STEAMの”め”🌱👀-#2 ［分類］

このnoteは、科学の考え方を面白がる先に、STEAMの”め”を見出そうという試みです。

STEAMとは
S：Science
T：Technology
E：Engineering
A：Art
M：Mathematics
のこと。

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古代ギリシア時代の哲学者（考える人）で、STEAMに関わりそうな人物といえば、、

だれが思い浮かびますか？

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ピタゴラス？

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アルキメデス？

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ユークリッド？

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いずれの人物も大人物で壮大な物語が描けそうですが、今回フォーカスしたいのは、この人。

アリストテレスです。

アリストテレスというと、個人的には、ラファエロが描いた、プラトンと並び歩きながら、プラトンは天井を指差し、アリストテレスは地上に向かって手を伏せているという、あの「アテナイの学堂」の絵をイメージしちゃいます。

今回アリストテレスにフォーカスしたいのは、そういういわゆる哲学者としてのイメージに、ではなく、現代でいうところの科学者としてのイメージ、特に分類という考え方を深く探究した人物としてのアリストテレスに焦点を当てたいと思います。

アリストテレスは、紀元前384年（今から2400年前！）、ギリシアのスタゲイロスというところで生まれました。そのころのギリシアはというと、地球上でもっとも知が進んだ場所でした。

17歳のころ、プラトンに弟子入りします。そのときプラトンはすでに60歳。なんと43歳も差があったんですね。プラトンの「アカデメイア」という学校で学んだアリストテレスは、プラトンをして「ほかのものにはムチがいるが、アリストテレスにはたずながいる」とか「学校の精神」とかと評されたほどで、アリストテレスの優秀さが窺い知れますね。このアカデメイアはギリシアだけで学ぶのではなく、およそ20年の勉強のうち、中近東地方へも旅行していて、中近東の自然科学の考え方も吸収していたようです。

その後プラトンが亡くなり、アカデメイアをやめると、アリストテレスはアカデメイア時代の学友のヘルミアスに招かれアッソスという街へ移住。その後紀元前345年にヘルミアスがペルシア帝国によって捕縛されると難を逃れるためにアッソスの対岸に位置するレスボス島のミュティレネに移住しました。

そしてここで、アリストテレスは生物学の研究に勤しみます。

来ました、分類の目につながる研究のはじまりです。

たとえば、クジラの研究。大昔はクジラはどこにでも住んでいて、そのころ、ギリシアの海でも観察できたそうです。

アリストテレス、クジラを見る。

クジラは、海に住んでいる。

クジラは、水の中を泳ぎ、潜り、大きいとはいえ魚と同じような形をしている。

でもクジラは、たくさんの他の魚とは違うところがある。

他の魚の多くは、うろこがあり、エラで呼吸し、体温が変わり、卵をうむ。

一方クジラは、うろこがなく、肺で呼吸し、体温は一定で、卵でなくてこどもをうんで、乳で育てる。

クジラは、その面では、陸に住んでいる獣たちとまったく同じ性質である。

なんだ？これは。

アリストテレスはこうして、似通った性質のものを１つの種類にまとめ、１つの種類とほかの種類がなにかのはっきりした違いをもっているように区分けをすること、すなわち、科学の世界で「分類」と呼ばれる大事なやり方を動物たちに対して行ったのでした。

こうして分類した動物の種類を、身体の構造の簡単なものから、だんだん複雑なものへと並べ、その順序を「自然の階段」と名付けました。

アリストテレスは、クジラはその性質から、その「自然の階段」の中で、ヒトやヒツジやシカと同じ種類に入れています。

このことは動物学の歴史ではすごいことで、アリストテレスから2000年後の17世紀の世界でも、クジラを魚の仲間に入れていた生物学者が山ほどいたほどだったそうです。先見の明、ありすぎテレスですね。

さてはてそんなこんなのアリストテレスですが、やはりこの短いエピソードの中にもたくさんの”目”が潜んでいます。

まず、プラトンという師から学ぶ”目”。

旅行先の中近東地方の自然科学、異文化から学ぶ”目”。

移住先の環境を生かして、その場だからこその観察をする”目”。

クジラという特徴的な対象にあえて焦点をあてる”目”。

クジラの属性・特徴をきちんと分解して調べる”目”。（しかも体温や呼吸の様子まで詳細まで調べ尽くす”目”）

他の魚の特徴と比較する、つまり他と比較する”目”。

自然の階段という順序をつくる”目”。

さらにその順序のグラデーションに適切に位置付けする”目”。

やーばいですね、目が多くて。

さて最後に。今回はアリストテレスからいろいろな目を感じ取りました。アリストテレスのこの「分類」をするという考え方は、なにも生物学だけでなく、あらゆる探究の”マップ”として機能してくれる、とても基本的かつ重要な考え方です。そこで今回のSTEAMの”芽”は。

今回のSTEAMの”芽”

その１
生物学以外に、世の中にはどんな「分類」がある？　その分類の面白いところ、すごいところは？

その２
あなたの好きなものには、どんな分解できる要素がある？　好きなものについて「〇〇の階段」をつくり、分類してみましょう。

ぜひ、考えてみてくださいね！