仕込みマッチングサービスで飲食店の負担と食品工場の稼働率を改善。フード産業の社会課題を解決する受発注プラットフォーム
C2C社は、様々な業界のパートナー様へダイレクトマッチングのプラットフォームを提供しています。C2C社のYouTubeチャンネルで公開している、「C2C社代表ソルからパートナー様へのインタビュー」を、noteでもご紹介いたします。
※本インタビューは、2021年6月に実施した内容です。
『シコメル』のサービス概要について
ソル: C2C社ではさまざまな事業領域で、マッチングプラットフォームのシステム開発を担っております。そのシステムを提供させていただいている事業者様をお呼びをして、それぞれの業界でのマッチングプラットフォーム事情を深堀りしていこうと思っております。
本日のゲストはシコメルフードテックの西原代表に来ていただいております。よろしくお願いいたします。
西原: お願いします。シコメルフードテックの西原と申します。僕は受発注アプリ『シコメル』を通じて、日本中の飲食店と食品工場をダイレクトにマッチングさせるサービスを提供する会社を経営しております。本日はよろしくお願いします。
ソル: 西原さんありがとうございます。西原さんは最初は確か、今COOをされていらっしゃる川本さんを経由して、ご連絡をいただいたと記憶しているんですけれども、川本さんは元々私がリクルート社で働いていたときの後輩で、西原さんの高校時代の野球部の?
西原: 高校時代の野球部の後輩で、僕が経営してる食品工場の創業メンバーになります。
ソル: ご連絡いただいたのがちょうど2年前ぐらいですか?
西原: 2年前の夏ですね。
ソル: なるほど。私自身もお手伝いさせていただいている中で、かなり濃い2年間だったなと、もっと時間が経っているかと錯覚するぐらい濃い2年間だったと思っております。
それでは最初にですね、簡単に『シコメル』というサービスの概要について、西原さんのほうからご説明いただければと思います。
西原: 会社の名前の通りなんですけど、『シコメル』は仕込み代行からこの名前がついているんです。仕込みって何かというと、例えばとんかつ屋さんを見てもらっても、カットキャベツ・肉をカットする・パン粉を付ける・添え付けのサラダなど、これをお店の中で全て行うのか、外部の工場に委託するのかというのがあって、普通の町の居酒屋さん・飲食店だったら、食品工場はどこに連絡したらいいのかがかなり大きな問題になっているので、それを僕らが解決しましょうというところと。あとは今、日本中の飲食店、70万店舗中65万件ぐらい、未だに電話とかFAX・留守番電話で発注しているところを、誰でも簡単に発注できるようなアプリ『シコメル』を通じて、まず発注の手間をなくす・工場の受け手側の手間もなくす・仕込みの手間もなくすというのを主にやらせてもらっています。
ソル: なるほど。マッチングという意味でいうと、飲食店さんと食品工場さんを繋ぐというアプリになっているわけですね。
西原:そうですね。はい。
食品工場経営者が感じる飲食業界の課題について
ソル: ではこのまま最初のトークテーマに入っていきたいと思いますが、最初のトークテーマは業界の課題。西原さん自身も元々食品工場の経営から入られてるということで、色々な課題を感じられて『シコメル』を創業されたと思うんですけど、そのあたり、飲食店側そして工場側、それぞれどんな課題があったのかを説明いただければと思います。
西原: まず飲食店側からいいますと、労働環境の問題、週休2日がなかなか取れない、8時間以上働かないと店が回らない、あとは採用がかなり難しくなってきてるというのが業界の問題です。工場側でいいますと、ほぼ全くと言っていいほど、超大手を除くとIT化が進んでいない。というのは、僕ぐらいの年代の食品の経営者ってなかなかいなくて、ほとんどの食品工場の経営者は50歳~60歳代ぐらいで代替わりがまだできないというような人が多く、社内のオペレーションをIT化するというのが難しくて、その辺りが大きな課題だったんですよね。
ソル: なるほど。『シコメル』はその双方の課題を解決していけるアプリになっているということですかね?
西原: そうですね。はい。
ソル: ちなみに2年前でいうと、まだコロナというワードが出ていなかった頃だと思うんですけれども、作り始めてこのコロナ禍になって状況がまた変わってきたところがあると思うんですが、そのへんいかがでしょうか?
西原: このコロナになってから出来た言葉で、ゴーストレストランというのがあるんですけど、お店を構えない、もしくは例えばラーメン屋さんの裏側のキッチンで唐揚げ屋さんをする、というような需要が生まれてきたり、激動の一年でしたね。
ソル: 実際、飲食店さんでいうと、元々先ほどの就業時間の問題とか、労働環境みたいなところから状況が一変して、そもそも経営自体がどうなのかというなかで、今ゴーストキッチンというキーワードも出ましたが、そのへんも『シコメル』は関わっているんですか?
