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なぜチェコのお菓子?

「なぜチェコのお菓子を作っているんですか?」ツックルとして活動していて一番聞かれる質問です。

前回の投稿の通り、きっかけは製菓学校のクラスメイトとの会話だったのですが、それ以前からチェコのお菓子が好きで趣味でコラーチを焼いたり、季節のイベントに合わせてチェコのお菓子を作っていました。

初めて作ったチェコのお菓子は大学の文化祭で作ったOvocný koláč、甘い生地にフルーツとクランブルを乗せて焼いたケーキです。外大の文化祭では一年生の時に専攻語ごとにその国や土地の料理店を出すのですが、私はこのコラーチの担当で、友人と徹夜で焼き続けました笑。このコラーチ、とても美味しくて今もたまに焼いています。

そして3年生で留学したプラハでは様々なお菓子に出会いました。

もともと甘党だった上、自分の部屋で勉強するのが苦手だったため、勉強をカフェやケーキ屋でケーキを食べながらすることにしたのです。今も大好きな蜂蜜のケーキMedovník(メドヴニーク)、キャラメルクリームのシューVětrník(ヴィエトルニーク)、サクサクのメレンゲでナッツなどのクリームをサンドしたLaskonky(ラスコンキ)、などなど…。留学中、見事に10キロ太りました笑。特にお気に入りだったケーキ屋さんでは通いすぎて顔を覚えられていました。当時働いていた方はとても良くして下さり、今もメッセージのやり取りをしています。

また同じ寮の友人が実家に帰ると彼女のおばあちゃんが作ったケーキやクッキーを分けてくれて、それもとても美味しかったのです。チェコの家庭菓子には様々な種類があること、季節のイベントごとにお菓子があることを教わりました。数年前に亡くなってしまったのですが、ツックルのレシピの幾つかは彼女のおばあちゃんのレシピを使わせていただいています。

チェコといえばビールですが私はアルコールが強くないので、甘いものに走ったのでした。特に勉強面でストレスも多かった留学でしたが、チェコのお菓子に癒され、魅了されました。

そんな訳で今私はチェコのお菓子を日本で紹介する仕事をしています。

チェコのお菓子の特徴の一つとして、材料は身近にあるもので揃うことが多いという点があります。家庭のお菓子はもちろんですが、ケーキ屋で売られているようなケーキのレシピを見てもそう思います。バターではなくオイルを使った生地も多いですし、生クリームではなくメレンゲを使ったケーキも一般的です。(チェコではクリームもバターも身近な存在ですが、日本で親しまれている洋菓子のようにこれらをふんだんに使ったお菓子は少ないという意味です。)庭になった果物や木の実などを使うケーキも好まれています。

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↑中央のコルネのようなケーキKremrole(クレムロレ)の中に詰まっているのはたっぷりのメレンゲ!

私が製菓を学んだ学校はフランス菓子が専門で、働いたお店はフランスやイギリスのお菓子が多かったのですが、沢山のバターやクリーム、ドライフルーツや洋酒などを使うことが多かったので、これは大きな違いでした。

ここからは個人的な見解なのですが、これはチェコに王都が置かれない時期が長かったことや、ブルジョワ文化を否定する共産時代を経験したことが影響しているのかな…と考えています。王様や貴族のために複雑な味わいや豪華なデコレーションが発達したフランスなどのお菓子とは反対に、一般市民に近い場所で発達したのがチェコのお菓子なのだと思います。

そんな所も、素朴で安心するチェコのお菓子の美味しさの理由の一つなのかな~と思うのでした。チェコのお菓子の歴史、もっと調べていきたいです!



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