8月15日は「終戦」なのか

 8月15日というと、日本では、終戦記念日ということになっています。8月15日に突然、戦争が終わったわけではありません。

 8月14日にポツダム宣言受諾の通知、8月15日に玉音放送、9月2日に降伏文書に調印、9月5日にソ連による歯舞諸島の占領完了というなかで、8月15日が終戦記念日なのです。実際に、戦没者追悼式もこの日に行われています。祖父は近年、ほぼ毎年、参加していた記憶があります。予期せぬ「天皇陛下万歳」事件が起きた年も祖父は参加していて、そのときの様子を語ってくれました。

 さておき。8月15日、昭和天皇による国民に終戦の詔書の読み上げを録音したものが放送されたという日、つまり国民に終戦が伝えられた日とも言い換えることができるでしょう。でも実際には、ソ連が侵攻して、ポツダム宣言受諾の通知以降も、侵攻し続け、9月5日に占領完了します。

 もし仮に、玉音放送に重きがおかれているならば、「戦後」というのはずっと引きずったままなのではとも思います。歴史は往々にして、視点によって見方や語方が異なるものですが、あくまでも玉音放送が流されたというだけで終戦記念とするなら、あくまでも日本国内のみで完結する話で、「戦後」や「戦後レジーム」からの脱却というのは結局は延々と先延ばしにしているということにならないでしょうか。そして、75年が経過した今、現存する記録のみを手掛かりに第二次世界大戦であったり終戦であったりを語るのは危険かと思います。もちろん個人の記憶というのも消えいくもので、時間が経つと勘違いや思い込みで、記憶自体が変容することは自明というかざらにあることなのですが、それでも、記録になっていない部分に目を向けるのは重要かと思います。イデオロギーありきで記録を収集するほど怖いものはないです。

 9月2日に外交上は終戦だという認識をもたないと、あくまでも蛸壷化した戦争語りあるいはイデオロギー中心の歴史観が蔓延ると、また世間や政治などで不穏な動きになりかねないと思います。(天皇制に反対しているのではないことをご留意いただければ幸いです。)

普段はあまりこういうことは書かないのですが、書いてみました。

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