西原: そうですね。一番の特徴が、ゴーストレストランて、デリバリーするんですよね。デリバリーするUber Eatsの宅配の人に、オーダーを受けてから早く渡せば渡すほど評価が上がって、Uber Eatsの画面に上位表示されるので、それをするためには料理を8割ぐらい仕込んでおかないといけないんです。ただ、仕込んでおかないとだめなんですけど、デリバリーで売れる売上ってよく売れて1日5万円ぐらいなので、そのために仕込みをどこまでするのかと。本業もあるのに。だったら『シコメル』に頼むとアプリのボタンを押すだけで、2日後に仕込み済みの商品が一緒に届きますので、それを開けてレンジに入れるだけというのが、ゴーストレストランにはピッタリはまるかなと思います。
ソル: 本業での店舗は抱えつつ、副業的にというか第二の収入として、別のブランドで運営していくみたいなことが簡単にできると、そんな感じですかね?
西原: はい。
『シコメル』利用者のサービスに対する評価
ソル: なるほど。その流れでですね、2つ目のトークテーマに入っていきたいと思うんですが、実際にサービスをローンチしてから1年ぐらい経っていると思うんですけど、その評価について簡単にお聞かせ願えればと思うんですが。それもまた飲食店側から、工場側から、それぞれどう受け止められているのかをご説明いただければと思います。
西原: まずレストラン側からの評価なんですけど、僕らが想定してた以上に結構大会社といいますか、チェーン店もこのアプリを使うようになって、そもそも個人店向けに開発していたので本部向け、ビックチェーン向けにはまだ対応しきれていないというところが課題ではあります。逆にレストランのお店のスタッフからは、従来あるFAXとか別のシステムよりも『シコメル』のアプリのほうが断然使いやすいと、ずっとこれを使っていきたいという声もいただいています。あとは焼肉屋さんで、コロナのど真ん中に出来た焼肉屋さんが今10店舗ぐらいになっているんですけど、実は全て『シコメル』なんです。
ソル: 全部ですか?
西原: 全部ですね。お酒以外。アプリで発注する、2日後に肉が全て部位ごとにパックされたものが届く、解凍して盛り付けして出すだけ、というので絶好調の業態がありまして。
ソル: 実際それで運営されているその飲食店さんも、すごく流行ってらっしゃる?
西原: 流行ってますね。
ソル: それはコロナ後でってことですか?
西原: 去年の11月が1店舗目で、現時点で10店舗になっているので。
ソル: コロナ真っ最中に出店されて、それでもう10店舗。
西原: そうです。
ソル: すごいですね。
西原: すごいですし、お店の人の調理研修というのがあるので、よほど下手な調理をしない限りは、味がどこの店舗も同じというような状態が作れています。
ソル: なるほど。今のはどちらかというとイートインというか、本業での話だと思いますが、さっき言われたゴーストキッチンのお店での導入の評価は何かありますか?
西原: 例えばある豚丼専門店で、200店舗ぐらいあるんですけど、そこには僕らは2種類の商品を提案しています。ひとつが、「豚肉をカットします・隠し包丁を入れます・塩コショウします・焼きます・冷凍します・店では解凍して1分で調理できます」。もう1パターンが、「豚肉をカットします・隠し包丁を入れます・塩コショウします・生のままで冷凍します・この場合は店で調理時間が5分かかります」。その店舗のオペレーションに合わせて選択できるようにしています。あとはご飯に盛り付けて、『シコメル』から届くソースで炒めたら美味しく仕上がる、ということでどんどん加盟店が増えていっている業態でもありますね。
ソル: 今の話でいうと、その200店舗に『シコメル』から、個別に配達されるということですか。
西原: そうですね。個別ですね。
ソル: 200店舗から注文が来たものが集約されて仕込まれて、今度また200店舗に戻っていくという。
西原: 200店舗から注文が来たものを、豚丼でいうと、豚丼のソース、豚丼の具の加工、豚丼の具を焼くところ、3工場に分かれるんです。そうやって日々稼働していますね。
ソル: なるほど。小ロットからでも、1店舗あたりでも請けている。
西原: そうですね。はい。
ソル: なるほど。今度は逆に、工場側からはどんな評価になっているんでしょうか?
西原: 工場側はですね、例えばこのコロナの影響で、良い影響もあった工場もたくさんあるんですけど、どうしようもなくなった工場もあるんですね。今ある提携工場のうち1社は100パーセント、『シコメル』の仕事しかないんですよ。
ソル: 100パーセントですか。
西原: はい、そして過去最高の売上です。
ソル: おお、すごいですね!
西原: はい。あとは機内食専門の工場で、稼働率1%だった工場がようやく30パーセントになりましたとか。
ソル: すごいですね。仕事がなかったわけですもんね。
西原: はい。
ソル: そういう意味では『シコメル』としても、既に1年目で相当数の仕事が入ってきているということなんですかね。実際に月商でいうとどれぐらいまでいっているんですか?
西原: 月商がですね、去年のアプリの流通総額でいいますと、11月が約50~60万円。今ですと3500万から・・・
ソル: 3500万、70倍ぐらいになってますね。
西原: そうなってますね。
ソル: ものごい伸び方ですね。
西原: もっと伸びます。
ソル: 本当ですか。
西原: はい。
ソル: 実際、今急激に伸びているということで、開発やそれ以外のオペレーション含めて現状もしくは過去に、困ったことや課題に直面した部分、大変だったところはどんなことが挙げられますか?
