を持っておきたいというところだ。これはすぐに達成できるような目標ではないと思うが、ここ数試合のマッチレビューで何度も言っているように、ぺドリはライン間でプレーさせたい。これからも課題はまだまだあると思うが、クラシコやインテル戦で顕著になったWGの質依存を早くも解消に向かっていることを実感することができてよかった。

今回は以上です。正直戦前はちょっとばかり不安でしたが、ふたを開けてみれば4-0の快勝で幕を閉じることができました。今回も拡散していただけるとありがたいです。

では。

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