【シャニマス】283プロがつなげてきたものと、ノクチルがつなげていくもの【#アジェンダ283】
アジェンダ283、個人的にバズりました。
正直、予告時点ではユニット越境しつつ単なるゴミ拾いする話かと思ってたんですが、それで終わらなかったのがシャニマスの良い所ですね。
自分の中でアジェンダ283は「ゴミ拾いを通して、それぞれのアイドルが積み重ねてきたものを見る」というテーマだったと解釈しました。ゴミとは、「誰かが積み重ねて来たもの」なわけです。そんな中で、283プロのセンターとしての真乃と、天塵との繋がりを感じさせるかなりまとまったコミュだったんじゃないでしょうか。
ユニットそれぞれの「ごみ拾い」
アンティーカの共有する「物語」
印象的だったのはみんなで拾った漫画を読む場面。
みんなで楽しい時間を過ごした一方で、読み終わった漫画はごみとして捨てられてしまいました。
8月を夏の終わりと感じていたり、みんなで楽しんだ漫画を捨てるのを「少し切ない」と表現した咲耶。ここら辺は『ファン感謝祭』でのアンティーカの終わりを感じてしまった咲耶ともリンクしてます。
さらに漫画という「物語」を共有するのは、『ストーリー・ストーリー』とリンクしているかもしれない。アイドルという嘘偽りのないストーリーの共有と、いつか終わりがくることの寂しさこそがアンティーカの積み重ねだったんじゃないかと思いました。
つまり、アンティーカにとってのアイドルは「みんなで共有しつつも、過ぎ去ってしまう時間」という概念の中にあるんじゃないでしょうか。
放課後クライマックスガールズは「迷ったらGO!」
ごみ拾いに対して、各大臣を決めたり準備段階から思いっきり楽しもうとしているあたりいつもの放クラで好き。
放クラの合言葉である「SDGs」とはSustainable Development Goals(持続可能な開発目標)のこと。2015年9月の国連サミットで採択されたもので、コミュ内では豊かさを今だけでなく未来に向けて残すための方針、といった説明がされています。(ここら辺の知識は付け焼刃で語っても仕方ないので各自調べることをおすすめします)
第5話では、果穂が自分たちがごみ拾いをしてもごみは増え続けるという答えの出ない問いにハマってしまうなど、ごみ拾いを通じて「未来」に向けてどうするかを考えていました。
そんな中で辿り着いた「迷えばGO」というのが放クラのアイドル像なんじゃないかと。「Goals(目標)」ではなく「Go(進む)」にいつの間にか変わっていたのもとても放クラらしいと思いました。
放クラは小学生の果穂という(相対的に)「未来」がある存在を中心に成り立っていて、将来それぞれがどうなるかなんてわからない。『階段の先の君へ』でもあったように、永遠に変わらないものなんて無い。だけど、とにかく「未来に向かって突き進む」のが放課後クライマックスガールズなんだと改めて実感するコミュでした。
アルストロメリアの「つながり」
第3話「つながりを考えましょう」がアルストロメリアのテーマでした。甜花ちゃんがお魚を水に帰し、甘奈と千雪がペットボトルのキャップを食べそうになっていた鳥さんを止めて、その鳥さんはお魚を食べる。
一連の流れでぱっと思いつくのは食物連鎖です。アルストロメリアの3人は生命のつながりである食物連鎖を正常に戻したと考えられます。
この「つながり」こそがアルストロメリア。
自分の中でもっともつながりを意識させられたのが、『薄桃色にこんがらがって』です。「オーディションで甘奈が千雪に勝つ」という決定づけられた食物連鎖の中で甘奈が勝たなかったとしたら、つながりが失われてたんじゃないかと思いました。甜花ちゃんの言った「負ければ壊れてしまう大事なもの」がつながりだったんじゃないかと。
さらに後半では、ちゃんとごみを分別する甜花ちゃんが「河原を守る」ことに繋がったと表現されてました。『薄桃色にこんがらがって』でみんな本当の気持ちを叫んだ大事な河原です。そして、イルミネの3人にとっても思い出の河原であり、大事がどんどん繋がっていることが分かります。
sSSR【ドゥワッチャラブ】ではオーディションに参加したことが千雪に映画の仕事に繋がっていきます。すべてはつながっているんです。アルストロメリアにとってのアイドルとは「つながっていくもの」です。
ストレイライトが「残していくもの」
既存ユニット4組とは一線を画していたのがストレイライト。
ごみ拾いをしてたら大量の不法投棄されたアイドルのCDを見つけるという展開に、平和なストレイライトはサポートくらいでしか見れんのかとツッコミ入れたくなりました。
捨てられたCDに対して、自分たちは捨てられないと決意する冬優子。一方で誰かが大事にしていたCDだと思う愛依。また、あさひが勝手に撮った写真を消しても記憶に残そうとする場面から、捨てられたとしても誰かの記憶に「残るもの」があるというのが分かります。