西原: 開発の部分では、C2Cさんのお客さんの特徴でもあると思うんですが、僕らも社内にエンジニアがいないので、高卒のメンバーでスタートして、パソコンも開けたことないですっていうところで、かなりC2Cのメンバーが僕らに対して苦労したのかなと思っていて。
ソル: いえいえ。
西原: 僕ら自身の苦労っていうのが、一見テックの会社なんですけど、裏側は、工場を連携して物流を本気でしましょう、納品業をいっぱい頑張りましょうという会社なんですよね。それが想定より早く伸びて、実質3人で1か月3000万売ったりというような状態が半年くらい続いたときは結構危ない状態でした。
ソル: なるほど。オペレーションサイドはかなり、、そこまで伸びるとそうなりますよね。
西原: そうですね。はい。
『シコメル』の今後のサービス展開について
ソル: 今すごく伸びているというお話も聞かせていただいたんですけど、最後のトークテーマとして、今後は『シコメル』をどうしていきたいのか、実現していきたい世界観をお聞かせいただいて、終わっていきたいと思うんですが、そのあたりはどのようにお考えでしょうか?
西原: 今で約400ぐらいのアイテムを僕らは仕込み済み商品として登録していまして、その中でお店からレシピを貰って流通しているのが約8割、250ぐらいあるんですけど、これを、本当に売れるおいしいものを、早く1万単位で登録して流通させたいです。そしてそれを飲食店さんに納品する以外にも、そのレシピの保有者にロイヤリティを払えるような仕組みを考えています。例えばある店のカレーを全然違う居酒屋チェーンさんに僕らが販売する、売れたぶんのロイヤリティを店のレシピの保有者もしくは会社さんにバックする、それでシェフの人がもっと儲かるというような。1つのカレーをたくさん売ることによって、工場の生産性がもっと上がります。工場の生産性上がる=『シコメル』の提携工場の原価率が劇的に下がるんです。一括で原料を調達できるので。それをまず実現して、その後は市場のレシピを具現化した商品を一般公開したいですね。世の中の人が、有名店の仕込み済み料理や、店で本気で提供しているものを家で食べられるようなサービスになれば最高かなと思っています。
ソル: なるほど。そういう意味では、本当に食の在り方自体も変えていけるんじゃないかという、そんなサービスになる感じですね。足元でいうとさっき焼肉屋さんの例があったと思うんです、オールシコメル、全部『シコメル』で仕込んでますというような。そういう業態はもっともっと増えていくんですかね?
西原: 成功事例の積み重ねなので、必ず増えてくると思います。
ソル: なるほど。すでにそういう相談がシコメル社に来ているんですか?
西原: はい。今で7業態。
ソル: なるほど。では今後はもう調理師いらず、仕込みは全て『シコメル』で出来るような業態がどんどん出てくると。
西原: はい。
ソル: 先ほどのゴーストキッチンに向けては、何か今後の取り組みを計画していますか?
西原: これは社会問題にもなりつつあるんですけど、架空のゴーストですね、今までなかった、例えばなんとかさんの唐揚げ専門店とか、実際どこにも店がないけどネット上で乱立してるような状態があるので、そこをなんとか取りまとめて有名なシェフとコラボして、有名なシェフが監修した実際名前も出せるような唐揚げを全国のゴーストレストランさんに配荷して、もっとちゃんとみんなが儲かるような交通整理をしていきたいなと思っています。
ソル: なるほど。ありがとうございます。我々も開発サイドとして、より一層がんばっていかないといけないなと改めて思えた有意義な時間でした。シコメル社は本当に僕らからしても、すごく急ピッチで伸びたという印象と、あとやはりこのコロナで劇的に業界自体が変わる中で、そのど真ん中にくるようなサービスになっているんじゃないかと、お手伝いさせていただいていても感じています。今後の一層の伸びを、我々としても全力でサポートしていきたいと思っています。
西原: コロナが明けると、人不足の時代が。
ソル: 今度は逆にですね。
西原: はい、やってくるので。
ソル: 揺り戻しがくると。
西原: はい。
ソル: 最後に西原さん、今日の対談を通しての感想とか今後の意気込みをお聞きできればと思うんですけど。
西原: はい、僕はアナログの商売を18年、今で19年目になるんですけど、C2C社と出会って僕も考え方が劇的に変わりましたし、こういうふうに仕事をするとこんなに成長できるんだとか、こういうお客さんと巡り会えるんだというのを痛感する1年を過ごしています。ここから2年後に大きな目標があるので、それまで突っ走っていきたいなと思っています。
ソル: 西原さん、本日はお忙しいところ本当にありがとうございました。
西原: ありがとうございました。
ソル: C2C社としても、これからも全力でサービス向上に向けて取り組んでいきたいと思いますので、引き続きぜひよろしくお願いいたします。
西原: お願いします。ありがとうございました。
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