ストレイライトは誰かに観測されて成り立つユニットです。冬優子とふゆ、そしてミステリアスな愛依、ステージ上でパフォーマンスをするあさひ。その二面性はどれもファンに見られて初めて成立します。そして、誰かに見られるということは誰かの記憶に残ることでもある。SNSに写真をあげるのも、ファンに観測され、記憶や記録に残すことになる。そんなストレイライトにとってアイドルとは自分たちの存在証明を「残していくもの」なんじゃないでしょうか。
それにしても、冬優子のSDGsに対する目線やアンティーカ評などキレキレで笑いました。ぶっちゃけ教育番組みたいになっていたので、ああいう意見あると安心します。
イルミネーションスターズが見た「素敵なもの」
それぞれのユニットと共にごみ拾いをしていた3人。アンティーカと一緒に楽しい時間を共有したり、ストレイライトと写真を残したり、放クラと未来について考えたり、アルストとつながりを実感したり…様々なことを学んだ3人。
それぞれのアイドル観を目の当たりにした真乃は、最後に落ちているごみを「きれいだと思う」と言っていました。ごみは捨てられたとしても、誰かが考えて作ったとっても「素敵なもの」だと。これが、イルミネーションスターズの積み重ねてきたものです。『Catch the shiny tail』で真乃が追いかけていた輝きも、こういったものだったのかもしれません。
今回、ごみをそれぞれのユニットとしての積み重ねと解釈するならば、真乃はそれらをすべて「素敵なもの」と表現しました。これこそが、283プロのセンターである真乃の優しさだと思います。人それぞれ色々な考えがあって、それを大事にしたいと思えるからこそ、自分の楽しいが誰かの楽しいじゃないんじゃないかといった不安を抱いたり、『Star n dew by me』で「すごいめぐるちゃんじゃなくて、めぐるちゃんが好きだから」という発言が出来たんだと思います。
そんな真乃がセンターだからこそ、イルミネーションスターズは「素敵なもの」を積み重ねてくることが出来たんじゃないでしょうか。
そして、その優しさはノクチルに対しても同じです。
ノクチルはごみを見つけられたのか。
ユニット越境する上で気になっていたのが、ノクチルをどう合流させるか問題。正直ノクチルがちゃんと馴染めるのかすごいハラハラしてました。
実際にごみ拾いが始まると、ノクチルは速攻でコンビニに行きます。そっからしばらく出番がないのでえ?もしかして帰った?と思ったら次は公園で缶蹴りしてました。いやごみ拾わんのかい、とみんな思ったはず。多分ごみ拾いはしてたんでしょうけど、意図的にその描写はされませんでした。
それもそのはず、ノクチルには拾うべきごみが無いんです。要はノクチル
アイドルとしての積み重ねがまだ無いノクチルは、他の面々が河原という大切な場所でごみを見つけている一方で、公園にいました。公園とは子供の頃の遊び場の象徴であり、透がPと出会い、ノクチルがアイドルとしての積み重ねを始めた場所でもあります。
真乃はノクチルが4人でいるのを「とっても楽しそう」と表現していました。先ほど書いた真乃の優しさは、時に恐れにも繋がります。色々な輝きがあるからこそ「幼馴染の楽しい時間」という輝きを壊さないか、恐れていました。しかし、今日一日を通して色々なことを学んだ真乃。最後に公園で透との会話で、4人が自分たちと「違うけど同じ」ということに気づきます。
真乃が「自分たちと違うと思っていた」という話に対してコンビニの話を持ち出す透。sSSRでは真乃達がノクチルに話しかけられないという話があり、実はお互いがお互いを見ていたことが分かります。透は「うちらも同じ」ではなく、「違ってたよ、うちらも」と言いました。ここら辺の言葉選びが純粋にすごい。
天塵では「既存のアイドル」という枠組みからはみ出してしまった結果、世間から「ごみ」のような評価を下されてしまったノクチル。しかし、真乃は捨てられたごみの中にも輝きを見つけられると言いました。海辺のステージでプロデューサーが見た輝きと、真乃が見た輝きは一緒だったんじゃないかと。そして、それは真乃達と同じ輝きだったんじゃないかと。みんなの気持ちを大事にできる、そんな真乃がセンターの283プロでこそ、ノクチルは輝けるんじゃないかと思ってます。
シャニマスの色んな個性を持ったキャラクターを出すだけじゃなく、その個性が共存する「多様性」そのものを大事にする姿勢が好きです。(厳密な言葉の意味じゃなくめちゃくちゃニュアンスですが)これまでのコミュでもアイドル達の視点だけでなく、業界関係者やSNS上の意見、色んな視点があるうえでそれぞれがはっきりとした個性を持って行動するという姿勢があって、『アジェンダ283』はその象徴的なコミュだったと思います。
ノクチルはごみを拾っていくのだろうか?もしかしたらごみ拾いなんてしなくてもいいかもしれないし、してたとしてもそれを見ることは出来ないかもしれない。シャニマスはノクチルの「幼馴染」というつながりをどこまでも大事にしています。そんなノクチルが「幼馴染」という枠を出ることがあるのか。みんなと「違う」けど「同じ」、特別で普通の女の子たちであるノクチルがどうなるか楽しみです。
「あ、あの………!か、隠れた方が、い、いいよ……」
かわいい。
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